今ではないいつか、ここではないどこか、そんな場所で起きたお話。
美しきあなたの心を頂きに参ります。
怪盗 幻(まぼろし)
ある屋敷にこういう文章が書かれたカードが届いた。
怪盗 幻とは最近、巷を賑わしているもので、心を奪うという変わった怪盗なのだ。
だが何か変な力があるのではなく、ただ狙った女性を口説き落とすのである。
しかも、一瞬のうちにである。
それが口だけではなく百発百中で、狙われた女性は皆、幻の虜になっている。
ただいま、記録更新中なのだ。
そんなやつからのカードが届いたのである、家主も黙ってはいない。
家主の吉之助はいそいで探偵を呼んだ。
この探偵というのは、関わった事件に迷宮入りはない、と言われる人で仕事ではかなり頼りになる人である。
吉之助:むぅ〜、怪盗ごときにわたしの大事な娘の心を奪われてなるものか!
しかし、妻の留守に来るとは・・・帰ってきたらなんと言えばいいのか・・・
絶対に・・・絶対に娘の、雅の心は守り抜いてやる!!
じゃなきゃ・・・おこずかい減るなぁ〜・・・キット・・・
いや、そんな場合でない、娘の心がかかっているんだ!
わたしが守らねば!
そんな、父親の心とは反対に雅は興味があった。
雅:どんな方なのかしら、私も虜になってしまうのかしら・・・楽しみだわ!
なんて、暢気なことを考えていた。
そんなこんなで、呼んでいた探偵が到着した。
探偵:いやぁ〜、どうもどうも、いいお家ですねぇ〜
おっと、申し送れました、探偵の童家です、よろしく。
吉之助:これはこれは、お待ちしておりました。
ん!?こちらのお嬢さんは?
童家:あぁ、彼ですか?彼は私の助手です、なかなか優秀なんですよ。
助手:わたしが先生の助手をしているリュデリッツです、よろしく・・・それにわたしは男です、お間違えのないよう。
吉之助:あぁ、すまなかった・・・
童家:ハッハッハ、そうですよね、リュデリッツ君は美少年さんだからな。
リュデリッツ:先生!笑い事じゃないです!!
まったく・・・ん!?あなたが今回狙われているかたですか?
そんな、話をしている内に、雅が現れていた。
雅:はぁ、そうですが・・・どなた?
吉之助:あぁ、この方々はお前をあの怪盗から守ってもらうために来てもらった、探偵とその助手の人だよ。
童家:どうも、探偵の童家です(ペコッ)
リュデリッツ:わたし、いや僕は助手のリュデリッツと申します、今宵現れるという怪盗から見事守って見せますのでご安心を!
雅:それはご苦労様です、たのみますね。
雅はさして興味を持った風でもなく、部屋に戻っていった。
雅:う〜ん、あんな人たちがいたんじゃ、怪盗さん現れないかも知れないなぁ〜
なんか、ちょっと残念かも・・・
吉之助:そんなことですので、どうか娘を、雅を頼みます。
童家:そうですねぇ〜、頼まれたからには守りますよ。
リュデリッツ:先生!もっとシャンとしてくださいよ、まったく。
でも、ご主人!ご心配なく、我らにかかれば怪盗だろうがなんだろうが、そうそう思い通りにはさせませんよ。
そんなことを話していた時、月が雲に隠れ闇が町を飲み込んだ。
童家:!?来ますよ、その幻とか言う怪盗が・・・
リュデリッツ:え!?どこ、どこからですか!
ガシャン!二階で窓が割れる音が聞こえた。
吉之助:なんだ!なんの音だ!!・・・ハッ!雅!雅ぃ〜!!
吉之助は急いで二階に上がった。
その前にはすでに童家が走っていた。
リュデリッツ:あっ!先生待ってくださいよ!
しかし、こんな時間が早い刻に来るなんて、大胆と言うかなんと言うか・・・
出遅れてしまった!くそぉ!
遅れてリュデリッツも後を追った。
ドン!童家が扉を勢いよく開けた先には、漆黒のマントをなびかせた怪盗と、すでに心を奪われてうっとりしている雅の姿があった。
時すでに遅し!?雅の心は怪盗 幻に・・・
どうなる、雅!
記録更新か?幻。
どうする!?童家&リュデリッツ!起死回生はあるのか?
主人はいったい?負けるな吉之助!(笑)
第1部「怪盗からの予告状」でした。