CALL1 『Crank Call』 〜Chapter 4〜
![]() |
「 フラレちゃったの・・・・・・・・。」 |
「みごとに当たって砕けちゃったな……………。
覚悟はできてたつもりなのに…いざとなると泣いちまった。
人間ってほんとに悲しいときって、やっぱり涙がでるんだな………。
自分で言うのもアレだけど、アタシたち結構いいカンジって言われてたんだぜ。
そのひと1コうえのひとでさぁ、アタシの友達の、カレシの友達ってことで知り合ったんだけど
優しいんだぁ……………………すっごくよぉ…………………。
このまえ親が旅行に行ってて家に誰も居なくて、アタシが風邪で寝こんでたときなんか心配してきてくれたんだぜ。
そしてずっと看病してくれたんだ。
アタシさぁ………そのときに気づいたんだ……………。このヒトに魅かれてるって……………。
それからどんどん好きって気持ちが大きくなってずっといっしょに居たいって思うようになった。
そして今日……………告白した…………………………………。」
「………………………………………………………………………。」
「おいおい、オマエが沈んでどうすんだよっ!」
「あぁ……………………………………………。」
「フラレてからさぁ、いろんなことかんがえたんだぁ………。
涙がなかなかとまんなくてさ……………
あぁ、アタシってこんなにアノひとのこと好きだったんだなぁって思ったりしてさ。
でもな、フラレちゃって悲しいけど、告白したこと後悔なんかしてないぜ。
自分の気持ちアノひとに伝えることできたし
告白したことで今までよりももっとアノひとの気持ちとかわかった気がする。
胸のつっかえがとれて、心が軽くなったってカンジなんだ。
好きになってよかったって………今じゃ思えるよ…………………。」
なんだか佐野がいつもより大きいカンジがした。
オレは今までこんなことを考えたことがあっただろうか?
佐野はオレなんかよりずっとオトナだ。
「ところで健輔のほうはどうなんだよ? 今日、由記といっしょに帰ったんだろ?」
「え? なんで知ってるんだよ?」
「いいじゃねぇかそんなこと。で? どうだったんだ?」
「どうって言ったって………ただいっしょに帰っただけだよ。」
「なーんもなし? 告白とかもなーんもないの?」
「そんな………いきなりできるワケないだろっ!それに、もうムリだってわかったし………………。」
「え? なにそれ? どういうこと?」
「篠原さん、好きなヒトがいるんだよ………。しかも相手が誰かまでわかっちゃった………。」
「え? だれだよそれ………?」
「智哉だよ……………。
覚悟してたつもりだけどさ………篠原さんカワイイもんな………モテるし。
オレみたいに篠原さんを好きだっていうヤツいっぱいいるよ。
オレは『その他大勢』のなかのひとりなんだ。高望みしちゃいけないんだよ。
でも………どうせほかのヤツにとられるんなら……………
智哉だったら………智哉なら許せるな………。
知ってたんだろ? 佐野も。オレのこと応援するようなこと言っといて………。
知ってるんだったらちゃんと言ってくれりゃよかったのに………。
だったらムダな期待なんかしなかったし、傷つくこともなかった。
小さな希望にかけてみようなんて思ったりしてさ。
バカみたいだよなぁ、オレ、ひとりで…………………………………………。」
「ホント、バカだよオマエ。」
「え…………………………?」
「さっきから聴いてりゃオマエ……………。」
男だったらなぁ………………………

男だったらもっとビシッとしろよ!

「バカじゃねぇの? さっきから聴いてりゃウジウジしてさっ!
好きなんだろ? 由記のこと。だったらどうして自分の気持ちはっきり伝えないんだよ!
どうして真正面からぶつかっていかないんだよ!ほかのヤツにとられちゃってもいいのかよ!!」
「……………智哉なんだぜ。勝ち目ねぇよ。」
「本人がそう言ったのか?」
「いや、ちがうけど……………。」
「だったらまだわかんねぇじゃねぇか。確かめてみろよ。」
「………………………………………………………………。」
「後悔したいのか……………………………………………?」
「………………………………………………………………。」
「オマエもっと自分に自信持てよ。格好良さに基準なんてないんだ。
オマエ素敵なもん、いっぱい持ってんだゼ。」
篠原さんには好きな人がいる。
それは智哉だ…………………。オレなんか敵うわけないよ…………………。
だけどこのままじゃ、なんだかくしゃみが出そうで出ないみたいでモヤモヤしたままだ。
このままじゃイヤだ。後悔するなんてもうイヤだ。
このままだと、ずっと変われない………ずっと同じことを繰り返して行く気がする。
いつも勇気が足りなくて後悔してばかり…………………。
もうやめなくちゃいけないんだ。
もう終わりにしなくちゃ…………………。
佐野も頑張ったんだ。
オレがアイツをなぐさめなきゃなんないのに、反対になぐさめられちゃって……………。
つらくてたまんないのに、オレのこと心配してくれて……………。
オレはいつもみんなに支えてもらってばっかりで……………。
もっと強くなるんだ。
みんなのためになることができるように。
いままでの借りをそろそろ返さなくちゃいけないんだ。
まだ、あんまり自信が持てないけど、少しずつ変えていくんだ。
もう、後悔なんてしたくない。
「 はい、もしもし、篠原です。」
気がつくとオレは受話器を握っていた。受話器の向こうから篠原さんの声が聞こえていた。
電話の向こうには篠原さんがいるんだ。なにか言わなくちゃ、なにか……………………。
「誰なんですか……………………。」
このままじゃ、またいつもの二の舞だ。篠原さんを苦しめるだけ…………………。
勇気をださなきゃ、すべてを話さなきゃいけないのにっ
どうしてだっ!? なんでだ!? なんで声がでないんだよっ!!
「……………………誰なんですか? もうやめてっ!!
……………お願い……………もう………………やめてよぉ…………………。」
もっと自分に自信持てよ。
このままだと苦しいだけだぜ。
優しくて、ものすごくかっこいいの。
オレはオマエの味方だ。
オマエ、素敵なもんいっぱい持ってんだゼ。
男だったらもっとビシッとしろよっ!
もう……………後悔なんかしたくない!!
「ごめん………………オレだよ。久保田です。」
「え……………? 久保田……………くん……………?」
「ごめん、驚かしちゃって。」
「もう……………ホント、脅かさないでよ……………。
めちゃめちゃ怖かったんだからねっ!
でも、ホント、久保田くんでよかった。なんか安心して力がぬけちゃったぁ。」
「あのさぁ、突然で悪いんだけど……………
明日ちょっと付き合ってくれないかな……………?」
「え? どうしたの?」
「明日言うよ。ダメかな?」
「ん―――――? いいよ。」
「ありがとう。 じゃ明日、中央公園の橋のところで10時に。」
朝がきた。
今日、オレはすべてを変えるんだ。
正直に自分のしたこと、そして自分の気持ちを伝えよう。
希望を持つんだ。自分を信じて。