京都ごはんたべ日記

ごはんたべとは、老舗の若旦那なんぞが芸妓や舞妓と食事に行くことらしいが、
まあ、いいじゃん。この言葉が気に入ったから使わせてもらう。

2007年

12月24日(月)




 いま午前8時45分、見事な虹がかかっている。舟形から鳥居形にかけて長大な円弧。びっくりした。こんな冬の季節にも出るんだなあ。デジカメで撮ったけどうまく写ったかな?黒いのはUFOじゃなくて、単なるゴミです。





12月20日(木)
 気持よい晴天。日向はポカポカと暖かい。烏丸通を一気に北上して、丸太町を右折、寺町通を南下する周遊散歩をした。途中、進々堂でおやつのパンを買う。散歩中に立ち寄るパン屋があちこちにある。京都はほんとに手作りパン屋が多い。夷川車屋町のフリアンディーズもいい。ここのサンドイッチ(ハム・ツナ・玉子)は具がたっぷり、実に丁寧な作りで美味しい。
 昼は新町四条下るのチャイニーズ兪(Yu)に行く。ここは野菜たっぷりのヘルシーな中華の店だ。ランチ750円をよく食べるが、きょうは定食1050円にした。海老とブロッコリーのあっさり炒め、水餃子、ねぎ麺、ごはん、杏仁豆腐と充実している。みんな美味しいが、なかでもここの「あっさり炒め」は抜群。大ぶりの海老に、ブロッコリー、しめじ、かぼちゃ、人参、葱。素材そのままの色が鮮やかなあっさり塩味。さっと手早く炒めた野菜のしっかりした歯触りと持味がいい。このところちょっと野菜不足を感じていた。生き返るような思いがする。



12月17日(月)
 いつもの太郎屋に行った。季節は熱燗だ。「ほうれん草と生湯葉の煮びたし」がうまい。柚子の香りが効いている。妙な順番だが、小腹が空いていたので、焼きうどんを頼む。「おうどん、おねがいしまーす」と告げるおねえさんの声。「おうどん」の「どん」を尻上がりに発音するのが可愛らしい。関東では「う」にアクセントがあって「どん」は下がる。ここらが面白い。さて、ここの焼きうどんがうまいんだ。キャベツ、椎茸、イカゲソなんかがたっぷり入って、あっさり塩味がいい。
 やがていつものご夫婦がお見えになった。「やあ、しばらく」と隣の席に。このお二人とはここの顔なじみである。世間話など交わしながら呑むのが楽しい。ご夫婦はいつも「本日のメニュー」の「こっからここまで!」と豪快に注文しはる。粋である。酒はたしなむ程度という感じ。ぼくは二本目のお銚子。焼きうどんで腹一杯になったので、しばらく杯のみを傾ける。最後に「豚汁」をいただく。これは先日、女将さんに「豚汁が食べたい」とわがままを言ったものだ。東京では「とんじる」。こちらでは、とんじるでも通じるが、どちらかといえば「ぶたじる」が普通らしい。寒いときの豚汁はこたえられない。野菜の具沢山も大好きだ。芯から温まって店を出た。



12月9日(月)
 南座の吉例顔見世歌舞伎というものを見てきた。南座に入るのは初めてだ。昭和四年に建てられた建物は、決して大きくはないが、高い格天井などなかなか風格がある。ほぼ1000人ほどの収容らしい。三階の最前列だったので前が邪魔にならなくてよかった。上から舞台を見下ろす感じだね。ときどきオペラグラスで役者の顔をのぞく。しかし席料はここでも一万円ほど。やっぱ安くはないよね、歌舞伎は。休憩時間が短いので昼食があわただしい。お弁当を持参したり、その場で買ったり。「花吉兆」という店もあるが、折も折とて遠慮した(ホントはめちゃ高いから)。出し物は「将軍江戸を去る」「勧進帳」「義経千本桜」「二人椀久」であった。このうち筋がよく分かっていたのは「勧進帳」だけ。とくに「二人椀久」なんてのはなんだろう?と思ったら、これは踊りだった。
 「義経千本桜」は、義経が出るのかと思ったら、むしろ平家の落人維盛にまつわる話で、しかも主役は「いがみの権太」なんてワルの町衆であった。菊五郎の権太はかっこいい、と解説に出ていたが、いまいちピンと来なかった。それに比べて幸四郎の弁慶ははるかに解りやすい。見得を切るとこも、六方を踏んで引き上げるとこもかっこよかった。声もいいね。さて「二人椀久」は仁左衛門・孝太郎親子が男女を演じる舞踊であった。これには驚いた。歌舞伎ってこんなのもあるんだなあ。感嘆した。遊女松山に狂って身を持ち崩した椀屋久兵衛。松山の幻影が現れ、二人がからまる幻想的な舞い。夢幻の世界である。仁左衛門はむろん素晴らしいが、孝太郎の松山も美しい。遊女ながら清潔な色気を感じさせた。



11月28日(水)
 やっといいシクラメンを見つけた。いつもこの季節に買って、春三月ころまで楽しむのを常としている。ところが今年はどこの花屋にもいいのがなかった。もちろん三千円なんてのはあるが、そんなのは金輪際買わない。千円以下と決めている。去年は掘り出し物にぶつかって、美しい花を次々に咲かせてくれた。その鉢を夏越しさせたつもりだったが失敗だった。きょう錦市場を流していたら、花屋の店頭にシクラメンがあった。小ぶりだけど、いい花、いい色が気に入った。しかも一鉢400円! よし、買った。それもピンクと赤の二つ。花鉢を買って帰るときは、なぜかルンルン気分になる。これでまた一冬楽しめるな。



11月22日(木)
 きょうは、ふぐの唐揚げが出た。富小路四条上るのいきつけの割烹である。千円以下の定食にふぐの唐揚げが出る店はそうそうないだろう。ほかに、焚き合わせ(蛸、小芋、筍、人参、椎茸、蕗)、畑菜の胡麻からし和え、茶碗蒸し、がついている。味は本格、お値段はお手頃、こんなお店があるから京都はいい。木枯らしが身に沁みるこのごろになると、間もなく寄せ鍋が登場するはずだ。こいつがこたえられない。海鮮たっぷり、野菜たっぷり、おまけに出しが抜群で、心からあったまる。楽しみだなあ。



11月21日(水)
 東京に居たとき、近所の「大戸屋」という定食屋によく通った。うちの真ん前に伊勢丹があるという町だったが、郊外の駅前商店街の悲しさ、ランチ事情は京都にくらべてはるかに貧弱であった。洋食屋、中華料理店、天丼屋、回転寿司、蕎麦屋くらいしかない。そのなかで大戸屋は調法した。定食屋であって定食屋を超えている。リーズナブル、かつヘルシー、かつ味よし、かつ雰囲気よし、であったから、しばしば愛用した。おもに関東に展開するチェーン店であり、上場会社でもある。
 それがいよいよ京都に進出した。三条木屋町できょう見つけた。聞けば夏に開店したという。知らなかったなあ。いそいそと入店。東京の店はアットホームなブラウン系の内装だったが、ここはモノトーン系のクールなインテリア。ほぼ満席。8割方は女性客。リーズナブルかつヘルシーだから、それもわかる。大戸屋という名がダサイと思ったら大間違い。OH-TO-YAという感じなのだ。京都に前からある定食屋チェーンとは一味も二味もちがう。
 メニューはすべてカロリー表示つき。「広島カキのせいろ御飯と鶏と野菜の揚げ煮」690kcal を注文した。せいろ御飯はなんと、コンロの火に乗って登場した。まさにホッカホカ。全体に上品な味付けでおいしかった。一角にはドリンクバー、お茶バーもあって、プラス180円でいろいろなお茶も楽しめるしかけ。デザートも各種そろっている。ま、肉気をガッツリ濃ーい味で、なんておにいさんには向かないだろうが、女性やメタボ心配のおとうさんには、おすすめのらんちどころである。



11月19日(月)
 木枯らし一号が吹いて急に寒さが増して来た。今夜も飲み屋に出かけるべく外に出て、しまった、マフラーをしてくればよかった、と思った。いきつけの太郎屋で、熱燗一本!と注文する。肴は豪華、鯛のかぶと煮。めったにないチャンスである。しばし盃を重ねていると、いよいよ鯛が登場した。びっくりしたなあ。なんと洗面器ほどもある器でお出ましだ。巨大な鯛かぶと。いままで食ったなかでたぶん最大であった。ぶりかまや鯛かぶとをつつくのは実に楽しい。大きな身がポロッと取れると嬉しくなる。宝さがしの楽しみである。目玉や、とろとろのコラーゲンもある。お肌によさそうだ。割烹なんかでこんな鯛かぶとを取ったら勘定が心配になるが、この店なら心配無用。熱燗二本でちょうど適量だった。心身ともにあったまって、帰りはルンルン気分。寒さも平気であった。



11月14日(水)
 秋晴れである。朝、布団と枕をベランダに干してから出かけた。きょうは烏丸通をひたすら北上して御所に行った。堺町御門から入る。すぐに玉砂利を避けて林に分け入る。玉砂利を歩くのはどうも苦手である。音も気になるが、なにより、ズリッと足が滑る感じで、なかなか進まないのが気に入らぬ。うっそうとした樹林の下の土を踏んで歩くのが心地よい。朝露をとどめる下草や落葉のソフトな感触がいい。ひんやりと清涼な秋の空気を思いきり吸い込む。樹木の一角だけが赤く色づいている。
 昼食は、ひさしぶりに寺町竹屋町の進々堂に寄った。ここはゆったりと落ち着けるのがいい。スパゲティ・カルボナーラ(パンつき)を取った。いろいろなパンを選り取り見取りなのがうれしい。堅めのバゲットがうまかった。香ばしいパリパリ感が、カルボナーラのネットリ感と対照的で、両方うまい。思わずバゲットをおかわりした。明るい窓際の円卓では、小洒落たマダム風がひとりでランチしている。そんなのが似合う店である。



11月10日(土)
 ついに、ついに、食ってきました、「はふう」のカツサンド。その厚さ、その柔らかさ、鮮やかな肉の色、期待にたがわぬ仕事だった。露地風の導入路をくぐると、どーんと長いカウンター。11時半きっかりだったので空いていた。店員がいっせいに顔を上げて挨拶する。空き椅子の背当てがびしーっと一直線にそろっている。厨房の調理台や鍋がピッカピカである。これでもうこの店がわかってしまう。これなら大丈夫だ。あれよあれよという間にカウンターは一杯になった。
 ハヤシライスの客が多いようだ。見ると、ハヤシライスは蓋つきの壷で出てくる。こいつをみずからライスにかける仕掛けらしい。肉がガッツリ入ってると評判だ。こんどはハヤシライスにしよう。カツサンド1800円が来た。三切れがさらに半分に切ってある。こうしないとかぶりつけないほど分厚いのだ。つごう六切れのカツサンド。刻々と減って、残り少なくなるのを、これほど惜しいと思ったことはない。並サンドでこの陣容ならば、極上和牛カツサンド5000円は、いったいどんなことになるのだろうか?



10月18日(木)
 昼食後ぶらぶら歩いて、京都文化博物館へ行った。「トプカプ宮殿の至宝展」というのをやっている。オスマントルコ、スルタン、ハレム、なーんて聞くと、なんだかわくわくする。とくにハレムは興味津々である。世界中からイスタンブールの宮殿に集められた金銀財宝。いやーびっくり、さすがである。しかしまあ、古今東西、権力者というやつは、よその国から金銀財宝をぶんどってくるもんなんだねえ。大英博物館のコレクションなんてのも、えらそうに言うが、まさに英国の略奪の歴史である。さてトプカプ宮殿、なかでも帝王スルタンのターバン飾りというやつがすごい。262カラットのエメラルドが妖しい輝きを放つ。その上にはでっかいルビーがついてる。ハレムの女性たちの、ネックレス、イヤリング、指輪、さらに足輪まである。惜し気もなくちりばめられた宝石、宝石、宝石。ここで忠告! この展覧会には彼女を連れて行かないほうがいいよ。



10月11日(木)
 まえに西京漬のことを書いた。銀ダラの西京漬は旨いけど、定食には出ないだろうな、と。ところが、ところが、出たんですねえ、これが。西洞院四条のゆるり屋で出た。この店はしょっちゅう昼メニューを変える。どうもそれが趣味らしいんですね。店長さんが、ウッシッシなんてほくそ笑みながら、献立を考えてるさまが目に浮かぶ。そして、そいつを毛筆縦書きで麗々しく記す。季節の変わり目を期して、全面改訂したらしい。
 銀ダラ西京漬、出ましたね。いろいろと家来を連れて出た。出し巻き玉子、小芋煮、小松菜煮びたし。銀ダラの脂ギトギト感、ヤワラカ感がいい。焦げた皮のところも旨い。おまけに、添えられた味噌がよかった。なんていうのか、甘くてトロトロなめらかな味噌だ。こいつをごはんにつけて食べるとこたえられない。思わずごはんをお代わりして、二杯食べてしまった。ごはんはお代わり自由。お櫃で出て来るので、気楽でいい。



10月6日(土)
 待ちに待った爽快な秋晴れである。さあ出かけよう。そうだ、芸術の秋と洒落てみようか。東山のふもと、鹿ケ谷の「泉屋博古館」に行く。「いずみや」のクッキーじゃないよ、「せんおく」と読む(じつはぼくもはじめて知った)。住友財閥が蒐集した中国古代の青銅器コレクションの美術館である。観光客なんかには知られてないから、土曜日なのにホント静かである。東山を間近に望む立地、瀟洒な建築と庭は一見に値する。中に入ると、東山の借景と空のほかには目障りなものが一切見えない。別天地の静寂を味わえる。
 そんな環境で、四千年前の中国の青銅器に触れる。まさに時空を超える思いがする。古い順に、商時代、西周時代、春秋戦国時代などの青銅器が数多く並ぶ。しろうと目にもわかったのは、なんだか古い時代ほど独創的で迫力に満ちていることだ。縄文式と弥生式のちがいを思わせる。さて、芸術の秋が済んだら食欲の秋だ。帰りにはすぐ近くの「日の出うどん」と決めて来たんだが、あいにく昼時にぶつかった。例によってタクシーの行列。店先には先客が十人あまり。やれやれ!この店の<肉カレーうどん>は絶品なんだけどな。ま、しかたないか。今日はあきらめて帰ろう。



10月3日(水)
 近所にいい店が出来た。西洞院四条下るの「HAMBURG LABO」である。三井ガーデンホテルの向かいあたりだ。黒毛和牛ハンバーグなんかもあるというハンバーグ専門店である。とはいっても、サイコロステーキ、ステーキどんぶり、などもある。たまには肉気をガッツリ、なんてときに便利だ。清潔なムードの店内。入るとすぐにカウンター、つぎに厨房、その奥はテーブル席らしい。おなじみのウナギの寝床スタイル。カウンターの中には肉を焼く大きな鉄板がある。カウンターの一番奥に座ったが、なかなか居心地よいのが気に入った。夜は酒のアテなどもいろいろあるようだ。つまみながらワインを傾けるのもいいかもしんない。



10月1日(月)
 暑い暑いといってるうちに、もう10月である。鴨川では今日、納涼床の撤去工事をやっていた。おそまきながら秋だなあ。円山公園内にある「長楽館」を見学してきた。きょうから四日間限定で、普段は見られない座敷などが公開された。明治末期に建てられた大富豪の邸宅である。長楽館とは、ここに招かれた伊藤博文が名づけた名称らしい。現在はリッチなプチホテル兼カフェとして営業している。外観はルネサンス様式だが、中身は和洋華三様式の折衷である。三階の座敷は高い格天井。まるで殿様の居室みたい。二階以下はロココやらアールヌーヴォーやらの華麗な洋室である。おまけに、そこらじゅうに飾られた置物がすごい。ドレスデン、マイセン、ボヘミアンの逸品ぞろい。なんでも鑑定団(ぼくはこれが好きなんだよね)に出したら、えらい騒ぎになるだろう。むかしの金持って、ホントの金持だね。ハイカラ趣味だって本格派である。後世に残るものを造り、蒐集した。それにしても、いま、こんな建築をまかせられる職人が、はたしているだろうか?
「せわしなき世にひとときの長楽館」



9月27日(木)
 昼食に天麩羅が出た。天つゆに大根おろしを入れようとして、待てよ、と思い直した。ある人が言ってる。「天つゆに、大根おろしは入れないほうがよい」。言ったのは、かのグルメ界の大御所、北大路魯山人・・・ではない。わが愛する食い物エッセイの名人、東海林さだお先生である。だったと思う・・・たしか。いままでは特に意識しなかった。せっかく添えてあるんだしィー、みたいな感じでェー、なにげにィー、大根おろしを入れていた。天つゆだけで食べてみたら、目からウロコであった。ほんとに、ちがう。だんぜん美味しい。キレのいい出しの旨さが引き立つ。大根おろしは、せっかくの天つゆの旨味をぼかしていたんだな。これからは断然これでいこう。いくつになっても発見はあるもんだ。ちなみに、大根おろしには醤油をちょいとたらしていただいた。これはこれでよし。



9月26日(水)
 定食に鰤の西京漬が出た。さわらの西京漬はおなじみだが、ぶりはちょっと珍しいかな。鰆は淡白でしっかりした肉質。鰤はもっと脂が乗ってトロリとした舌触りである。初めて西京漬なるものに出会ったのは、ずいぶん昔の話だが、たしか、目黒駅前の割烹だったと思う。新鮮な驚きであった。味噌の甘さと風味と焦げた味がなんとも旨かった。そのときは、京都の白味噌ということも知らなかった。お江戸では魚といえば、まず刺身、ついで塩焼き。あと干物くらいか。手間ひまかけて加工された魚は一般的でない。魚屋でもあまり見かけない。粕漬け、味醂漬け、醤油漬けなどの多彩さは、京都ならではと思う。銀だらの西京漬も格別なんだけど、こいつはちょっと定食には出ないだろうな。



9月24日(月)
 錦市場を通り抜けようとしたら、けっこうな人出である。歩きにくい。連休のせいもあろうが、観光客も出てきたね。これが例によって、デカイ旅行鞄を引きずってるので迷惑千万だ。若者ばかりか、おばさん族も目立つ。おいおい、混んだ市場に旅行鞄なんか持って来るなよ。どうもちかごろ、TPO(時・場所・場合)をわきまえぬ人種が多過ぎると思いませんか?電車の中で飲み食いしたり、化粧したり。なかにはバーに赤ん坊を連れてくる親までいる。どうなってんの?<TPO>は死語になっちゃったのか。GNP、TOB 、FRB、なんてゼニカネ用語ばかり氾濫する。
 連休の店が多い。先日見つけたばかりの「みます屋」に行った。上海かた焼きそば、を頼んだ。焼きそばのでかい皿と野菜サラダの小鉢が出てきた。そうか、中国と欧米できたか。米国のサラダは洗面器で出て来るから、小鉢はパリあたりか?とりあえず焼きそばに手をつける。そしたらなんと「いまオニギリをお持ちしますから」ときた。オニギリ二個withザーサイが来た。これで和洋華グローバル定食の完成だ。さて、食べ方に迷う。オニギリを主食として焼きそばをおかずにすべきか?海鮮野菜あんかけだから、おかずと言えぬこともない。それとも、焼きそばがメインで、オニギリは口直しかな?一個目のオカカは、まあなんとかなったが、二個目の梅干しにはまいった。味が強烈すぎて他と合わない。ひたすらオニギリに専念するしかなかった。和洋華のコラボレーションには、さらなる工夫をのぞむ。



9月22日(土)
 ことしはサンマが豊漁だ。<豊漁>なんて聞くと、なんだか嬉しくなる、楽しくなる。「豊漁」の文字も、「ホウリョウ」なんて発音も、絶えて久しく見聞しなかった。秋の訪れとともに、ここんとこ、サンマさんにチョコチョコお目にかかる。テレビじゃないよ。さて、サンマさんをどうやって食うか?酒のアテには刺身や炙りもいいが、なんといっても塩焼きだね。こいつが一番好きだ。きょうの昼飯もサンマ塩焼きであった。出てきたとき、皿からはみ出す巨体がうれしい。「オウ、来たか、よし、よし」なんて言いたくなる。胸や肩のあたりは筋骨たくましく、下半身?はスラッと長い。カール・ルイスみたいな体形である。走ったら、いや、泳いだら、さぞ速いだろうな。
 こんな立派な塩焼きは、チマチマ食っては申し訳ない。大胆に箸を突っ込み、肉や内臓をカタマリ食いしたい。ただしすぐ呑み込んではいけない。口の中でグッチャコグッチャコ噛みしめる。すると、焦げたカリカリ皮と、シットリ肉と、トロトロワタと、ジワジワ脂が混じりあって、いやはや、もう、なんとも言えない。どうだ、まいったか!ヘヘー、まいりました、という感じ。こいつばかりは、高級魚に町の巨匠があれこれ手を加えたって、はるかに及ばない。まだまだ残暑厳しく、ヘンテコな秋だけど、うまいサンマを心ゆくまで食えるだけでも、ま、良しとしよう。



9月20日(木)
 ひさしぶりに新しい昼飯どころを開拓した。富小路四条上る東側の「みます屋DELI」だ。いきつけの割烹楽味のすぐ隣であった。まえからちょいと気になっていたんだが。楽味のほうは平均年齢がかなり高い。おじさんおばさんである。いっぽう、みます屋は対照的。生きのいい若い者ばかりだ。店の表に黒板書きのランチメニューがいろいろ出ている。どうやら和洋折衷みたいな感じだな。
 入口は狭いけど、店内は意外と広い。奥行きが深い。座敷もある。カフェ風の雰囲気。メニューは、パスタセット、上海かた焼そば、ハンバーグ、魚定食などなど多彩。魚定食780円にした。スズキの唐揚げあんかけ、おばんざい小皿、野菜サラダ、味噌汁、漬物、ごはん。ヘルシーできれいな盛り付け。女性が喜びそうだ。スズキの唐揚げが旨かった。上品な味つけにあんがいい。出し巻き、切り干し大根が添えてある。ごはんが美味しいのも気に入った。最後はプラス100円のコーヒーで締めた。ほかのものも食べてみたい。また来よう。



9月16日(日)
 「おたまはん」って知ってますか? <卵かけご飯専用しょうゆ>である。大ヒットしてるようだが、未経験だ。自他共に許す「醤油党」のぼくとしてはウカツであった。カツサンドのソースはしょうがないけど、だいたい何でも醤油でいく。トンカツ、コロッケ、エビフリャー、アジフリャーは言うに及ばず、焼そば、たこ焼もしょうゆに限る。どだいソースが好きでない。ウースターもトンカツも受けつけない。ケチャップも好まない。今朝も行きつけの前田珈琲錦店で、モーニング「錦セット」を食ったが、断然「ケチャップぬき!」と注文する。
 ケチャップは、もともとは東南アジア起原のナンプラーみたいな魚醤ソースだったらしい。それなら許せる。ところが、いつのまにやら例の味音痴の国で、トマトケチャップになっちゃったという。なんでもかんでもケチャップやタバスコをぶっかける。ヤだね。フライドポテトにケチャップじゃぶじゃぶ、なんて人とは、あまりお友達になりたくない。さて、醤油だけど、どうやらご飯のみならず、さまざまな専用しょうゆが出てきたようだ。「とんかつ醤油」に「カレーかけ醤油」、はては「アイスクリームかけ醤油」まで登場した。アイスクリームはいかがなものかと思うが、とんかつ醤油はぜひ一度試してみたい。(→京都来た見た食った<東京篇>ぼくは醤油愛好党)



9月13日(木)
 ようやくお散歩日和になってきたなあ。酷暑の日々はとても歩く気にならない。京都の夏は、気温もさることながら、無風が耐え難い。じんわり蒸し上げられる肉マン地獄だ。きょうは、日射しは強いが木陰の風がすずしい。風が流れてこそ秋の気配である。富小路の店で日替わり定食を食った後、三条通を東へ向かった。ひさしぶりに南禅寺へ行って見よう。
 参道は人影もなく静かなものだ。さすがに汗をかいた。茶店の「かき氷」が目を引いた。店先の床机で食わせるのかと思ったら、なんと、門を二つくぐり、広い庭園の中の茶屋に案内された。おい、おい、かき氷だけでいいんだよ、まさか二千円なんてことは?と、ちょっとビビッたが、それはなかった。氷メロン五百円であった。周囲を見るとみんな鍋をつついている。なんだなんだ?「名物ゆどうふ」の文字が見えた。あ、そうか、ゆどうふの店なのか。
 ま、いっか、ゆどうふの真ん中でかき氷を食うのも悪くない。しかし、かき氷なんて、いったい何年ぶりだろうか?場所柄、さすがにお上品な氷が出て来た。金属の皿に四角い紙の座布団を敷き、その上にガラスの皿という三段構えでお出ましになった。シャクシャクシャクという氷の感触がいいね。昔食った粗雑なかき氷みたいに、ガリガリという氷のカケラは皆無だ。甘さひかえめはよかったけど、シロップひかえめはいかがなものか?底のほうは氷だけになっちゃった。いささか心残りであった。



9月5日(水)
 カツサンドが好きである。しかし、喫茶店やパン屋にはたいていあるが、ほんとに旨いやつにはなかなかお目にかからない。それを見つけた。四条烏丸の京都産業会館地下の「珈琲家あさぬま」である。ロースカツサンド珈琲付980円。こんがり焼けたトーストに揚げ立てカツ。野菜サンドや玉子サンドはふわふわ白パンだけど、カツサンドはやっぱりトーストでなくっちゃね。厚過ぎず、薄過ぎず、これぞぴったりという肉の厚さがいい。ころもの適度なカリカリ感が香ばしい。ロース肉がうまい。アホな食べタレみたいに「ジューシー!」なんて言わんけどね。キャベツにからまるソースの味がひかえめでよい。濃すぎるソースはカツやパンを殺してしまう。ここの大テーブルで朝刊を読みながら、カツサンドをかじるのが楽しみになった。この店は並の喫茶店ではない。客の平均年齢がきわめて高い。キャピキャピ・ギャルや、いちゃいちゃカップルはまずいない。大人がゆったりと心静かにお茶を楽しむサロンなのだ。



8月13日(月)
 きょうもめちゃくちゃ暑い。納涼ビールでもと、夕方家を出た。四条通を、烏丸方面に向かうときは靴を履くが、大宮方面なら下駄をつっかける。なんとなく自然にそうなるから面白い。大宮あたりで、海産物居酒屋さくら水産、という看板を見つけた。たぶん最近出来た店だろう。"everyday the same low price" ときたもんだ。よし、気に入った。とんとんと二階に上がる。小ぶりなカウンターに座る。とりあえず「生中」をたのみ、肴はえーと、まぐろ、あじ、いか、しめさば、各280円。やすいねえ、一品280円が基本らしいな。鯵の刺身にした。
 表はテーブル席、奥は座敷のようだ。例によって鰻の寝床みたいな店内。店員が忙しく行き来する。「ソウさん、刺身はやくね」なんて声が聞こえる。「リュウさん、お酒まだ?」。おや?と思った。そうか、そうなのか。海産物居酒屋に、ソウさん、リュウさん、チンさん、なんかがお出ましなんだ。東京では慣れっこになっていたが、京都の飲み屋ではめずらしい。魚は新鮮だった。気軽にちょいと一杯やるのにいいな。



8月8日(水)
 祇園祭もおわったなあ! 8月に入ってから連日、35度以上の猛暑日である。こう暑いと、さて何を食おうかしらと考えてしまう。そこで今日は大丸さんのデパ地下へ行った。じつは太郎屋のおなじみさんから教わったのだ。そのお方はさらりとおっしゃる。「あそこはうちの冷蔵庫兼厨房よ」だって。「えっ、そんなのあり?」と一瞬思ったが、「あり」なんだよねえ、これが。おすすめに従い、柿安ダイニングの「黒毛和牛スタミナうどん」ってやつを買った。プラスティックの器に、うどん、具、たれ、温泉玉子が入っている。具は牛煮込みとオクラである。冷蔵庫でよく冷やしていただく。うどんに具を乗せて、たれをかけ、温泉玉子を割り入れるだけだ。じつに簡単。あっと言う間にできる。箸でグチャグチャかき回して食う。オクラのヌルヌルズルズル、玉子のトロトロツルツルがなんともいえない。なかなかオモシロマイウ一の一品であった。



7月15日(日)
 きょうは祇園祭の宵々山。台風一過、午後は晴れてきた。夕方から浮かれ出すには絶好である。四条通は歩行者天国になった。四条上る下るの小路は山鉾の準備も万端ととのい、屋台と人並みでごった返している。新町通は満員電車のようだ。かねて目当ての屏風祭りに行った。新町四条下るの長江家である。船鉾会所の真ん前にある立派な京町家だ。町家の例にもれず、奥行きが深い。どんつきには二棟の蔵が並んでいる。真中の坪庭をめぐって二軒の町家が合体したような造りで、けっこう広い。屏風のよしあしは判らないが、もっぱら建物を興味深く拝見した。
 町家を出ると、すぐ隣がおなじみの「チャイニーズ兪」である。ずいぶんごぶさたしていたなあ。「おひさしぶり!」と入ると、「生きてましたか?」という声。あいかわらず元気なご主人と奥さん。紹興酒のロックで、水餃子と麻婆豆腐を食べた。でっかい土鍋で出される麻婆豆腐が、まいうーだった。本格派のスパイスがいい。客がひっきりなしに出入りする。またゆっくり来ようと思って店を出た。帰りは歩行者天国の四条通をぶらぶらと歩く。祇園囃子のストリートライブをやっている。女性は圧倒的に浴衣が多い。いいもんだなー、浴衣は。女っぷりが五割かた上がって見える。銀座あたりでも、もっと浴衣を着ればいいのにね。



7月12日(木)
 京都に来て祇園祭を見るのも三回目である。四条烏丸あたりの鉾も立ち上がり、きょうは曳き初めだ。四条室町は「鉾の辻」といわれ、函谷鉾、菊水鉾、月鉾、鶏鉾など、一番メジャーな鉾が先陣を切る。室町四条下るの鶏鉾は、池坊女子短大の女学生が大挙して、浴衣姿で曳き初めをやる。それが今日午後だったのに、あいにく見損なってしまった。残念!そのかわりといってはなんだが、四条烏丸の京都中央信用金庫本店に行った。ここは祇園祭のあいだ、女性がみんな浴衣姿なんだよ。玄関を入ってひとわたりずいーっと眺めていたら、守衛さん風のおじさんが「どんなご用でしょうか?」と言う。「あの、きれいなおねえさんを見にきたんです」と言ったら「ああ、はあ、どうぞごゆっくり」と答えた。いいねえ、このゆるーい感じがね。



7月3日(火)
 このところ川柳ばっかりやってて、ずいぶん日記をさぼってしまった。そうこうしてるうちに早くも7月。京都の夏といえば祇園祭に鱧(ハモ)料理。夕暮れになると、室町・新町界隈では、コンチキチンの祇園囃子が響き始めた。飲み屋に行くと、鱧落とし、炙り、山椒焼き、天ぷら、と鱧三昧である。錦市場でハモを売るおばちゃんの声にもひときわ気合いがはいる。
 もうひとつ夏の使者が来た。思いがけず、幸福の木にポッチリ、新芽が出てきた。ある日突然発見して驚いた。冬場に枯れてしまったので、葉を全部切り落として放置していた。もうだめかと思っていたら、えらいもんだなあ! 硬い樹皮を突き破って若々しい緑が二つ顔を出した。何かいいことがありそうだ。一日ごとにぐんぐん伸びる。再び水やりを始めて成長を楽しみにしている。



6月17日(日)
 いよいよ梅雨に入ったらしい。なんだか蒸し暑くてやや食欲も減退気味である。日曜はほかが休みなので「ゆるり屋」に行くことが多い。きょうは「冷や汁」というものがあった。冷やした麦飯に、とろろまじりの冷たい出汁をかけてかっ込む。焼き鮭のほぐし身ときゅうりや大根の薄切りを乗せる。これはよかった。うっとおしい季節にぴったり。すいすい食べられる。顔見知りの若い女店員が、とんだボケをかまして大笑いだった。伝票に「冷や汗」と書いたらしい。



6月3日(日)
 このページの読者からご親切なメールをいただいた。高倉通御池下る、の「亀甲屋がいい」と・・・。さっそく繰り出した。古い町家を生かした店構えである。落ち着ける清々しいカウンターが気に入った。日曜日限定の「京三昧御膳」1500円をいただいた。できたてのお料理がひとつひとつ供されるしかけ。本格的である。その陣容に驚嘆した。
 平野さんのお豆腐の冷奴、切り干し大根、長茄子と生麩の田楽、穴子とお野菜の炊き合わせ、鱧の天ぷら、ちりめん山椒ごはん、白味噌汁、香の物。そしてそして、締めには豆乳水無月に京番茶である。じつに丁寧なつくり、京の味である。満足した。こんど遠来の客を迎えたら、即刻ここのお昼に連れて来よう。京町家の風情、その料理、暖かいもてなし。「これぞ京都」と感激してくれるにちがいない。



5月28日(月)
 伊藤若冲展を見て来た。ひさびさに見ごたえがあった。同志社大学の北にある相国寺の承天閣美術館で開催されている。相国寺は臨済宗の大本山である。境内に多くの塔頭がある。伊藤若冲は名前だけは聞いたことがあるが、本物を見るのははじめてだ。最近とみに脚光を浴びているらしい。代表作の動植綵絵というものが120年ぶりに公開された。もともと相国寺に伝わる絵が明治時代、皇室に寄贈されたものらしい。いまも相国寺にある釈迦三尊図とともに展示された。動植綵絵三十幅は圧巻であった。のびやかな筆致で画家みずから楽しんで描いたように思える。色鮮やかな花々と鶏や孔雀が生きているみたいだ。それにくらべると釈迦三尊図のほうはいささか硬い感じがした。全国から観覧者が集っているらしく、かなりの混雑であった。



5月19日(土)
 最近、四条新町ちかくの「葱屋平吉ゆるり屋」をひいきにしている。ここの「鯛柚子鍋」にはまっている。ほかにもいろいろな鍋があるけど、ぼくは断然、鯛柚子である。澄んだ京出汁に柚子が浮いている。軽く炙り焼きした鯛の切り身がいっぱい入っている。こいつが旨い。よく通ってるので、料理長さんが特別サービスしてくれるみたいだ。葱もはいってる。うどんもはいってる。でも、細くてしなやかな京うどんなので、まあ、具のひとつみたいな感じだ。鯛の脂がにじみ出た出汁がなんともいえない。おかわりしたごはんにぶっかけて、雑炊にして食べる。ひとつで二度楽しめるのがいい。



5月12日(土)
 子供の日、ひさびさに大阪へ行った。一週間前だ。高校時代の同級生たちと、まあ、お食事会というか、おしゃべり会というか・・・。それをなんでいまごろ書くかというと、ちょっと消化する時間が必要だったみたい。すぐ書いちゃうと、支離滅裂になりそうで。
 メンバーは女性五人と私である。黒一点。想像しただけですごいでしょ?ひとり暮らしの男やもめを心配して呼んでくれるんだ。泣けちゃう。昼前、阪急梅田駅に集合し、地下道を歩いて目標の店に向かった。さあそれからが珍道中であった。なにしろ女性五人でしょ、おしゃべり歩きでしょ、おまけに地下でしょ。あたしたち何処行くんでしょ?みたいなカーンジ。さんざ行きつ戻りつしたあげく、ともかく地上サ出るベ。さいわい案内地図があった。ぼくは地図と周辺のビルを見てすぐ判った。とんでもないとこまで行き過ぎていた。梅田の地下街はホント迷路だね。
 「わかった、オレについてこい」てなわけで、女性部隊を引率した。男の面目躍如。梅田駅前は高層ビルがずいぶん増えたね。様変わりだ。ビルに見とれて一人がコケた。悲鳴、驚愕、救助、介抱、同情、安堵、爆笑。それからは、昼食、珈琲、二次会、おしゃべりを楽しんだ。女性たちが、それぞれの個性に合わせて、さまざまな趣味を続けているのに驚き、感嘆した。手品が得意な保護司さん、水墨画や藍染めのひと、くす玉飾りを山のように作ってきたひと、ボランティア活動のひと、見事な花を咲かせるひと。女性の美点は辛抱だね。男は飽きっぽい。ぼくの囲碁も中断・・・ハンセイ。



5月3日(木)
 鴨川に行ったら早くも納涼床が始まっていた。三条大橋のスタバに寄る。アイスコーヒーを手に、いそいそと床に出ようとしたら「禁煙です」だって! まいったね。しょぼしょぼと表のテラスに回る。川風が吹き渡る屋外だよ、離ればなれのテーブルだよ、それで禁煙かい? やれやれ。健康、健康と大騒ぎする時代。そのくせ、脂ギトギトのファーストフードなんか食って、コーラがぶ飲みだ。どうかと思うね。鴨川べりの新緑に目を洗われる思いだ。「樹は毎年若返れていいわね」とむかし妻が言ってたのを思い出した。



4月23日(月)
 「都をどり」を見に行った。はじめてだ。花見小路の祇園甲部歌舞練場はさすがに貫禄がある。有形文化財というから、さもあらん。茶券付特等観覧券4300円也を奮発した。しばらく待たされてから二階のお茶席に上がる。ずらり並んだ席の正面で芸妓さんがお点前を披露している。 可愛い舞妓さんがお茶を運ぶ。 小皿に乗った和菓子をいただき抹茶をすする。小皿は紙に包んで持ち帰るしかけだ。それから延々と渡り廊下を過ぎて劇場入口にたどりつく。渡り廊下から中庭が見えたが、桜はもう過ぎたようだ。
 やっと場内にはいる。風格ある木造建築。高い格天井。二階席もある。左右両袖に花道があり、その脇に地方さんの席がある。指定席は前から12列目の右寄り、いい席だ。やがて、「都をどりはヨーイヤサァー」のかけ声とともに、花うちわを手にした芸舞妓が舞台両側の花道から華やかに登場した。春夏秋冬と景色が移り変わる。色彩が変わり、踊りが変わる。とにかく華やかだ。可愛い。美しい。その踊りを支えているのが、右手に居並ぶ地方のベテランお姐さんたちだ。なかにはおばあさんも(失礼)。凛とした長唄?三味線が見事である。
 花街といえば客は旦那衆だろうが、こうして時には奥様方の御機嫌もうかがっているんだね。奥様方がアンチ花街にならないように気を使ってるのかな。いや、女性ばかりじゃないね。ぼくみたいな大抵の男にとって、お座敷の芸妓さん舞妓さんなんて雲の上、高嶺の花。こんな機会でもなければその艶姿に接することはありえない。春の到来を告げる古都の風物詩を充分に堪能した一日であった。



4月19日(木)
 じつに心地よいぽかぽか陽気に誘われて、今日は二度のお出かけ。昼食後いったん帰宅したが、ニ時ごろまた散歩に出た。こんな日は「ろうじ」よりも大通りがよい。あったかいお日様を顔に受け、微風が頬をなでる。しまった、上着を脱いでくればよかった。暑さ重さがちょっと気になる。ちょうど上一枚着るか脱ぐか迷う頃である。そのうち街を行く娘たちも、コートを脱ぎ、ジャケットを脱ぎ、ブラウスやTシャツの軽装になる。楽しみだなあ。烏丸三条のスターバックスで、きょうはアイスコーヒー日和であった。



4月15日(日)
 歩くと汗ばむ陽気になった。市役所前でフリーマーケットをやっていた。さっそく人ごみをぬって見物だ。着るものはどうでもいい。骨董我楽多のたぐいを探す。木箱とか飾り物とか、とにかく木でできた古いものが好きだ。木は古くなるほど味が出るからね。でも残念ながら目ぼしいものは無かった。けっこう外国人の客もいる。去年あたりから欧米人の観光客がずいぶん増えた感じだ。まさに「欧米か!」である。小泉元首相のジャパン売り込み作戦がそれなりの成果を上げたみたい。
 だいたい日本は外国からの客が少なすぎるよね。外国へどんどん出て行くわりには入国者が少ない。先進国の中では最低らしい。いままでと発想を変えて面白い日本を発信したらどうかな? 日本で唯一のまんがミュージアムが京都に出来た。「アキハバラからまんがミュージアムへ」なんてツアーはどうかな?
 帰りにちょこちょこ買物をした。まず、御池通の進々堂でチョコレートパンを一個、こいつはおやつだ。気に入っている。つぎに烏丸通に最近開店したYaMaYaで、シングルモルト「北杜」を一本、これは寝酒である。この店はウィスキー、ビール、ワイン、日本酒、焼酎、なんでも品揃えが豊富なので、便利だ。さいごに四条通西洞院のFRESCOで食品を少し仕入れた。新町通に一本だけある桜がハラハラと花びらを散らしていた。



4月10日(火)
 ごはん革命をした。なーんて大袈裟だけど、わたくしには画期的な大変化である。きょうまですべて外食を通してきた。といっても主たる食事は昼一回で、朝晩はいいかげんに済ましてきた。それがなんと、ごはんを炊くことにしたのだ。ちっちゃな炊飯器で一合炊いて朝晩半分ずつ食べる。
 変心の発端は錦市場である。日頃から市場を歩いてちょいと試食したりしていたが、ある日ふと思った。見るだけではもったいないな。錦市場は京の台所とも言われる。京の歴史と文化と暮しのエッセンスがある。ただ見て過ぎるだけでは惜しい。漬物や佃煮や練り物や小魚やお番菜を買って帰ろう。それにはごはんを炊かなくちゃ・・・という発想である。生活のリズムが出来た。体調もよい。錦で買物するのが楽しくなった。



4月8日(日)
 おなじみの「ゆるり屋」で昼を食べた。またまた新メニュー登場。ためしに「ゆるり弁当」1200円を取った。ちょい贅沢だけど、こいつはお値打ちだった。三十センチ四方もあるでかい弁当箱。六つの仕切りのひとつがごはん。五つがおかずである。鯛のお造り、鰆の焼物、蕗と筍と小芋の煮物、出し巻き玉子など、充実している。仕事も丁寧だ。充分それなりの価値があった。
 昼食後、御池通をぶらついていたら賑やかな音が聴こえてきた。「第三回京都さくらよさこい」というイベントだった。こいつははじめてだ。御池通や烏丸通の車道に、にわか舞台が設けられている。近畿各地から集ったらしい「よさこい連」が入れ替わり立ち替わり登場する。よさこいはいま日本中で流行ってるらしいね。こんな流行り物を生み出してしまうのが日本文化の面白いところだと思う。
 音楽も踊りもいろいろ流儀があるみたいだが、共通しているのは陽気さとリズム感だ。実に乗りがいい。若々しく激しくした盆踊りというとこかな?地元大学のよさこい倶楽部も次々出てきた。市役所の特設舞台では本場の高知から来た「十人十彩(じゅうにんといろ)」という連が踊った。この世界では有名人なんだってさ。さすがに本場もん。熟練の技という感じである。晴れの衣裳の大集団が踊り狂うさまは迫力満点であった。



4月7日(土)
 友人達と前々からの約束で観桜食事会と洒落込んだ。あいにく雲がたれ込め時おり雨も落ちる夕刻、哲学の道から岡崎を抜け祇園白川へと観桜ウォーキングをした。哲学の道は灯りもなく暗い。暮れると足元もおぼつかなく、花は闇に沈んでしまった。岡崎疏水の桜はライトアップされて見事であった。鏡のような水面に映る花が一番美しいので下ばかり見て歩いた。祇園白川は観光客でごった返している。
 八時半に丸太町の割烹「かじ」さんに着いた。早い時間の予約は満員だったので、この時間になったのだ。三人で二階の座敷に上がる。一階がカウンター十席、二階が三卓の小ぶりな店だが、ずいぶん繁盛しているようだ。安いコースを頼んだが、それでも十品。憶え切れぬほど多彩な素材が丁寧に仕上げられている。「よもぎ豆腐」には感心した。みんな気に入ってまた来ようという話になった。



4月5日(木)
 きのうきょう染井吉野が満開である。京都に来てまる二年たった。さすがに三回目の春ともなると、特別な花の名所には出かけない。木屋町、白川、円山公園あたりで済ます。しかしきょう、ふと思いついて岡崎公園まで足を伸ばした。疏水の桜が好きである。連綿と連なるボリュームは圧巻だ。疏水と花の相乗効果がひときわ映える。平安神宮の大鳥居や橋の真紅、そして美術館の屋根の緑青。雅びな色彩が疏水に影を落とす。花の期間はさすがに観光客の行列である。円山公園の屋台のあんちゃんも活気づいているようだ。帰りに四条大橋たもとの川端通で美しい花を見た。ピンクやくれないの可愛い花をいっぱい付けた樹が並んでいる。八重のふっくらした花だ。何の花だろう? 桜の一種かな? それとも桃の花だろうか。



3月31日(土)
 円山公園の桜はもうちょいだな。七分咲きくらいかな。名物の大きな枝垂れ桜だけはピンクの花がほぼ満開だ。NHKのニュースでも映していた。観光客はみんなここで写真を撮っている。白川沿いの桜もまだ蕾みが多いようだ。
 烏丸通や御池通を散歩するのが好きだ。京都の道路の中では歩道が広い。だがもっともいいのは電柱と電線がないことだ。林立する電柱と蜘蛛の巣みたいな電線ほど醜いものはない。都市の景観を破壊する最悪の邪魔者である。この写真を見ればよく解る。つい最近、京都景観条例が成立して建物の規制が厳しくなるけれど、電線の地中化もどんどん進めてもらいたいものだ。



3月20日(火)
 ひいきの店がもうひとつ出来た。四条西洞院の「葱屋平吉ゆるり屋」である。鍋が得意な店だ。昼の定食を模様替えした。自分で選べる方式になった。定食は10種類ほどのおかずから二つ選ぶ。揚げだし豆腐、桜海老のかき揚げ、塩豚と春キャベツの小鍋煮、おばんざい三点盛り、などなど多彩だ。そして麺定食は、麺、だし汁、具材を選ぶ。だしは、赤鍋、黒鍋、白鍋、柚子鍋、カレー鍋、京鍋。具材は、鶏、豚、鯛、牛すじ、肉つみれ、海老つみれ。これだけ組み合わせれば毎日でも飽きないね。とくに冷え込む今日このごろ、やっぱり鍋はいい。広い席でゆったり食えるのもありがたい。



3月12日(月)
 冬に逆戻りである。朝は雪がちらほらする一瞬もあった。それでも食卓には春が来た。ひいきの店の献立に菜の花のからし和え、筍と長芋の揚げだしが出た。ガッシリ歯応えのある筍もよかったが、菜の花と辛子の絶妙な取り合わせが大好きだ。菜の花のほろ苦さに春を感じる。たらの芽にしても、蕗の薹にしても春先の旬ものはなぜかほろ苦い。ほろ苦い青春の追憶、なんてことを連想してしまう。



3月3日(土)
 烏丸通六角にきょうホテルモントレ京都がオープンした。烏丸御池にもホテルの工事が始まった。四条通でもビジネスホテルを建設中だ。それほど観光客が増えているんだな。さて、四条新町あたりに「やよい軒」という定食屋がある。あちこちに店があるチェーンだ。しばらく改装中だったが先月末オープンした。ずいぶん大人っぽい雰囲気になった。ペンダント照明がムードを出している。なるほど定食屋も若者だけでなく大人にも目を向け始めたらしい。かつ丼580円を注文した。これが意外といけた。内装だけでなくコックや調理法も変えたのかな。カツが揚げ立てであった。カリカリ感と香ばしさが以前とは全然違った。この味が変わらなければいいんだけどな。



2月24日(土)
 高校の同窓会が京都であった。広島県呉市の高校の関西支部の集りだ。広島からも東京からも遠路参加者が駆け付けた。総勢二十人ほど。みんな暇になったんだなあ。昼の部は木屋町二条の「がんこ二条苑」である。この屋敷は今から約380年前、高瀬川を開削した豪商の角倉了以の別邸として造られたという。のちに明治の元老、山県有朋の別邸となった。ここで日露戦争の密談をしたらしい。庭を見て感心した。大きな池には鴨川に沿った禊川から水を引いて、反対側の高瀬川に流しているのだ。うまく考えたものだなあ。奥まった蔵の座敷で懐石料理を食った。
 さて夜の部はぼくの贔屓の「太郎屋」であった。なにしろわが同窓会はなんと昼夜ニ回興行なのである。おばんざいが次から次ぎと出て来た。ビール、焼酎、日本酒とみんなてんでに注文する。とは言っても酒量は昔にくらべれば知れたものである。締めには高菜炒飯と焼きうどんが出た。うまかった。おばさん達がますます元気一杯なのが印象的であった。



2月17日(土)
 船鉾(ふねぼこ)会所の修復工事が完成したので見に行った。新町通四条下るの古い町家(ちょういえ)である。明治初期の建築らしい。会所というのは祇園祭のための寄合をする家で、山鉾を収納する蔵も兼ねている。ここにも江戸時代の蔵が残っている。1864年の蛤御門の変の大火「どんど焼」をもまぬがれたのだ。
 船鉾は三十二基の山鉾のなかでもひときわ異彩を放っている。ただひとつ船の形をした美しい鉾である。船首には総金箔の大きな鳥を飾る。応仁の乱以前からある古い鉾だ。豊臣秀吉はことさら船鉾を愛して、船の胴体を飾る南蛮渡りの天鵞絨幕を寄進したという。
 昨年秋に改修途中を見せていただいたが、実に見事に再生されていた。ベージュ色の壁が美しく風格がある。再生工事は「京町家まちづくりファンド」からの助成金を得て行われたという。町家を市民の力で保全しようという運動の一環である。この改修であと百年は万全だと職人が言っていた。木造建築でさえ百年のスケールで考える。それが京都である。



2月10日(土)
 京町家ネットの新年交流会があった。東本願寺近くの渉成園に八十人ほどが集った。ここはあまり知られていないが京都観光の穴場だ。江戸時代初期に造られた池泉回遊式庭園である。一万坪を超える広さだ。大きな池を囲む築山と樹木が見事である。早くも梅が咲いていた。惜しむらくは樹木の上からマンションが覗いていることだ。とんだ借景である。いま審議中の景観条令にも話が及んだ。昼食は泉仙から仕出しの精進鉄鉢料理であった。上品な味は気に入った。器も珍しい。泉仙はおせち料理なんかで目にしたことはあるが食べるのは初めてだ。大丸にも店があるので今度はお弁当を試してみよう。



2月5日(月)
 雲ひとつない冬晴れ。暖かい。例によって陽当たりのよい御池通の北側を歩く。進々堂のランチが目を引いた。時刻は十一時すぎ。寺町の進々堂はいっときよく行ったが、ここははじめてだ。ワンプレートランチというものを試してみよう。テーブルに付いても誰も来ないので気がついた。ここは省力店鋪なんだね。カウンターで950円払って飲み物を選び、そいつを飲みながら料理を待つ仕掛けである。
 ランチが来た。ミートローフ、キッシュ、野菜入り卵焼き、サラダ、が皿に乗っている。お手のもののパンが三種類バスケットに盛られている。油ぎった洋食でなく、小奇麗な洋食という感じだ。サラダも新鮮で美味しかった。そこそこボリュームもあってぼくにはちょうどよかった。十一時からやってるので早昼には便利だ。帰りには新発売のショコラパンを買った。これは美味しかった。おすすめだ。
 食後は鴨川で日なたぼっこ。御池大橋から見下ろすと、静かな水面をつがいのマガモが泳いでいる。首が鮮やかな緑色の派手なオス。ひと回り小さなメスは全身地味な茶色だ。悠然と泳ぐオスの後ろを、三歩下がってという感じでメスがちょこちょこ追う。昔の日本人を見るようでおかしかった。うまくいってる夫婦らしい。



2月3日(土)
 節分ですね。去年はたしか吉田神社の節分祭に行った。赤鬼青鬼が叫びながら境内を走り回っていたのを憶えている。さて、節分には関係ないけど、高島屋でやっている「山田洋次の原風景」という特別展に行った。1961年からの年ごとの作品ポスターや写真、台本などが展示されていた。60年代といえば映画全盛時代だったなあ。新宿歌舞伎町の映画館にずいぶん通ったものだ。帰りにはトリスバーで、ストレートやハイボールを飲んだなあ。そのころ水割りはなかった。一杯50円くらいだったかな。
 山田洋次といえばやっぱり寅さん映画だね。寅さんの実家「くるまや菓子鋪」のミニチュア模型があった。ほかに「くるまや」の茶の間と台所が原寸大で再現されていた。これは面白かった。寅さんがすねてトントンとニ階に上がる階段もあった。箪笥、卓袱台、冷蔵庫、電気釜などもレトロな感じだ。畳がちょっときれいすぎたけどね。初期の倍賞千恵子に感動した。じつにフレッシュで可愛いんだ。キリッとしててね。あんな感じの子はいまの時代は出て来ないな。はからずもわが青春を懐かしむひとときであった。



1月25日(木)
 このあいだ正月だと思ったらもう一月も末である。早いなあ。暖冬のようだが日が陰ると冷える。元来薄着で外出時もコートは着ないが、さすがにマフラーは欠かせない。しかし手袋はなんだか大袈裟な気がして持ち歩かない。街に観光客も見かけなくなった。
 いつもの店で日替わり定食である。魚は鰈のみりん焼き。味噌汁のかわりに、あんかけうどんが付いている。これは初めてだ。お揚げさんと九条ねぎの具におろし生姜がたっぷり添えられている。生姜のきいたとろりあんかけが旨い。京都の味だなあ。東京の揚げは分厚くて皮ばかりの感じだけど、京都の「お揚げさん」は中身の豆腐がしっかりしている。薄目の厚揚げという趣きである。



1月21日(日)
 きょうは東寺の「初弘法」である。もうちょっとお天気が良ければ行ってみるんだけどな。日曜日なのでほとんどの店は休みである。最近行き始めた四条西洞院近くの「ゆるり屋」に行く。ここは日替わり定食のほかに、鍋煮込み麺定食というのがある。出汁も麺も具も日替わりだ。煮立った土鍋で出て来るのがうれしい。きょうは粕汁の煮込みうどんだった。寒い季節の粕汁はいい。京都風の細目のうどんが入っている。具は豚の薄切りとにんじん、ごぼう、れんこん、こんにゃく。白ねぎの斜切りがたっぷり乗っている。落とし玉子も隠れていた。水菜のおしたしとイカ煮の小鉢がついている。漬物はいまが季節のすぐきである。そしてこの店では、箱一杯の九条ねぎが取り放題である。鍋にふんだんにぶち込む。粕汁で芯から温まって店を出た。



1月15日(月)
 たこ焼きで一杯、なんて呑み方を覚えた。すぐ近所にお好み焼きの店がある。寒い晩にも鉄板の真ん前の小さなカウンターはあったかくていい。いまなら熱燗とたこ焼き十個を頼む。酒のアテには醤油だれがいい。カリカリ皮に醤油の香りが好ましい。お好み焼きや焼そばは酒には向かないね。食うほうが忙しいから。爪楊枝でちょいとつまめるたこ焼きこそふさわしい。お銚子一本呑んでさっと引き上げる。和風のバール感覚かな?



1月12日(金)
 新聞を読んでいて気が付いた。わけのわからんカタカナ語がまたぞろ氾濫している。ひところの「ドメスティック・バイオレンス」にはうんざりしたが、こんどは「ホワイトカラー・エグゼンプション」ときた。エグゼンプションなんて解るはずないだろ? 若い人はこんな言葉を得意気に振り回しがちだが、用心したほうがいいよ。こんなけったいな横文字には胡散臭い意図が隠されている。犯人はおおむね、学者、役人、マスコミ、あたりだね。学者はあたかも新学説を発見したように横文字を乱発して煙に巻く。役人は言葉でごまかして事の本質をすりかえる魂胆だ。マスコミはとにかく耳目を引けばよいという無節操。民放はまあ論外だけど、NHKまでホワイトカラー・エグゼンプションとは何たることか。日本国の国民放送なら、適切な日本語を選ぶくらいの見識がほしいよね。



1月11日(木)
 ひいきの太郎屋で天然鯛のあら炊きを食った。めったにない代物である。大振りな身が山盛りの皿が登場した。迫力満点だ。箸でほぐすのが楽しくなる。しっかり歯ごたえのある締まった身。コラーゲンたっぷりみたいなプルプルの部分もあった。お肌に良さそうだな。熱燗が腹に滲みる。ほかでは気軽に頼めない魚だが、この店なら安心だ。透明な彫刻のような見事な骨が現れたので思わず持ち帰った。きれいに磨いて飾り物にしよう。大満足の冬の夜であった。



1月10日(水)
 冬晴れである。よし、布団を干そう。お日様をいっぱいに浴びたふかふか布団は気持いいからね。ついでにシクラメンを陽当たりに移してやる。次から次ぎに花をつけて目を楽しませてくれる。可愛いもんだ。十時ごろ散歩に出る。そういえば日記を書くのはほとんどいい天気のときばかりだな。お天気に誘われて巣穴を這い出す獣みたいなもんだ。ま、人間だって動物だからあたりまえか。
 新町通から御池通に出て鴨川に向かう。御池通は広いので陽当たりがいい。陽の射す北側の歩道を歩く。けやき並木はすっかり葉を落として箒みたいな小枝を天に伸ばしている。道端の果物屋には蜜柑がうずたかく積まれている。日光を浴びて艶艶と輝いている。蜜柑もなんだか嬉しそうだ。木屋町で折れて高瀬川沿いを行く。透き徹った水がさらさらと流れている。木屋町も二条あたりは風情が残っている。
 二条大橋から鴨川を見渡す。ここから北の出町柳方面を見はるかす眺めが好きだ。邪魔物がない。看板が見えない。川と水鳥と土手の樹木、そして遠景には北山の山並。山頂にはちょっぴり残雪が見える。ここでは自然が主役でまわりの建物は風景の背後に引いているようだ。年末から雪や雨が降ったせいか、鴨川の水量は多い。やや濁った水がとうとうと流れている。
 帰りに三条大橋たもとのスターバックスで珈琲を飲む。表のテラスが最高だ。遮るものない太陽が鴨川上空からさんさんと降り注ぐ。暖かい。かたわらの生け垣に赤い山茶花が咲いている。彼方になだらかな東山連峰。漫然と三条大橋を行き交う人々を眺める。鴨川を見下ろす室内のカウンターも捨てがたいが、お天気なら断然テラスがいい。京都にお越しの方は、ぜひここでのんびりお茶して見てください。そろそろ十一時半か。ランチタイムだな。きょうは何処で何をたべようか?



1月4日(木)
 新年おめでとうございます。今年はお店がゆっくり休める曜日のめぐりあわせだ。一週目はまるまる休みのところもある。ひいきの店は今日からと期待して行ったら勘違いで、明日からだった。しょうがないので錦市場を抜けて大丸周辺に戻った。この日だけは錦市場もシャッター通りである。ほとんどの店が休業で暗い中にところどころ明るい灯りが溢れている。さすがに客もなく閑散としている。
 はじめての店で「石焼きビビンバ定食」を食った。韓流ではこいつが一番好きなんだが、残念ながらはずれー! 韓国で食った全州(チョンジュ)ビビンバは安くて美味しかったなあ。味噌の風味にコクがあった。おまけにキムチやナムルも食い放題だしね。日本ではキムチやナムルに金を取ると言って、韓国人が怒るのもよくわかる。