ラキス……リリィとカムロの故郷である。
「まさか旅立って一月もしないうちに帰ることになるとはなぁ。」
「ほんと、当分帰らないつもりだったのに。」
ラキスへの道中、二人はぼやいてばかりいた。
シュウは必死に聞かないようにしていた。
でもさすがに夜寝ているときに耳元で囁かれるのには堪えられなかった様だ。この2.3日でシュウは酷くやつれていた。
ふたりはそれでもぼやき続ける。
ふとシュウは思った。
「そういえば、今すぐ行こうって言ったのはお前らじゃあ……」

ピキーン

リリィとカムロの動きが止まった。すっかり忘れていた様だ。
「よ〜く考えたらなんかおかしいと思ったんだよな〜。三日目になってからいきなりぼやき出したし。」
「で、でもほら、シュウだって忘れてたわけだし、ねえ。」
「お、俺に振るなよ。ま、まぁなんだ、間違いは誰にでもあるって事で、な。」
二人は効果の薄い、いや、むしろ逆効果の弁解をする。シュウは溜め息を一つつき、
「ド・レイン!!」
仲間から生命力を吸収した。


「もう少しね。」
ラキスまであと一日と迫った晩の夜営地でリリィが呟く。
あの後は何のトラブルもなく楽に進むことが出来た。
と、前方で突然火の手が上がった。
「あれは……ラキスからだ!」
聞くとリリィはいきなり走り出した。シュウがそれを追い、先を行くリリィに追いつくとその肩に手を置き、
「テレファス!!」
叫ぶと二人の姿は消えてしまった。
「おいっ!」
置いて行かれたカムロは呟いた。


さて、テレファスで跳んだシュウとリリィだが、実はこの魔法、これまでに一回も成功したことがないのだ。
だがこういう場面では絶対に成功するものだ、シュウにはそんな無意味な自信があった。

ズドォォォォォン!!!

失敗した。いや、半分成功と言うべきか。
二人はラキスから歩いて30分の位置に墜落した。
「急ぐぞ!」
言ってシュウは駆け出した。リリィも後に続く。