「呼んだ?」
と、ルークはいきなり飛び出してきた。
……などという都合のいい展開は存在しない。
シュウはこの見知らぬ世界に一人佇んでいるのだ。
辺りを見渡しても人や人工物の類は見当たらない。
ただ限りない大平原と遥か遠くに見た事もない形の山々が連なっているだけなのだ。


シュウは七日間歩き続けていた。
しかし、いくら歩いても目に映る景色には何の変化もない。
シュウはついに座り込んだ。
「ハァハァ、……こんなところで一体どうすりゃいいんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
シュウは誰に言うでもなく叫んだ。その声が虚しくこだまとなって返ってくる。
「ルゥゥゥゥゥク!どこ行ったぁぁぁぁぁ!!」
先に同じ。シュウは限界を感じていた。

ゴトッ

地面に何かが落ちた。
シュウはここにきて初めて自分が本を持っていた事を思い出した。
「たしかこれは特殊重要図書館にあった本。…これになら何か書いてあるかも……」


本を読み始めて三日目、シュウはついに見つけた。
「これだ!これさえ使えれば…」
シュウは<古の魔法大全第二集?さばいばる必勝法?>という本に書いてあった、ある魔法に目をつけた。
     -テレファスー
    今自分がいる位置から
    一番近い町にワープする
      必要魔力1200
そこにはそう書かれていた。
一般的には自分の魔力の約1.5倍までの魔法なら使える可能性があると言われている。
シュウの魔力は875(シュウの年代の魔法修士生の平均値は420)。
使えないことはない。しかし、魔力の条件を満たしていてもその魔法が使えるとは限らない。
それぞれの種類の魔法毎に素質が必要なのだ。
シュウは攻撃系の魔法は得意だが、この類の魔法は苦手だった。
「でもやるしかないんだ。」
シュウは精神を集中し、魔法を唱え始めた。