散歩


真冬に陽炎、ゆうらゆら。
道端の蟷螂と目が合った。
黄色のバスは「発情」を誘発。
下らなくて嗤った。
双子の老婆は物憂げ。
物騒な言葉が、宙を舞う。
電波を受信する、ぐにゃぐにゃアンテナ。
澱んだ空気は、アレのせい?
腐った魚が空を見る。
希望に満ちた雲の上。
太陽と月は喧嘩中。
じきに二人は別れるらしい。
ざまあみろ、と微笑んだ。
すれ違ったのは優しい君。
今から猫を埋めに行く。
瓶詰めのそれを抱えて、足取りも軽やかに。
残り香は、血の匂い。
今日も鳴らない携帯電話。
きっと、あのアンテナのせい。
振り返って、一睨み。
タイヤが五つの車が走る。
オレンジの排気ガスに咳二つ。
気が付けば、時計も狂ってる。
ガクガク長針、スイスイ短針。
くるくるくるくる、左回り。
ぴきぴきぴきぴき、音が鳴る。
面白いから放っておこう。
蜘蛛が鳴く、蠍も鳴く、お母さんも発狂。
悪意はどんどん膨らむばかり。
そして僕は、帰る場所を失くす。
てくてく、てくてく、毎日散歩。
マーブル模様の兎を連れて。
お腹が空いたら、食べてしまうんだ。
それまでは、仲良く一緒に歩きましょう。
清々しく晴れたこの道を、どこまでもどこまでも。
僕の血液が、全部無くなるまで。




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