などというやり取りをしているとカムロが前方に二つの人影を見つけた。
「あれは……リューク!?いや、リュークが二人、どういう事だ?」
その言葉を聞くとシュウはいきなり走り出し、
「クイック!!」
叫ぶと一気に加速し、あっという間に二つの影の元へ。
「は、速っ!」
「俺達も追うぞ!」
言うと、二人も駆け出した。
少し離れた場所ではまったく同じ容姿の二人が対峙していた。すなわちリュークとルークである。
どっちがどっちか識別するのは不可能だろう。
着ている服から装飾品、肌の色までまったく同じなのだ。
唯一の違いを挙げるとすれば、その手に握った剣以外にはあるまい。
片やどこにでもある鋼鉄の剣、片や青紫色の不気味な輝きを放つ異色の剣。
二人は対峙したまま動かないでいる。この状態がしばらく続くと、
「貴様何者だ!俺と同じ姿をしやがって!!」
鋼鉄の剣を持つ方が先に口を開いた。
彼の持つ剣は<閉ざす刃>。彼は<闇の剣>と呼んでいる。
その彼には、先日より強大な力がとめどなくその身に流れ込んできているのが感じられていた。
彼は少々不満だった。まず知らなかった事がそうだし、期待外れだった事もそうである。
彼は事象の律たるデスフォッグの手足。
自ら力を奪うこと敵わぬ、可能性の沈む黒い霧の代弁者のはずだった。
世界に表面的には作用できないデスフォッグにかわり、皆にその支配を自覚させるために存在するはずだった。
少なくとも彼はそう思っていた。
そのために、この体に慣れるための準備は怠らなかった。ゼラメストにも接触した。
なのに、自分と同じ形をした者がいるという。自分の知らぬ事だ。不安要素、危険因子と成り得るかもしれない。彼は少しだけ胸が踊るのを感じつつ、そいつに会いに行った。
しかし、
「ふう…」
彼は相手と相手の剣に再度目をやり嘆息した。
「まったくだめだ。余興にもならん。…もし再び見えるようなことがあるならば、その時までには強くなっていて欲しいものだ。」
そう言うと、状況の把握すら出来ていない男の前から姿を消した。
「…興醒めだ。」