毛穴すっきりパック
別に花王の回し者ではないけれど、1度「ビオレ毛穴すっきりパック」を使うと
手放せなくなる。
これが発売されるまでは、ピールオフタイプのものをいろいろ試していたが、
効果は今一つ。
「毛穴すっきりパック」、名前もインパクトがあったが、使ってみて、これまた
びっくり!
「すっご〜い! こんなに角栓が取れるなんて初めてだぁ!」
はがしたシートには、角栓がびっしり。それは、まるで葉っぱに産みつけられた
蝶の卵のように見える。思わず背筋がゾゾ〜ッとするのだが、なぜか目が離せな
いのだ。
ところで、かの有名な芥川竜之介の作品に「鼻」という作品がある。
有名な話なので今更とも思うが、簡単に内容のおさらいを…。
禅智内供(ぜんちないぐ)は、結構上の地位についている50歳すぎた僧侶であるが、
唯一の悩みはその鼻であった。
長さは五六寸あって、上唇の上から顎の下まで下がっている。
いわば細長い腸詰のようなものが、ぶらりと顔のまん中からぶら下がっているので
ある。弟子に板で鼻を持ち上げていてもらわなければ、食事も出来なかった。
本人は、気にしていない風を装いながらも、なんとか鼻が短く見えるような顔の角
度を研究したり、烏瓜を煎じて飲んでみたり、鼠の尿をなすりつけたりしてみたが、
どれも効果はなかった。
ある年の秋、京へ上った内供の弟子の僧が、有名な医者から治療法を教わってきた。
「熱湯の中で鼻を茹でたあと、足で踏ませると粟粒のようなものが出てくるから、
それを毛抜きで抜き、再度茹でよ。」
これは、効果絶大、本当に短くなっていたのである。
しかし、人は内供の顔を見て以前より一層笑うようになってしまった。
そして、その笑いの質が微妙に違うのである。
人間の心には、他人の不幸を同情する気持ちと、人の不幸は蜜の味と思う矛盾した
二つの感情がある。ある人が不幸をどうにかして切りぬける事ができると、また不
幸になればいいと思うようになる。そしていつのまにか消極的ではあるが、ある敵
意をその人に対して抱くような事になる。
内供は、そうはっきり分析できたわけではなかったが、なんとなく感じたのだろう。
鼻がまた元に戻ってしまったのに気づいた時、「こうなれば、もう誰も笑うものは
ないにちがいない。」はればれとした気持ちでそう思った。
昔、この作品を読んだ時、鼻を茹でて踏んだ時に出てくる粟粒のようなものが、
私の頭の中ではなぜかうじむしに置き換えられてしまい、「うっへぇ〜、きもちわ
りぃ」という思いしかなかった。
しかし、粟粒のようなものは角栓だったんだと、最近になってようやく気づいた。
確かに、毛穴すっきりパックをした後は心なしか鼻が小さくなったような気が…、
なぁんて思いながら角栓の取れたシートをしげしげと眺めていると、
「なにいつまで見てんだよ。早く捨てろよ!」
という息子の冷たいお言葉。
もっと見ていたいという気持ちを振り払い、しぶしぶゴミ箱にシートを捨てる私でした。