熱帯夜


厭になるほど寝苦しい今夜は 君の歌すら聞こえなくて
いつまでたっても眉根に皺を寄せる僕に それでも君は微笑んでくれた

扇風機が嫌いな僕の為に
君は優しく 小さめのうちわで風を送る
膝の上の心地良さとあいまって 少しだけ 安らげる気がした

「ありがとう」
夢と現の隙間で一言そう言って
僕はゆっくり 安堵の眠りに落ちていく
気を失う直前に見た君の顔は
どこか嬉しそうで 楽しそうで
僕をまるで 子供の様に・・・

そして 頭を少し持ち上げられて――唇に 柔らかい感触

子供扱いされてないことが分かって
子供みたいに嬉しくなって

嗚呼、君の歌が聞こえる
それだけで・・・安らげる気がした




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