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いやはや、しかしこれは苦労したハナシでした。でも、苦労した以上に楽しみながら書いた話でもあります。 最初は、第二話あたりの文さんとの会話が書ければそれで良かったのです。原爆のハナシとか故郷が無くなって云々とかもプロットの段階から決定されていたのですが。(というか、基本的な流れは変えようが無いですよね/笑) でもまあ、さすがにそんなわけにはいかなくって、頑張って最後まで書きましたけど。いや、別にそれ以外がどーでも良かったわけではないデス(笑) 和泉作品を良く読む方なら、これが「雪の街」のアンチテーゼを含んだものになっていることが分かると思います。これ、どっちも僕の本心なんですね。 故郷や両親(特に父親)がキライでキライでたまらないのだけれど、それでも無くすと悲しいだろうな、という。 何だか、そんな矛盾したことを言うのは卑怯なカンジもするでしょうが、それが小説家ってモンですよ。あはは〜。 基本コンセプトは、以前どこかで言いましたけど「期限付きの恋愛」ってヤツです。 最初から死ぬと分かっていて、そこから始まる恋愛が書きたかったんですよ。結果的に、思った以上にフツーになりそうだったんで「死」が持つ暗いイメージをあまり前面に出し過ぎないようにしてみました。正直、ちょっと大変だったんですよ、コレ。 まあ、ただ単に「恋人が死んで悲しい」ってだけだったらその辺の高校生でも書けそうですもんね(苦笑) あと、作中で「愛することは相手を傷つけることを含むんだ」という内容を込めてみたのですが、これってどうでしょ?和泉は結構そう思っているのですが。 取り敢えず、こっちがこの作品の「恋愛」部分の核になるトコですね。 相手を傷付ける覚悟で愛し抜くことって、なかなか出来ることじゃないと思いますし、自分がもし相手にそうされたなら、傷を負うことも仕方が無いと思うことでしょう。 人はそれぞれ違う生き物だから。差異があれば、一緒に生きる時に、そして自分が死んでしまった後に相手を傷付けるのは当然だと思います。 だから、おそらく一番嫌な行為である「相手を傷付けること」――それを覚悟した上で相手を愛する。そんな恋愛が素敵だと思うのです。なんだか懐の大きい話でしょ。 そして、ラスト。これは本当に賛否両論あると思います。 死んでしまった人のことばかり考えて、それでも仕合わせといえるのか。 一つだけハッキリ言えるのは「文さんは本当に仕合わせだった」ということだけです。 文さんは、宗一に一生を捧げたことを微塵も後悔していないと思うのです。 彼女は、聡明で、頑固で、一途だから。 最初から宗一が死ぬことをよく理解した上で、それでも彼を愛して、生涯彼一人を愛し抜くことを誓ったのだと思います。 理解できない人には理解できないことなんでしょうけどね。彼女は、そうだった。それだけのことだし、それが全てです。 もう一度言います。彼女の人生は、間違い無く仕合わせだった。 こんな風なあとがきを書くのは、初めてです。なんだか、今回は本当に良い作品を書いたな、と思っています。まあ、いつものことなんですが(笑) でも、今回は何故かちょっと特別な感じがするのです。 余談ですが、第五話の主人公が死ぬシーン。書いていて不覚にもこっちが泣きそうになりました。 最初から決まっていたことで、ここで読者を泣かす気はさらさらなかったのですけれど。 本当に泣かせる気なら、死ぬのは主人公ではなくその相手にするべきですものね。 ――そういう意味でも、本当に心のこもった作品なのだな、と感じました。 ここまで読んでくださった方々、そして色んな感想を掲示板に書きこんでくださった方々、本当に有難うございました。 | |