僕が僕であるための部屋

この道の果てには何があるんだろうと考える。彼女は考えることもなく、この道の果てには、薄っすらと雪帽子をかぶった山があると言う。そうかな・・・と呟くと、だって見えるじゃないと彼女は言う。見えるものがぜんぶ真実なの?と彼女に問い掛ける。彼女はちょっと小首をかしげて、どうしたの?とでも言いたげな顔をする。彼女の小首をかしげる仕草が好きだ。今、何かを言えば、彼女の小首をかしげた姿は一生見れなくなる。そんな気がした。だから僕は・・・だから僕は、こんな言葉を彼女に返す。「ちょっとだけ哲学的な気分に浸ってみたくなっただけさ。けれどもそんな気分は僕には無理のようだね」
そう、僕は下手な嘘をつく。僕にほんの少しばかりの勇気があれば、この道の果てまで歩いて行こうと思うんだけれど、僕は勇気と言うものを持ち合わせてないようだ。そんな僕自身を僕は嫌いではない。僕は僕自身を好きでなくてはならない。僕は僕が好きだ。