ここは辺境の村ラキス。
これといった特産品も無く、さりとてそんなに貧しいわけでもない、自給自足で生計を立てている村である。
「ふう、木の実集めなんて前時代的な事をいつまでやらせるのかしら。効率が悪いったらありゃしない。」
そう文句を言いつつも籠を木の実で一杯にして帰る娘はリリィ。村でもかわいい方だろう。(まぁ、村は小さいのだが)
「そういうならさあ、俺とパーティー組んでくれよぉ。」
突然やってきて言い出すのはこの村唯一の遺跡荒らし(トレジャーハンターともいう)のカムロ。
この村に遺跡荒らしを良く思う風習は無いが、ちょっと抜けてるがゆえに、そんなに悪くは思われていない。
「カムロ兄ちゃん?ぱーてぃ、って遺跡荒らしのコト?そんなのよけい効率悪いじゃない。」
この二人別に兄弟ではない。
「そういわずに。後方支援でいいからさあ。それにリリィみたいなやつには実は神秘の力が隠されているのが定石なんだぜ?」
「そんなまた魔法みたいな事を言う。大体、前一緒に仕事してた人はどうしたのよ?」
「あいつは…逃げられた。やっぱり余所から来た奴は信じらんねえよ。」
「へぇ、そこで私をチームのマスコットに仕立て上げて、ほかの男をつかまえようとしたんだ?兄ちゃんは?」
「うぐっ!な、なにを。ハハハ。ま、まぁ考えといてくれよぉ〜〜〜」
タッタッタッ
「に、逃げた…」
まあそんな二人。
「ただいま〜」
リリィが家に帰ると一人の少女が駆けてきた。
「おかえり、お姉ちゃん。」
妹のルルである。まだ5歳くらいのちびっ子だ。リリィはこの妹を誰よりも可愛がっていた。
「ただいま、ルル。お母さんは?」
「今日は遅くなるって。だからお姉ちゃんに夕飯よろしくって。」
「ふ〜ん。分かった。ルル、夕飯何がいい?」
「チーズブレットケーキ!」
ルルは迷うことなく答えた。
ルルはリリィがこれ以外作れない事を知っている。しかも味はあまり良くない。
……とまぁ、どこにでもある平凡な家庭で育ったリリィにはカムロの言うような神秘の力なんぞ存在しない。
しかしリリィはいつの日かこの平凡な村を飛び出して、時分の好きな事をしたいと思っていた。
その日の夜。リリィは夢を見た。
何処からともなく現れた見慣れぬ服を着た男とともに自分が遠くの大地を駆け抜ける夢を……。
その夢が自分の未来を暗示している事をこの時のリリィには知る由もなかった。