この話しは不思議な絵に関わってしまった男の話し。
とある町のとある場所。
男が一人立っていました。
何をするでもなく、ただただ町の片隅に何故かある絵を見て立っていました。
ほんとに不思議だよね、何もない場所に絵だけがポツンとおい
てあるんだ。
男がその場所に行ったのは全くの偶然だったんだ。
ただなんとなく、その曲り角を曲っただけ、ただそれだけ。
その男が今は絵をボーッと見つめている。
こう言われると、その絵がなんの絵か気になるよね?
その絵は女性の絵だったんだ、でもね、そんなに見続けるほどのすごい絵でもないんだよ。
もちろん、裸体でもなければ特別素敵な絵でもないんだ。
ただ、女性が書かれてるだけの絵、強いて言えば躍動感がある
絵だってことかな。
ようするに、まるで生きているかのような絵だったんだ。
それで、話しは男に戻るよ。
その絵をまだ見続ける男は、ハッと我に帰った。
「僕は何をしてたんだろう?」
「しかし、この絵はなんでこんな所に置いてあるんだ?」
「でも、ほんとに生きてるみたいだ・・・綺麗な人だぁ〜」
そう思っていると、急にめまいがした気がした・・・
「う〜ん、どうしたんだろう・・・!?もう月が出てるじゃ
ないか!」
「早く帰らないと!・・・あれ?絵がない・・・そんな場合じゃない帰らなきゃ。」
男は絵のことが気になりながらも急いで家に帰った。
だが、違和感があった、なぜ僕はこんなに急いでるんだ?と
ね。
そうだよね、さっきの状態からしてそんな感じは受けなかったよね。
男は違和感を感じながらも家に着いた。
そして、家の扉を開けるとそこには綺麗な女性が待っていた。
「あら、あなたおそかったですわね、お疲れでしょうご飯はもうすぐで来ますからね。」
その女性はそう言い、奥へ消えていった。
「ああ、今日はいろいろあってね、大変だったよ。」
男は無意識のうちに返事をしていた。
だが、心では違う思いが浮かんでいた。
僕に妻がいたか?彼女はだれだ?ここは僕の家なのか?
だが、その思いとは裏腹にごく自然に会話し一緒にご飯を食べている自分がいた。
そういう違和感を感じながら幾日が過ぎ去った。
心では否定してきたこの現状がだんだんと馴れてきていた。
いつしか心も体同様マヒしてきたのである。
前までは、体がいくら違うことをしていようと、心ではこれは現実じゃない、僕には妻はいないしこんな場所はしらないと否定していたのだが。
今ではすでに毒され、ここが僕の家で彼女は僕の最愛の妻だと
思うようになっていた。
それは、この世との別れを告げていた。
男は家から出なくなり、妻と幸せに暮らしていた。
その時には家の周りには何もなかったんだよ、しいていうなら
無があった。いや、初めからそこには何も存在してなかったん
だ。
暗闇の中に浮いているように家だけがポツンとあるだけだっ
た。
おしまい・・・
じゃあ、納得できないよね。
それでは、これの裏話だよ。
その男は忘れてしまっていたけど、妻の顔は絵の女性そのもの
だったんだ!
そして、その男はなにもない路地裏の行き止まりで幸せそうと
も苦しそうとも取れる笑顔で生き絶えてたんだってさ。
その時には絵はなかったんだ。
じゃあ、あの男はあの瞬間に・・・
言わなくても分るよね!(笑)
皆は何もない裏路地で変な絵を見たら逃げなさい。
あの男のようにならないようにね。
ほんとに、おしまい。