僕は何気なく目の前に聳える大きな木を見上げた。根元近くの幹は大人2人が手をつないでやっと程度のかなり太いものである。枝はきちんと剪定されているが、下の方にしか手が回らないのか、上部の枝は大きく繁り、梢は近くのビルの6階階段の一角を占拠しているようだ。非常時にはジャングルのターザンよろしく枝にぶら下がって降りられそうだ。
それにしても大きい木だ。マンホールの点検時に都心の住宅街の一角で椰子の木を見たときにもその大きさと風景のそぐわなさに感銘を受けたものだが、その時の気持ちに近い。木は、僕の気持ちを知ってか知らずか、さわさわと風に軽く葉の擦れる音で僕に抗議した。根元の近くには、「ボクのなまえはなんでしょう?」という子供向けの文とイラストが載った小さな案内板がある。
何という名前の木なのだろう。自分の置かれている状況をさておき、僕はとても知りたくなった。これだけきちんと管理されている公園だ、管理事務所に管理人くらいいるだろう。ああそうか、それにもし管理人がいればここがどこなのか聞けば済むではないか。僕は一石二鳥のその考えに自分で満点をつけ、早速行動に移すことにした。
ところが・・・
ところが、僕は突然ある妙なことに気がついた。