花火


最後の夜を 花火で飾ろう
心地良い風の吹く 誰もいない丘の上で。

初めて見る 浴衣の君は
どこか嬉しそうに だけど寂しそうに
僕から目を逸らす

胸いっぱいの切なさを抱えた僕は
少し離れた 海の上を見つめる
君の涙に 気付かないフリをしながら

最後の夜を 花火で飾ろう
すれ違いの繰り返しだった僕らの
最後の 夜を。

夜空に咲き誇る 色とりどりの花たち
一瞬の輝きのあとは 影すら残さず
だけど 僕の脳には 鮮明に焼き付いて――

この胸の痛みも いつか
目の前の花火のように
淡く 儚い 思い出になるのかな・・・

最後の夜を 花火で飾ろう
二人っきりの丘の上で 手をつなぎながら。




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