「いてててて、酷い目にあった。」
爆音のした場所では一人の青年が立ち上がっていた。そこにリリィたちが駆け寄ってきた。リリィは再び言葉を失った。
  (今日はヘンな事ばかり起こる。厄日かな?)
リリィが心の中で呟く。
「あんたらはこの辺に住んでいるのか?」
青年は尋ねた。
「あ、ああ、そうだが…あんたは…?」
青年はカムロの問いに対し少し考えるそぶりを見せた。何か訳ありの様にも見える。
「あ、あの〜、無理に答えなくてもいいんですよ。」
リリィは少し警戒がちに言う。マイゴはじっくりと青年を観察している。
「いや、話しても信じてもらえないだろうが聞いてほしい。」
数拍後、青年…シュウは語り始めた。

リリィは思った。
(なんか、この人の服見たことあるような……う〜ん、デジャブってやつ?)
実は正にその通りだったりするのだが、とにかくそう思った。


さて、青年(シュウ)にあらいざらいぶっちゃけられた三人は……
(他の御伽噺みたいなとこはともかく、親友とはぐれたくだりは真実味があったわね)
とか、
(他のよく分からんとこはともかく、こいつは魔法が使えるに違いない、きっとそうだ)
とか、
(他の骨唐無稽なとこはともかく、黒い霧じゃと?これは興味が湧いてきたわい)
など、割と意見が噛み合わなかったりしていた。
「時に青年、何も手がかりが無い様じゃ。おぬしが魔法とかよんじょるそれらの書物をミズリカのわしの家でちいとばかし調べさせてくれると言うなら、何か情報を提供できるかもしれんぞ。」
「おい爺さん。状況を分かってない奴をいきなりだますのはどうかと思うがなぁ。」
とはカムロ。
「小僧、おまえさん本当に遺跡荒らしか?」
「は?それになんでシュウが青年で俺が小僧なんだ。俺の方がちょっと上っぽいだろ?」
リリィがうんうんとうなずく。さらにマイゴは続ける。
「遺跡には誰が決めたか分類があってな、そのひとつに黒い霧の遺跡というものがある。」
「黒い、霧?」
「そうじゃ、青年。そして小僧、ぬしと今朝会ったのも、そう呼ばれる遺跡の一つじゃ。」
「それじゃ、さっき見せようとしてたのは?」
「初対面の相手の前で軽はずみな発言じゃな、お嬢ちゃん。まあ隠すつもりはないがのう。」
会話に入っていけないシュウ。
「これじゃ。その名も黒霧の書。黒い霧の遺跡には大抵これが眠っておる。全編難解な暗号となっているゆえ、この場での解読は難しいが、予言やこの世界の真理の一部が記されていると言われておる。」
「それでわしの家に来い、ですか。いいでしょう、行きましょう。」
「私達も当座の予定はなかったから、そこでいいよね、お兄ちゃん」
「俺もか?」


その日の野営地で
「のう青年、ためしに解読してみたんじゃが、心当たりはあるか?」
「どれどれ?」
と横からリリィ。


  白い、大きな大きな
   黒い小さな犬が
    まさかりかついで


    どんぶらこぉ
     どんぶらこぉ



    おぼれました
             』

「んなわけあるかー!やり直して来い!!」