ループする刻


ある日道を歩いていた私は生まれて初めて一目惚れというものをしてしまいました。
いや、そう感じただけだったのでしょうか、ある女性から目を離せなくなりました。
何とも言えない感じでした。
憧れ?恋?愛?どれとも違う気さえしました。
ではこの感情はなんなのでしょうか?
その時の私には分りませんでした、いや、分るはずもなかったのです。
あんなことだったとは・・・

その時は女性があっという間に消え去ったので、ただただ何もなく過ぎました。
数日後、また同じ道を歩いていると、その女性はまたそこにいました。
また、私はその女性から目を離すことが出来なくなり、その場に立ち止まってしまいました。
胸がドキドキと高鳴り周りの雑音が聞こえなくなり、ただ自分の胸の鼓動だけが聞こえました。
そうこうしているうちに、また女性はいつの間にかに姿を消していました。
そういう事が幾日か続きました。
そういうことが続いているうちに、彼はふと疑問を持ちました。
このドキドキはなんだ?いつもこの時、あの女性を見ると起きる。
人間何回か同じ事をしていれば幾分かは馴れというものが出てくるはずだ、なのにいつも・・・ん?
いつも・・・いつも!?これは、いつもなのか?
私はこれは毎日この場所に来るとあの女性を見つけ、それが毎日続いているもんだと思っていたが・・・もしや・・・
いや、まさかな・・・しかし、調べてみる価値はありそうだ。
そして、次に日男はあえて女性には目をあてず周り景色をずっとみていた・・・
!?やっぱりだ、昨日と、いや過去ずっと同じではないか!
この刻を永遠にループしてるのだ!
しかしなぜ?なぜこの刻だけ?
それよりも、私はなぜこんな空間にいるのだ・・・
いや、私は・・・ダレだ?ナンノタメニ?タスケテ・・・シニタクナイヨ・・・
あれ?今なぜ死にたくないなんて想ったんだろう?
どうなっているんだ?・・・わ・・・た・・・し・・・は・・・
男はだんだんと意識が遠くなっていった。

目を覚ました時はすでに次の日だった。
いや、また同じ日の始まりだった。
そして、次に気付いたときにはいつもの場所に立っていた。
男は気を失う寸前に出た自分の言葉を思い出してみた。
私は確かに死にたくないと想った、なぜそんなことを想ったんだ?
私は、私は・・・!?死!?私は死を感じていた、そうだ!
私は病院にいた、そうだ!そうなんだ!
思い出した!私は・・・死んだのか?あの病院で死んだのか?
ここは死後の世界というやつなのか?
私は帰りたい!いや、帰らなければいいけないのだ。
その時、男の脳裏に大切なことが思い出された。
そうか、そうだったんだ!この場所、あの女性、あのドキドキ・・・
そうだったのか・・・いままで忘れていたんだな。
こんなに大切なことまで。
男は女性の前に立った、そして一呼吸置き女性の名を呼んだ。
その女性は振り返り素敵な笑顔を見せてくれた。
そして、男は温かい光に包まれた。
また、初めに戻るのかな?永遠に・・・

男はゆっくり目を開けた、そこは今までの場所の風景とは異なっていた。
なにより違っていたのは、毎回会っていた女性がすぐそばで微笑んでいたことだった。
女性:おかえりなさい、あなた。
ずいぶんと、長い夢を見ていたのね・・・永遠に見続けるのかと・・・ぐすっ
男:ただいま、ほんとに長い長い夢を見ていた様だよ、昔の夢をね。
もう、どこにもいかないよ、君を悲しませたくないからね。
あの日君に一目惚れした時から、君が一番大切だからね。
女性:覚えていたの?出会った頃のこと、なんだか嬉しいわ。
男:なぜだろう、今はあの頃事が鮮明に思い出せるんだ、おかしいね。
もう、離れないよ、絶対だ。
もう、あの場所にはいかないさ、いや、いけないさ。
女性:?あの場所?
男:ん?そんなことを言ったかい?なんでそんなことを言ったんだろう、おかしいな。
また、私に付き合ってくれるかい?
決められた刻の中で・・・ね。

もう、記憶の中にさえ存在しない場所、あの場所はいったい?
未練がつくり出した世界だったのか?それは誰にもわからない。
人は心の中に大事はとっても大切な刻というものを持っているものさ。
それを、忘れてしまっていたとしても、それはあるはずなんだ。
あなたは、それがいつだったのか思い出せるかな?
彼は思い出せたようだね、そして、大切な人の元へと帰っていった。
彼にとっては初めて会った、一目惚れをした時だったんだね。 それに気付くまでその刻はループし続ける。
あのままだったら、どうなっていたんだろう?
それは、私にもわらない。
おやおや、また誰かが迷い込んだみたいだね。
今度の人はどうだろ?そして、あなただとしたらどうだろう?

おしまい。

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