加持祈祷
魔術の四拍呼吸=数息観、追難儀式=護身法の根幹がここにある!
<注意>
密教的加持祈祷の術式がいくら魔術的であるといっても
密教が魔術をとりいれたわけではない。古代のインド密儀が、
かたやインド哲学的秘儀として仏教とともに日本にまで伝播し、
かたやシルクロードを通り中東を経由して最終的に西洋文化圏
にまで到達したのである。
したがってこの術式を西洋経由で取り入れることが正しいのか、
東洋経由で取り入れることが正しいのかの論議は、「実践家では
なく文献研究家」や「趣味としての研究人」に任せればいいこと
であり、我々実践する立場の者としては「使用して効果のあるもの」
を客観的に判断して取り入れればいいことである。
その際の考察の一助として参考にしていただきたい。

1、加持祈祷の基礎要項。
密教的加持祈祷の「密教」とは秘密の教えである。
秘密とは、他人に教えないという意味ではない。
「隠された力」という意味での「秘密」である。
本来仏教には「教相」と「事相」という2つの側面がある。
覚者が「さとり」で獲得した「法則」を学ぶのが「教相」である。
覚者が「さとり」を獲得するために実践した「法則」を学ぶのが「事相」である。
単に場当たり的に「いい思いをしたい」などというと下世話な願いをかなえるもののように考える下等な思考の持ち主には
ここから先の文章はご遠慮願おう。
というのも「事相」による「修法」>儀式は、願望達成の方法ではあるが、
覚者になるための過程で現れるさまざまな現実的苦難を取り除き、
すみやかに、おだやかに覚醒への道を歩むための「願い」をかなえる方法
こそが密教的願望成就法すなわち「事相」なのである。
この在家には教相を説き、出家には事相を説くのがいわゆる「密教」なのである。

2、加持祈祷の基本術式
密教的加持祈祷の基本的な術式はおおよそ以下のようになる。
1、荘厳行者法 行者の身を清め、仏法の「器」にふさわしいものとなる。
2、結界法 道場を修法にふさわしい場に清める。
3、荘厳道場法 本尊の下る道場を生み出す。
4、勧請法 本尊を勧請し、道場へと迎える。
5、結護法 修法中に寄ってきたり、妨害しようとして来る魔性などを除く。
6、供養法 本尊にふさわしい方法によって、本尊を供養し奉る。
ほぼすべての加持祈祷が、この術式にのっとって行われる。

3、加持祈祷の実際
加持祈祷最大の本尊とされるのが「大日大聖不動明王」つまり「お不動さま」である。
あらゆる明王の中心的存在であり、仏教的根本愛情の化身が不動明王尊で
あらせられるが、この明王は炎のイメージによって象徴されるごとく、
非常に活動的で悪を打ち砕く「善の破壊」のイメージがある。
しかしそれは悪の存在を破壊するのではなく、存在の中に内包される
悪の要素を破壊するということである。
したがって不動明王に対し「敵を呪い殺す」願いなどはできない。
俗に呪い殺す法といわれる「調伏法」も、実際には
「敵の中の悪の要素を破壊し仏道に帰依させる」のが目的である。
その不動明王に対し祈願する方法の一例をあげておく。

4、加持祈祷の一例「不動尊念誦法」
この加持法は某密教道場に伝わる小法の中から特に「在家用に」と
御許可をいただいて掲載するものである。
文中の「印」に関しては学研「印と真言」や「密教の本」を参考に
していただきたい。仏教用語を平易な文章に置き換えて解説した。
普礼 座の前で五体投地で三礼する。
真言「オン、サラバタタギャタ、ハンナマンナ、ノウキャロミ」
着座普礼 座して一礼 真言は普礼と同じ。
(ここから荘厳行者法)
護身法
浄三業 蓮華合掌にて額、右肩、左肩、胸、喉の位置にて加持する。
真言「オン、ソハハンバ、シュダ、サラバタラマ、ソハハンバ、シュドカン」
仏部三摩耶 印、真言「オン、タタギャタ、ドハンバヤ、ソワカ」
蓮華部三摩耶 印、真言「オン、ハンドボ、ドハンバヤ、ソワカ」
金剛部三摩耶 印、真言「オン、バゾロ、ドハンバヤ、ソワカ」
被甲護身 印、真言「オン、バザラ、ギニハラチハタヤ、ソワカ」
(ここから結界法)
地結 印にて地を触れる。
真言「オン、キリキリ、バザラバジリ、ホラマンダマンダ、ウンハッタ」
四方結 印、真言「オン、サラサラ、バザラ、ハラキャラ、ウンハッタ」
(ここから荘厳道場法)
道場観 印を結び観法。
「心月輪の中にウン字あり、ウン字変じて黒色の風輪となる。
ラン字の智火を吹き起こし、煩悩業障皆悉く焼き尽くし、
円明の大月輪となる。
月輪の中にカン字あり、カン字変じて利剣となる。
利剣変じて大日大聖不動明王となる。
身青黒色にして大憤怒形なり。大盤石に座す。火生三昧なり。
右手に利剣、左手に羂索を持ち、遍身に火炎を出し、遍く法
界に遍じ、悉く自他の罪障を焼き尽くす。
四大明王、八大童子等眷族前後左右に囲尭せり。
これによりて病者の無明煩悩、無始の罪業悉く消滅して、
当病平癒して福恵増長す。」
真言「オン、ボク、ケン」七返
(ここから勧請法)
招請 印にて招く。
真言「ナウマク、サマンダ、バサラダンカン、エイケイ、エイキソワカ」
四明 印
真言「ジャク、ウン、バン、コク」
(ここから結護法)
結界 印にて結界、順逆三返づつ
虚空網 印(四方結と同じ)、真言
火院 印、真言
大三摩耶 印、真言
(ここから供養法)
普供養 印、真言
本尊加持 不動根本印になす。
真言「ナウマク、サラバタタギャテビャク、サラボッケイビャク、
サラバタタラタ、センダンマカロシャダ、ケンギャキギャキ、
サラバビキンナン、ウンタラタ、カンマン」
剣印加持 剣印
真言「ナウマク、サマンダ、バザラダンセンダ、マカロシャダ、
ソワタヤ、ウンタラタ、カンマン」
散念誦 意によって
自在、十一面、聖天、ジク等々、心経
祈念 念珠
解界 大三摩耶、火院、四方結、地結
撥遣 印、真言「オン、バザラ、ボキシャ、ボク」
護身法 仏部、蓮華、金剛、被甲
下礼盤 三礼
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