僕が僕であるための部屋

「踏まないで」
君はあの時可愛そうだから踏まないでって言ったね。僕は君に言われたとおり踏まずに君の傍までたどり着いた。けれど、どうだ?今、君は僕の傍にいない。僕は一人でこの緑の大地に立っている。踏まずにね。僕はこんなことを思うよ。君は踏まれることが可愛そうだと言ったけれど、一人で立つ僕のことはどう思ったんだろうか、とね。強がりを言うわけではないけれど、決して君に執着しているわけではない。君という、いや、一人の女性「君」としての心理を僕は知りたいだけなんだ。僕にはそれを知る権利があると思う。なぜなら、僕はあの君が踏まないでって言ったタンポポを少しも踏んではいないんだから。もう一度言うよ。僕は君に執着なんかしていない。誰かに執着する僕なんて僕じゃないからね。僕はそんな僕が嫌いではないからね。