コンクリート


コンクリートで塗り固めて。
指先だって、触れさせないんだ――。

纏うのは棘のコート。
うずくまって、睨みつけて、声を荒げて。
この足の震えを悟られないように。

返すのは甘い言葉。
気遣って、微笑んで、理解した気にさせて。
この虚像に気付かれないように。

汚して、壊して、掻き乱して。
だけど皆、平気な顔で。
優しさを謳って、無神経に侵入して。
傷付けたことにすら気付かない。

だったら僕は、嘘を吐こう。
汚されても壊されても乱されても、平気なように。
ニセモノの僕を作り上げよう。
どうしても、僕の中身を見たい人のために。

そしてあとは、ただヘラヘラと笑っていよう。
作り笑いは、誰よりも得意だから。

本当の僕は、胸の奥にしまっておこう。
そして、幾重もの嘘で塗り固めて。
指先だって、触れさせないんだ――。

誰も愛してくれない「僕」を、せめて僕だけは愛してあげられるように。




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