Mother
いつか 息づいてしまったその異物
蠢きながら それはどんどん膨らんで
やがては 私を喰い破るという
――恐怖を伴う 嫌悪感
ああ 最愛の人
貴方は微笑んでいるけれど
私は厭でたまらない
奥で育つ異物が 厭で厭でたまらない
自我を持つそれは 私の意では動かない
私とは 全く別の個体
そんなものを どうしても愛せというのか
「偉大なる母性」を強要するのか
私に選択権は無い
危険 煩わしさ かかる費用
デメリットは山ほどあれど
嬉しいことは何一つ無い
愛せぬ命など 私の手には収まらない
私は ただ 貴方だけが欲しかったのに
こんなモノなど 要らなかったのに
それでも 世界は 私を「母」にしてしまう
お願いだから
我が子よ せめて私を殺さないで。
私はこれから 小さく震えながら生きてゆく
愛せぬ分身に 怯えながら生きてゆく――
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