爪痕


小さな溜息が 一人の部屋に響き渡って
孤独の輪郭は一層強くなる
何も無い僕は ただ憂鬱になるばかり

もう随分慣れたはずなのに
気が付くと 隣に君を探してる

君の姿 君の音 君の体温・・・

五感の全てが 君を覚えていて
忘れようと足掻けば足掻くほど
記憶の海に 無様に沈んでいく

こんな想いも――
時間と共に薄れていくのだろうか
どろどろに溶けて 流れ出ていくのだろうか

今はもういない君を想って 今日も僕は憂鬱
だけど それでも・・・
この記憶が消えるのは 悲しいと思う
愛した人に貰ったものだから
爪痕までも 大切にしたいような
そんな――切ない気分




「狂記」のトップへ