人が怖い
話しかけてくる人が怖い
どんな身近な人でさえ
視線すら合わせられずに
自分が怖い
自分を怖がる自分が怖い
鏡に映る自身さえ
受け入れられずに
何となく電話をかけてみる
聞こえてくるのは無機質な音
温かく迎えてくれる声も
今はもうない
私は受話器を握り締めながら
現実の痛さに耐えるしか
できなかった
今はただ
壊れてしまいたい
理性を吹き飛ばし
心さえ残さず
泣いて叫んで
壊してしまいたい
わずかな隙間を潜り抜け
中に入ってきた悪魔が
私をそそのかす
「自分をなくしてしまえ」
誘惑に勝てず伸びる手
誘惑に負けず傷跡を見る目
こんなことでしか正気を保てない
私はきっと悪魔自身
久しぶりに泣き喚いた
恥ずかしげもなく
久しぶりに叫んだ
周りを省みず
涙を流すことによって
鬱は祓えなかったけど
「泣く」表現ができた自分は
ちょっと偉いと思った
語らう人たちが
とても遠い
親しげに交わされる笑み
楽しげに交わされる言葉
あまりに眩しくて
広がるのは
白い虚無の世界
何も見えない
何も感じない
それだけの世界
光を浴びて
生きていられる
前を向き
歩いていける
そんな太陽の下
ただ
愛することだけが
できなくなっていた
進むことも
止まることもできない
焼け野原の中
不恰好なレールは
どこへと続いているのでしょう
目にする名前
耳にする声
ちょっとした言葉でさえ
静かな水面に
波紋を投げかける
小石なんてかわいい物では
決してないけれど

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