リリィの家に到着し、居間兼食卓となるこの家唯一の大部屋に通された。
(といっても、家に入って最初の部屋だが)、シュウはリュークとこれまでのいきさつを語り合った。
(「ああ…なんていうか、久しぶりに我が家に帰ってきた気分…」「その通りだからだろう?」「わお、なんてツメタイつっこみなのかしら!」「微妙に口調が変わってるぞ」)
「………というわけで俺には俺の魔導剣に耐えうる剣が必要だ。さすがに一回の戦闘で一本駄目にするのは痛すぎる。それにあいつ…俺と同じ姿をしたあいつに対抗するには普通の剣では荷が重過ぎるしな。」
リュークは自分の説明をそう締めくくった。と、そこへ
ドンッ
いきなりドアが開け放たれた。
「いやぁぁぁ、ドロボォォォォ!!!」
間髪入れずしてリリィの掌から無数のヴォルトが弾け飛ぶ。
もちろん手加減なしだ。
カチャ、カチャ
しばらくして、居間では食器の触れ合う音がその場の雰囲気を支配していた。
「さぁ、お茶が入りましたよ」
柔らかな物腰で女性が振り返る。
「済みません、ラーラさん。俺がリリィに変な技教えたばかりに」
シュウはその女性、リリィ姉妹の母親に半ば本気で謝っていた。
「いいんですよ。やってること自体は昔と変わりませんから」
ラーラはそう言うと、黒焦げの重傷者の看病をしているリリィを見て微笑む。
ラーラはのんびり屋なのか明晰なのか、シュウ達の素姓や魔法について説明を求めはしなかった。
…あるいは娘達の人を見る目を信用していたのかもしれない。
「あなたもお茶でもどうぞ」
リュークに呼びかける。
ちなみにルルは帰ってすぐに寝てしまった。
「はぁ〜い」
代わりにすっとんだ声が返ってくる。
「リリィ、あなたは責任を持って看病なさい」
「はぁ〜い」
沈みきった声が返ってきた。
「で?このかわいそうな御人は誰なんだ」
シュウはリリィの手伝いもせず、片手のティーカップも離さずに聞いた。
「あんたねぇ…」
「まあまあ、そう怒んなって。こいつだって悪気があるわけじゃないんだ」
リュークはそう言って、ずずーっとお茶をすすった。
ここでリリィがキレなかったのは奇跡に等しい。
「うーん、それが見たことがないのよね…多分村の人じゃないわね」