子供の頃に見た夢


子供の頃に見た夢

空のスクリーンに映る、母ではない「母」の顔。

父と来た、お化けのいないお化け屋敷。

走っても走っても近付かない程、ずっと遠くにいる弟。

自分の真上――空中を走る、僕以外の家族が乗った赤い車。

それら全部に 恐怖と孤独は付きまとって
幼い僕は 怯えて口にも出せないまま

みんなみんな 大嫌いで
みんなみんな 大好きで

一人になりたくて
だけど 孤独は厭で

壊れた思考は 僕に溶けて 染み渡って
曖昧な笑顔になって発露した

「あのね へんなゆめを みたんだよ」

ただその一言が どうしても言えなくて
僕は 今もまだ――怯えている




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