夢音・15
本気で久しぶりの「夢音」です。そろそろ存在自体忘れられたんじゃないかと内心ヒヤヒヤだったりします。
さて、今回は予定を変更して「Plastic Tree」について語ろうと思います。本当は「Cocco」の予定だったんですけどね。たまたまハマッたもので(笑)
このバンド、凄くマイナーですよね。知ってる人って、ほとんどいないんじゃないでしょうか。知ってても、名前だけ、とか。
――ポイントは「ヴォーカル」です。
独特の歌声、独特のメロディ、そして独特の歌詞。
彼等の楽曲が醸し出す不思議な雰囲気は、これらに起因しているように思います。
歌声は、非常に不安定な心情を見事に表現し、メロディは、時にはそれが破滅的になり過ぎないよう最低限のポップさを与え、時には壊れた精神に追い打ちをかけるような怖さをはらんでいます。
そして歌詞。実はこれが一番の問題です。
どの楽曲の歌詞も、今にも崩れてしまいそうな弱々しさと、それを「認めて」しまう悲しいまでに病的な思考を感じさせるものばかりなのです。その最たるものが「May Day」や「エーテルノート」などではないでしょうか。
また、「キーワード」の存在もとても興味深いところです。
キーワード。そう、彼等を語る上で非常に重要になってくる単語たち。複数の楽曲に登場し、世界をよりリアルにする言葉。
軽く、羅列してみましょう。
「針のような(細い)三日月」「酸素の足らない僕」「真っ赤な目」「エーテル」「夜の粒子」「脆弱な蝉の鳴き声」・・・
これらは、2曲、3曲に渡って出てくる言葉です。こんな奇妙な言葉たちが、複数の曲に登場するのです。
キーワードに注目すれば、きっと彼等の描く世界がより鮮明にイメージできることでしょう。そういう聞き方もまた面白いものです。
さて、こんな不思議な「Plastic Tree」ですが。演奏面ももちろん馬鹿にできません。
彼等は、アルバムを出すごとに、信じられないまでの上達を見せます。
音作りから奏法に至るまで完全を目指したギター、基本的でありながらも確実にヴォーカルを支えるベース・ドラムのリズム隊。
それら無くしては、この奇妙な世界観を芸術的に仕上げることは不可能です。
そのことを誰よりも理解しているのでしょう。彼等の進歩に停滞はありません。確実に前回を越えるサウンドを作り出していきます。
私のような未熟者は、どうしてもヴィヴィッドに響くヴォーカルに耳を奪われがちですが、そういう部分も是非注目するべきでしょう。
いかがですか?少しでも興味を持たれましたか?
とりあえず軽く聞いてみたい、と言った方にオススメな曲を数曲挙げましょう。
基本はシングルでしょうね、やはり。シングルでオススメなのが「プラネタリウム」という曲。サビのメロディが切なくて印象的なバラードです。アップテンポがお望みならば、「スライド.」という曲はいかがでしょうか。爽やかな雰囲気の中に、どこか憂いを含んだメロディが秀逸な名曲です。
また、単純に私が好きな曲となると、「まひるの月」「痛い青」「睡眠薬」といったところですね。どれも、少し癖はあるものの、聞き飽きない楽曲ばかりです。
それにしても、個人が持つ音楽的常識なんて狭いものですね。彼等の音楽を耳にする度に思います。
普通では考えられない旋律、そして歌詞。それを演奏しきってみせる力量とセンス。悔しいくらいに見事だと思います。
ああ、今日もまた、お気に入りの「Cut」というアルバムをエンドレスで聞いてしまうのでしょうね・・・。
――ここのところ、完全に「Plastic Tree」漬けの和泉優です。
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