翼を持った少女



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その晩のことだった、ぐっすり眠っていたと思っていた少女が突然呻きだしたのである。
キット悪い夢を見ているのであろう、しかし、その様子は痛々しいほどでもあった。
私は夢先案内人である、その私には何とかしてあげれる力があった。
私は少女の横に座り額にソッと手を当て、目を閉じ少女の夢の中へと入っていった。
少女の夢の中は妙な道具や機械が列ぶ部屋の中だった。
その部屋のスミッコでおびえてガタガタと震えてってうずくまってる少女の姿があった。
そして、何事か繰返しつぶやいていた。
「ハカセ・・・ジッケン・・・キライ」
そんな風に聞こえた気がした。
しかし、それ以上深入りしないようにした、いや、してはいけない気がした。
そして私は彼女を連れ早々にこの場を離れた。
そして、代りとなる夢へと誘った。
フッと意識を戻した私は、少女の幸せそうな寝顔をみてホッとした。
しかし、あの場所は?・・・
多少気になりながらもその日は眠ることにした。

そして、次の日。
私は目を覚まし少女に目をやった・・・!?
その少女がいなかった!周りを見渡すと、花に水をやっている少女の姿が目に入った。
その姿は言葉に出来ないほど綺麗なものだった。
私に気づいた少女は嬉しそうに私の元に来た。
「おはよう!昨日はありがとね・・・夢のことも。」
少女はそう言いニッコリ微笑んだ。
「いいえ、私にできることなら色々してあげたいから。」
そう言い少女を抱きしめた、心のどこかでこのままずっと一緒だとも思っていた。
そう、今は・・・

それから数日後、話は急に動き始めた。
朝がきて今日も変わらぬ一日を過ごすものだと思っていた時、少女がいきなり私に話してきた。
「あのね、私、過去を知りたいのどうにかならない?」
「えっ?ど、どうしたの急に」
いきなりの話に驚いたが、少女が自分から言ったことが始めてだったのでとりあえず聞いてみた。
「理由は聞かないで・・・でも、でも急がないと・・・ごめんなさい。」
そう言い、暗い眼をしてだまってしまった。
私にはこれ以上聞くことはできなかった、しかし、少女がこう言っている以上私はそれに答えるしかなかった。
「分かったわ、これ以上聞かないわ・・・それじゃさっそく出かけましょう!」
そう言い、少女の目立つ翼を隠すため綺麗に洗ったコートを着せ外に出た。
といったものの、私にはどうすればいいのか考えながら歩いていた。
過去を知る・・・はたしてそんなことが・・・
はっ!そう言えばあの子から聞いた話でそんな話が出てたわね。
そう思うやいなや、急いでその子の元へと少女を連れて急いだ。
町の中心から少し離れた静かな路地裏にある部屋まで着いた。
コンコン、私ははやる気持ちを抑えながら静かにドアをノックした、すると中から一人の女性が出てきた。
彼女の名は探魚、いつもは外に紙芝居を打ちに出ているがどうやら今日は家に居たらしい。
「あら、ヨーコさんじゃない、どうしたの?それにその子は?」
私は質問もそのままに、逆に聞き返した。
「質問等はあと、それより、前に過去を知ることが出来る方法があるって言ってたわよね!」
「えぇ、でもそれはかなり確率低いわよ。」
それを聞くや否や探魚を引っ張ってその場所を案内してもらった。
探魚はなにがなにやらで、混乱しながらも道案内をした。

そして、3人が着いた場所はとある駄菓子屋だった。
「ほんとに・・・ここなの?」
店の看板大きく『うずら屋』と書かれていた。
「えぇ、ここよ、ここの店主がね私と同じ紙芝居してるのよ、で、その紙芝居にちょっとね。」
店の前でそんな話をしていると、店から一人の男が出てきた。
「おや?探魚さんじゃないですか、駄菓子でも切れましたか?」
彼がさっき話に出たここの店主、星野 雀丸である。
「えっ?あぁ、雀丸さん、いえいえ今日は紙芝居の方に用があるんですよ。」
彼の、雀丸の紙芝居は一つ一つが誰かの過去未来現在のすべての人生が書かれているのである。
「へぇ、そちらのお二人を見たところ訳ありかな?まぁ、上がって下さいよ。」
そう言われ、紙芝居の置いてある部屋に通された。
「ここにあるのが全部です、どうぞ好きに探して下さい。」
「それでは私はこれで、店番がありますんで。」
雀丸もその雰囲気を察し店へと戻って行った。
探魚も道すがらヨーコに少し話を聞いていたので、一緒に探した。

それから、すべての紙芝居をチェックしてみたが結局見つけることは出来なかった。
「なかったね。」
少女は少しガッカリしたように、声を落とした。
「まあね、そうそうすべてがすべてある訳じゃないからね。」
「私のもヨーコさんのもなかったしさ、しかたがないよ。」
探魚もガッカリした少女の姿を見て、どうしていいか分からない様子だった。
そして、3人は紙芝居をかたずけて雀丸のいる店へと行った。
「どうでした?・・・その様子じゃお力になれなかった様ですね、すいませんねぇ。」
「いえいえ、雀丸さんが気にすることではありませんわ。」
私はそんな姿を見て急いで、言葉を返した。
「そうだよお兄ちゃん、ありがとうね。」
少女がそう言い、ニッコリと微笑んだ。
私も何度も見ているが、この少女はほんとにいい笑顔見せてくれる。
その証拠に、二人ともその笑顔を見て嬉しそうである。
「そうだ、変わりと言っちゃなんだがこれでも持って行ってよ。」
雀丸は駄菓子のいっぱい詰まった袋をくれた。
「うん!ありがとう。」
少女もほんとに嬉しそうだった。

だがしかし、宛がなくなったのも事実であった。
私が悩んでいると探魚が話してきた。
「う〜ん、私も力になれなかったね。」
「いいえ、勝手に引っ張り出したんだもの、こっちの方が悪かったわね。」
「それじゃあね、二人ともバイバイ。」
「お姉ちゃん、バイバイ!」
そう言いお互い別れてた、が、急に呼び止められた。
「おい、ちょっと待ちな。」
始めは誰に呼び止められたか分からなかった。
ふっと振り返って見ると、そこのはさっき別れた探魚の姿があった、しかし、なにかおかしかった。
どこがどうとかではなく、漠然とただなにか違和感を感じた。
「ふぅ、探魚の意識がはっきりしている時に出てくるのは不本意なんだが、場合が場合しかたないね。」
私はちょっと混乱した、自分のことを探魚と呼んでいる、口調が強い気もする。
さっきの探魚とはまるで別人である、いや、顔つきや雰囲気も違っていた。
「あぁ、私とは始めてだったね、名前は嘆魚、まぁ、名前なんてどうでもいいね。」
「それよりも過去が知りたいんだろ?力になれるかも知れない、あくまでもカモだけどね。」
「それでもいいなら、着いてきな。」
そい言い先にスタスタと歩いていった。
私は少し戸惑いながらも、少女と共に後を追った。
私も後から知ったのだが彼女は二重人格らしい、その、隠れた人格が出てきたのである。

そして3人は少し広くなっている場所に着いた。
「さてと、じゃあ始めるよ、じゃあ二人とも眼を閉じな。」
私たちは、とりあえず言われるままにしたがった。
その瞬間眼を閉じているにも関わらず周りが真っ白になった気がした。
そして、その現象が終わったころそっと眼を開けてみた。
が、さっきと変わらず広い場所が広がっているだけだった。
「う〜ん、その子なにかイワクありって感じだね。」
「私じゃ、これ以上は無理みたいだね。」
私は少し驚き、少しガッカリしていた、少女も同じだった。
「すまなかったね・・・」
そう言い残し嘆魚は帰って行った。
「私に取り込めない生き物はないのだが、いや人形でも大丈夫なのだが・・・あの翼を持った少女は・・・いや、忘れよう。」
そうボソっと言い消えていった。
「また駄目だったね・・・もう、時間がないんだ、しかたがないよね・・・」
少女は出会った頃のようにか細い声でそう言った。
「えっ?」
私が聞き返そうと振り向いた時には、すでに少女は倒れていた。
私は驚き、少女のそばに駆け寄って体を抱き起こした。
が、完全に意識は無かった、脈を見たら平気だったので少し安心したが、急いで医者へと連れて行った。

次へとつづく。

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