



平成11年7月。幸町囃子会の童連(子供連)に素敵な山車ができました。
平成10年まで夏祭りで使っていた囃子屋台は立って演奏する構造でしたので、太鼓の位置が高く、子供たちにはちょっと不評でした。 昨年の夏祭りの反省会である男の子が言いました。
“今度は座って太鼓を叩きたい。”
これを聞いた、五代目植鍋さんが“よしっ”と一言。 そして、1年後、約束通り子供たちの為に作ってくれました。
我が幸町をはじめ、秋の川越まつりの山車は普段は解体して山車蔵にしまい、祭り当日だけ組み立てる町が多いのです。 植鍋さんは川越祭りの山車の組み立て,解体を何年もやってきました。 山車の構造は頭の中に入っています。
一年がかりで毎日毎日、仕事が終わったあとコツコツ作ってくれました。 話を聞いた仲間の川越の職人さんたちが畳,飾り金具(銅),拍子木,揮亳とその技を無償で提供してくれました。 また、植鍋さんの隣に住む職人さんも手伝ってくれました。 腰幕などの幕類も町内の呉服屋さんがこの山車に合わせて誂えてくれました。
そして、この話を聞いた町内の冷月山長喜院の住職、山本先生が“和顔童心の山車”と命名して下さいました。
和顔童心とは、見返りを求めない慈悲の心を持つ仏さまの心を表す言葉です。 見返りを求めず、ただ子供たちとの約束を守るためにみんなが作ってくださった山車にぴったりの名前です。
7月25日、仏式で入魂式を行い、童連の囃子で曳き初めをしました。

【和顔童心の山車】 高さ:2.75 m,幅:1.80 m,長さ:3.45 m
“和顔童心”の額と“幸町童社中”の木札は、“小狐丸の山車”の部材で作製しました。 囃子台に屋根はつけず天幕にしました。 これはかつての江戸の山車に多く見られたものです。 引き綱は“翁の山車”と同じ赤,白,黒の3色で、みんなで編み上げました。