
1.消防用ポンプの概要(構成)
現在普通型消防ポンプ自動車のポンプとして、主として、次の形式のタービンポンプが使われている。
(1) 2段バランス型片吸い込みタービンポンプ
(2) 3段型片吸い込みタービンポンプ
また大型消防ポンプ自動車や、消防艇用ポンプとしては、直並列切り替え4段バランス型タービンポンプが使われているので、ここでは主としてタービンポンプの構造について説明する。
消防車用ポンプ装置は、ポンプ本体とその附属装置からなっている。
ポンプ本体は、ポンプケーシング・羽根車・案内羽・封水装置(グランド)・ポンプ軸・軸受などから構成され、またポンプ附属装置としては、真空ポンプ・真空ポンプ動力伝達装置(真空ポンプクラッチ)・真空ポンプ自動切断弁・自動放口閉塞弁・逆止弁・止水弁・排水装置(ドレーン)・吸水弁・吐吸弁・配管・計器類などから構成されている。
2.ポンプ本体の構造
(1)羽根車(インペラ)
羽根車は、ポンプ軸に固定され、(原動機の動力により毎分1500〜4500回転)高速で回転し、遠心力によって水に速度エネルギーを与えるものである。
液体は、吸水管から羽根車の中心部にはいり、うず形室内で圧力エネルギーを与えられる。羽根車の数は7〜8枚のものが多く、特に大型のものでは、9〜12枚のものもある。
羽根車は、2枚の円板の中に曲線状の羽根を設けた密閉型のものと、囲い板の一方又は両方がない開放型のものとがある。開放型の羽根車は、ポンプ発達の初期に使用されたもので、現在では土砂を含む水や、製紙原料のパルプなどを取り扱うときに使用されているのみで、消防用を始め現在一般に使われているものは、前者の密閉型の羽根車である。羽根車の曲線は、設計点において、羽根車の中心部から吸入された水が、羽根車の途中で回転運動を与えられ、流水しやすいように入り口・出口の角度をもたせその中間を滑らかな曲線で結んだものである。
材質は、一般に腐食しにくい青銅系鋳物が多く使われているが、消防艇用ポンプにはステンレス鋼等を使用したものもある。
(2)案内羽根(ガイドベーン)
案内羽根は、羽根車の外側に設けられている固定翼で、この案内羽根をもつ構造のポンプがタービンポンプである。案内羽根は、羽根車から出た液体が、案内羽根を通る間に、羽根車で与えられた運動エネルギーを、圧力のエネルギーに効率的に変えるためにある。効率的にエネルギーの変換をするために、液体の通路面積をゆるやかに拡大して、水の速度を徐々に落とす作用をするものである。
案内羽根の羽根数は、羽根車の羽根数より通常1〜2枚少ないものが使われている。消防自動車用のポンプのほとんどがこのタービン式ポンプを使っているが、一般産業用等に使われているポンプは、超高圧ポンプでも多段ボリュートポンプが作られるようになったため、案内羽根を設けたタービンポンプは、あまり使われなくなってきている。これは、前述のように、案内羽根のあるタービンポンプは、計画吐出量(設計点)からはずれた運転状態では、効率が急に低下するためである。また、これとは反対に混流斜流型のポンプでは、案内羽根を用いる方がポンプ全体の大きさを小型にすることが出来るため、案内羽根が採用される傾向にある。
(3)うず室とうず形室
うず室は、前項のタービンポンプの案内羽根を取り除いた空間をそのまま残したもので、最近は、高揚程ポンプでも案内羽根を取った、うず室だけのポンプが一般に使われる傾向にある。
うず室を持ったポンプは吐出量の変化によっても効率の低下が少ない利点があるので消防用ポンプの様に広い範囲の吐出量で使われるポンプは、むしろこの型式の方が効率的であるとも云える。
最終段の羽根車から出た液体は、直接(ボリュートポンプ)又は案内羽根(タービンポンプ)やうず室を通ってうず形室に全周から流入する。
普通うず形室の空間は、水切りで始まり、羽根車の全周をめぐり、その断面積を徐々に拡大している。うず形室役割は、羽根車から出た液体の速度エネルギーを圧力エネルギーに変える働きをし、エネルギー損失をできるだけ少なくするように水を集めて吐出口へ送り出す働きをすることである。
3.水封装置(グランド)
ポンプ室をポンプシャフトが貫通する部分には、漏水や真空作成のとき、空気の侵入を防ぐためにパッキンを用いて密封している。この部分をグランドという。
消防ポンプには、一般にポンプの高圧側にこれがあり、もしこの部分がゆるんでいると吸水時には、空気の進入や、ポンプ能力を低下させ、はなはだしいときには、揚水不能、また一時停水時には落水の原因にもなる。
反対にこのグランド部を強く締め過ぎると、摩擦により動力損失と軸の磨耗の原因となり、激しいときには、焼け付くこともある。一般にパッキンは、綿糸又はアスベストを角編みにし、これを油脂及び黒鉛で固めたものを使用している。
4.ポンプの主な故障と原因
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