
放水器具は、ポンプで吸水した水等を火点まで運搬,消火する器具である。
近年、消防機械器具は、種々研究開発されつつあり、消火技術はもとより、放水器具の運用技術が、消火効果を大きく左右する重要なポイントになっている。即ち、効果的な火災防御を行うためには、火災の種類、状況等に応じ、使用器具を選定し、器具の持つ能力を最大限に発揮し活用することである。
1.ホース
ホースは、ポンプで吸水した水等を火点まで運搬する導水管である。
種類、構造
ホースの種類は、口径、材質、用途別等に分類されるが、長さは、通常20mが標準である。 構造は、内面ゴム張りとし、摩擦損失の減少と漏水の防止を図り、外面は、縦糸と横糸を交織したジャケットで覆い、高圧力に耐える構造としてある。ジャケットの織り方には、平織りと、あや織りの2種類あるが、現在消防隊が使用しているホースは、性能上強度の高いあや織りがほとんどである。
また、結合金具は、差込式、ねじ式の両方がある、いずれにも長所、短所があり、現在は両方使用されている。
(口径による分類)
内径(呼称)
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使用例
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40mm
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屋内消火栓用
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50mm
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消防隊、屋外消火栓用
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65mm
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消防隊、屋外消火栓用
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75mm
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送水用
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90mm
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送水用
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100mm
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送水用
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(材質による分類)
(1)麻ホース
麻ホースは、縦糸、横糸ともに麻で交織したホースで、内面ゴム張りが無く、摩擦損失と漏水が多い欠点があるため、消防隊のホースとしては、現在ほとんど使用されていない。
(2)交織ホース
交織ホースは、ジャケットの横糸に合成繊維、縦糸に植物繊維を使用して、交織したホースである。
(3)合織ホース
合織ホースは、ジャケットの縦糸、横糸ともに合成繊維を使用して、交織したホースで、現在使用されているホースは、ほとんど合織ホースである。
(用途による分類)
(1)シングル・ジャケット
シングル・ジャケット・ホースは、ジャケットが1枚のホースで、通常使用されている一般的なホースである。
(2)ダブル・ジャケット
ダブル・ジャケット・ホースは、シングル・ジャケットの外側に、もう一枚のジャケットで覆ったホースで、内側のホースを圧力、損傷等から保護してあるホースである。
(3)外面加工ホース
外面加工ホースは、ホースの磨耗、損傷等を防ぐため、外面に特殊加工したホースである。(4)ウエット・ホース
ウエット・ホースは、ホースのジャケットに水が浸透するようにして、ホースの焼損防止を図ったホースである。
(5)フロート・ホース
フロート・ホースは、通水中のホースが、水中でも浮くように比重の軽い同姓繊維でカバーしたホースである。
(取り扱い)
(1) 日常の点検は、特に結合金具の変形、損傷の有無を綿密に行うこと。
(2) ホースの延長は、迅速に行う必要はあるが、引きずり、引っ張り等、乱暴に扱ったり、不
必要な曲折、ねじれをさけること。
(3) 送水中のホースが、道路等を横断する場合、自動車等による破損を防ぐため、ホース・ブリッジ等の保護器具を使用すること。
(4) 寒冷地における凍結したホースの巻き取りについては、損傷防止に十分注意すること。
(5) ホースの洗浄は、入念に行い、油類、薬品等、付着した場合は、洗剤を用いて洗浄する。又、乾燥に際しては、風等による結合金具の損傷を防止するため、適切な措置を講ずること。
2.ホース延長器具
ホース延長器具は、ポンプ自動車等から火点までのホース延長を行うための器具である。
器具を使用して延長するほか、手びろめによる方法もあるが、地形、延長距離を考慮して、延長方法、延長器具の使い分けを行う。
(1)ホース・カー
ホース・カーは、箱型のケースにホースを6〜12本程度結合したまま積載し、ポンプ自動車等から火点までのホース延長を行う器具である。
ホース・カーによる延長方法は、比較的遠距離であっても、地形的にホース・カー搬送可能であれば、2〜3人の小人数であっても、迅速、且つ円滑にホース延長を行うことが出来る。又、現在は隊員の労力を軽減する目的で動力式(電気式、エンジン式)ホース・カーも一部に使用されている。
(2)背負い式ホース延長器
背負い式ホース延長器は、背負い器にホースを4〜6本程度積載し、背中に背負い、ポンプ自動車等から火点までのホース延長や搬送を行う器具である。
背負い式による延長、搬送方法は、地形的にホース・カー搬送不可能な場所、高所、屋内等、特殊な場所であっても、ホース延長を行うことが出来る。
3.筒 先
筒先は、ホース内を送られてきた水等を燃焼物とうに効果的に注水するための器具である。
(1)管そう
管そうは、ホースに結合し、先端に各種ノズルを取付け、放水する先の細いパイプである。
ホースと結合する金具が、雌ねじのものを正管そう、雄ねじのものを逆管そうと言う。
(2)ノズル
ノズルは、火災に応じて管そうのい先端に結合し、効果的な消火を行うための器具である。
ア)スムース・ノズル(ストレート・ノズル)
スムース・ノズルは、直状放水をするためのノズルで、放水流を散らさないで、火点まで到達させることである。すなわち、有効放水射程の長いことが必要条件である。
〇構造
スムース・ノズルの構造は、円錐形になっており、有効放水射程を長くするため、最先端に平行部分を若干設けた構造である。一般に使用されているノズルの口径は、15〜26mm程度である。
〇取り扱い
@効果的な消火を行うため、火災に状況に応じたノズル口径、圧力で放水すること。
Aノズル圧力は、隊員の保持限界圧力内で放水するのが原則である。
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1人保持
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2人保持
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16o
19o
22o
25o
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5.5
4.0
2.5
2.0
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7.0
5.0
3.5
3.0
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B保持限界以上の圧力を必要とするときは、放水銃の使用、ロープ、地物等の利用、あるいは、放水スタンド等の補助器具を使用すること。
イ)噴霧ノズル
噴霧ノズルは、水を微粒子状ににして放水するノズルである。噴霧による消火技術の研究は、米国においては、昭和の初期から行われ、船舶火災、耐火建築物等の火災はもとより、現在では、その他火災に対しても噴霧ノズルを使用して大きな成果を収めている。近年、わが国においても、噴霧放水器具の研究、開発が進むにつれ、放水消火技術についても研究、訓練が重ねられ、急速な進歩を遂げている。現在では、直状放水と併せ、効果的な運用が行われている。
