夢音・特別編
maschera:「orb」


 今回は「夢音・特別編」としまして、「maschera」の「orb」というアルバムを全曲紹介します。
 まあ、基本的にはいつもの夢音の補足といった感じです。話し足りなかった部分を交えつつ、解説して行こうと思います。
 それでは、早速行きましょう。


全体像

 このアルバムは、mascheraのラストアルバムになります。
 2000年3月23日発売、全11曲でシングル曲は「to fly high」、「マドンナ(c/w.Dragonheads Snaketails)」、「float(c/w.to fly high)」、「八月の憂鬱(c/w.Alice)」、「Alice」、「Dragonheads Snaketails」の6曲と多め。
 「mascheraの音楽性が多様になりすぎ、統一感に欠けるようになってしまった」とVo.MICHIが語る解散の動機の通り、このアルバムは後期mascheraの離散性を窺い知ることができる、言ってしまえば「複雑な」アルバムです。
 しかし、これが最初で最後のセルフプロデュースアルバムでもあるので、唯一本当の彼等を垣間見ることができる作品であるとも言えるでしょう。


1曲目:「TRUTH IN THE STORMY GARDEN」

 オープニングは、軽快なノリとサビのハイトーンボイスが印象的なこの曲。1曲目からノックアウトされること間違い無し!です。
 イントロは、これがラストアルバムとは思えないような「次」を予感させる出来で、新たな物語の始まりにはぴったり。
 そして理知的な雰囲気さえ醸し出したAメロ、伸びやかなBメロ、そしてサビで爆発、というmascheraの王道とも言える究極の布陣になっています。また、イメージに色取りを添えるDメロの存在も要注意。
 歌詞は前向きなラブソング。メロディとの調和が絶妙です。


2曲目:「to fly high」

 実にmascheraらしい1曲。彼等のシングルの代表とも言えるでしょう。
 この曲で注目すべきところは、印象的なサビよりもむしろBメロ。異彩を放つ、穏やかでどこか艶やかな歌声は、このBメロをサビを盛り上げる最高のものに仕上げています。
 アレンジ面では、ギターソロが秀逸。音色・テクニック共に申し分無い出来です。


3曲目:「マドンナ」

 シングル「Dragonheads Snaketails」のカップリング曲です。
 この曲のポイントは、何と言ってもギターによる特徴的なリフ。しばらく頭に染みついて離れない旋律は、見事としか言いようがありません。
 また、独特の歌唱法もまた見事。丁寧でありながらも色気の漂うA、Bメロ、そして勢いと力強さに溢れたサビメロ。良い意味で力を抜き、次へ繋げるDメロ。まさに計算され尽くした歌唱法と言えるでしょう。


4曲目:「float」

 イントロの最初の部分は深く緩やかなイメージ。しかしそこにギターとドラムが重なり、重厚感溢れるサウンドに。
 そのギャップがミソです。この曲は、そこを重要視した作りになっています。
 個人的にDメロが一番のお気に入りです。深く、綺麗なメロディが素敵。


5曲目:「八月の憂鬱」

 この曲は、まさに「憂鬱」。脱力具合が何とも言えない1曲です(笑)
 だけど、がっちりしたアレンジに支えられた曲の全体的レベルは相当に高くなっています。まさに作り込んだ1曲。
 しかし、一番印象的なのはサビの「僕は疲れたよ」というフレーズ。・・・本気で疲れてる感じが漂っています(笑)


6曲目:「ROM TECH SPEEDER」

 シングル曲か?と思わず疑ってしまうほどメロディアスでカッコイイ1曲。冒頭からサビメロで始まることからも分かる通り、サビのインパクトは抜群です。
 しかし、A、Bメロもまた全力投球。楽器陣とヴォーカルが見事に一体化して勢いを表現しています。
 まさに、「バンド」の曲。バンドをやっている方は、是非コピーしてみてはいかがでしょう。


7曲目:「Alice」

 初めて聞いた時に度肝を抜かれたシングル曲。mascheraはやはりただのバンドではなかった!
 最低限のポップさを保ちながらも、サウンド・歌詞・メロディの全てがコアな作りになっています。中でも、歌詞は要注意。MICHIの感情が暴発したような世界観、言葉遣いはまさに圧巻。
 色んな意味でmascheraの新たな一面を見せた、革命的な1曲です。


8曲目:「蜉蝣〜水仙の涙〜」

 和泉が、今までで聞いた全てのアーティストの全ての楽曲の中で最も好きな曲です。この曲については異常に思い入れが強いですよ(笑)
 まず、その美麗な歌詞世界。「十六夜、雪、灯火」、「月に流す 水仙の涙」、「呪いの花びら」・・・。日本人らしい情景美、そしてどこまでも切ない感情。まさに、私が理想とする歌詞世界です。
 そしてそれを更に昇華させるメロディ。静かで優しいAメロ、しかしそれはBメロへの複線です。Bメロでは、押さえきれない切なさ、苦しさがにじみ出てきます。サビメロはまさに完璧。極上の美しさを持っています。
 また、最も特徴的なのは、なかなかサビに入らないじれったさでしょうか。
 Aメロ、間奏、Aメロ、Bメロ、間奏、Aメロ、Bメロ――そしてようやくサビに入ります。じれったいですね。しかし、そこが素晴らしいところ。AメロもBメロも、全く聞き飽きることが無い程に洗練された美しさを持っていますので、あっという間な感じさえします。
 じらされてじらされて、ようやく辿りついたサビメロは、前述の通り最高級の美しさとこの上ない切なさに満ち溢れています。じらされた分、募った想いが一気に弾ける・・・そんな切なさ。美しさ。
 まさにmaschera珠玉の1曲。これを聞かずしてmascheraを語ることなかれ。
 和泉イチオシの1曲です。


9曲目:「Dragonheads Snaketails」

 ラストシングルとなってしまった曲です。
 この曲は、当時のMICHIの心境をそのまま描き出した曲だそうで。「竜頭蛇尾」・・・だそうです(笑)
 まあ、そういったことは置いておきまして。
 やはりぱっと聞いて一番印象深いのはその重厚なサウンドではないでしょうか。mascheraの中では、最も重い作りになっているように思います。
 個人的には、歌詞の「I hete you and me」と言う部分が妙に頭に残りました。意味深ですね。


10曲目:「ABYSS」

 イキナリDメロで始まると言う異色な構成の楽曲。
 Dメロといっても、やはりmascheraらしく洗練された美しさを持っていますので、イメージ的にはサビが二つある、というのに近いかもしれません。
 ゆったりとしたバラード調のこの曲は、限りない優しさと愛情に満ちています。まさに極上のラブソングと言えるでしょう。


11曲目:「orbital」

 アルバムの最後を飾る1曲。
 明るく、前向きに最後を飾ってくれます。まるで、聞いている全ての人々に花束を投げるかのような、そんなエンディングです。
 「いつかまた逢おう」という歌詞に込められた思いが、痛いほどに伝わってきます。
 アレンジ面で言うと、少し凝ったことをしています。最後、サビを2回繰り返すんですが。その内の最初の1回に、ちょっとビックリする仕掛けがしてあるんですね。これは、是非皆さんの耳で確かめてみてください。
 mascheraのラストを、華々しく彩るこの曲。寂しくて、辛い。だけど、きっとまた逢えるから・・・。そんなメッセージを、maschera全員の笑顔で包んで投げ掛けてくる。そんな素晴らしい1曲です。
 「そして いつかまた逢おう 小さな惑星(ほし)のどこかで・・・」




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