人間失格 〜戻れない道〜


母に公約を押し付けて、もう数ヶ月が過ぎた。
何事も無かったように過ぎていく日々。
言いたいことを言えるようになったわけでも、状況が変わったわけでもない。
強いて言えば、「家族」全員が気にしないようになっただけの話。
悲しさや淋しさなんて、とっくに通り越していた。

相変わらず日付が変わるまで帰ってこない母親。
私が帰らなくても心配して電話してくることも無くなった。
母が帰ってこなくても、何も気にならなくなった。

彼への愛妻弁当が無くなり、私はキッチンに立たなくなった。
もうウンザリだった。
私以外の誰も入ってくることの無いキッチン。
ただ少しずつ洗い物が増え、少しずつ汚れていく。
そんな中にいるのは、もうたくさんだった。

私は何もしなくなった。
あの家にいるのも、あと僅かだろう。
炊事、洗濯、掃除、片付け、、何もする気になれない。
堕落したわけではない。
彼の家ではやっているのだから。
あの家で働くことに対して、意欲的にはなれないだけ。

これでいいんだ、と思うことにした。
出来た娘を演じることにも疲れた。
母の行動を気にすることも疲れた。
これで丸く収まったんだろう。
父が母を殴った瞬間から、いや、本当はもっと前から、私たち一家に、戻る道はなかったのだから。