私はふと現実に戻った時よく考えることがある。
ここは現実なのか?と。
それは私がこんな研究をしているせいかもしれない。
これももしかしたら他のだれかが私を使って実験しているのでは?と思うことがある。
実際そうなのかも知れないが今の私では知ることは出来ないだろうこの二人のように・・・
言い遅れたが私の名はめぷちん、とある研究所でいろいろと研究をしている科学者である。
なんの実験か?・・・う〜ん、言葉にするのは難しいかも知れないな。
私の研究は人間をある世界に送りその人を観察するという、何とも後味の悪い研究をしている。
その研究のためある二人の人間をサンプルとして送り込んだ。
その世界と言うのが、世に言う仮想現実、ヴァーチャルリアリティーの世界である。
昔、そう子供の頃ゲームを実際に体感しながら出来たらどれほど面白いか、なんてことをよく考えたものだ。
現実では実現出来そうもない世界を体験できる。
すっごく面白そうである、冒険者として敵を倒したり、スポーツ選手になっていろいろな競技に出てみる。
誰もがみんな英雄になれる世界、自分だけの世界に浸れるのである、これほど楽しいことはないであろう。
現実よりも居心地が良い世界である、のぞみのままに。
だがそれはゲームの世界、決められたプログラム上でしか自由はきかない。
今では実際に体感出来るゲームも市販されている。
それはそれで、その業界では人気ジャンルとしても確立されていた。
だが私にはそれはゲームでしかなく、昔遊んだゲームと変わりはなかった。
そこで私はこの仮想現実の可能性を調べるため研究している、私のしていることは固定のプログラムではなくその可能性は無限大という世界を作り出していた。
そう、永遠に続くロールプレイングゲームのごとく、この世界を永遠に生きれるほどに・・・
話は戻るがその研究のために私の作り出した仮想現実の世界に人間をサンプルとして送り込んだと言ったね。
そう、私はこの世界をほぼ完ぺきなまでに作り出すことに成功したのである。
あとは確証である、人を送り込んでも平気だ!という確証が欲しかった。
私が行く訳にはいかなかった、もしトラブルが起きても大変だが現実世界へと戻すものがいなくなるからである。
とりあえず、仮想現実の世界であるキーワードを言うと戻れるようにはしてあるが、それも試した訳ではなく不安もある。
そんなもろもろの事情で私は代わりにこの世界へと行ってくれる若者を探した。
若者の方が適応力がある、多少トラブルがあっても精神崩壊を起こす可能性が少ないのである。
もちろん、そんなことは100万分の1%にも満たないことだがね。
だが、もしもと言うことがある、そんなことを考えると若者の方がよいと判断したためである。
子供では幼すぎて実験にならないし、老人など歳をとってからだとなにが起こるか解らない、そんな冒険をする気もない。
そこで、若者が集まる所で二人の若者に声をかけた。
めぷちん:ねぇ、君達ゲームは好きかい?
最近の流行の体感ゲームの新型があるんだが、そのゲームをして意見を聞かせてくれないかい?
播磨男:えっ?新型?え〜!!ほんとに!?やらせてくれるの?
猫浮:へぇ〜、いいねそれ!やりたいね。
彼らは簡単に私の言うことに乗ってきた。
この世代の子には魅力的なものだろう。
思った以上に簡単にいったのには内心笑いを堪えられなかたぐらいだ。
そして、この二人を連れて研究所に着いた私はさっそく実験を開始した。
二人を椅子に座らせコードを体中に張り付けた。
二人は驚きもしたが、それよりも好奇心のほうが勝ったらしくわきゃわきゃと楽しんでいた。
そして私は二人に目を閉じるように言い、手元のスイッチを押した。
二人は一瞬ビクッと痙攣しそのまま眠ったように動かなくなった。
脈拍、脳波ともに正常か・・・とりあえずダイブには成功したと・・・これからがほんとの実験開始だ。
そう言いながら不安と期待が入り混じった奇妙な感覚に襲われた、だがその表情はニヤリッと微笑んでいたであろうことは自分でも分かった。
そして、仮想現実の世界を映したモニターを見た。
私がとりあえず設定した世界はこの二人しか生物がまったく居ない砂漠の世界だ。
二人には現実の記憶はまったく与えていない、その方がいろいろ調べやすいからである。
私の作った世界は無限に創造されどこまでも続く世界、痛みなどの感覚や空腹や喉の乾きなどの現象もリアルに体感できるものである。
いまあるゲームのように安全にただ体感出来るものではない、それゆえに安全とも言えない、この世界で起きたことは現実世界の体にも影響を及ぼすのである。
この世界での死は現実世界の死でもあるのだ。
だからこそ、この世界にいろいろな可能性があるのである、昔の世界で生きれるような・・・
私は二人をジッと観察していた不都合がないか?いろいろ調べていた。
今はまだこれといった問題は出てこなかった。
食料や水は適度に与えるよう設定されている、これで仮想現実の世界で飢え死になどはない。
現実でも管を通して栄養や生きるのに必要な成分は与えているから大丈夫である。
彼らも現実ではない現実で疑うことなく過ごしている。
いい流れだ、たとえ思いだそうとしてもそれを遮るよう設定されているので、この世界を楽しめるようにしてある。
いい流れだ・・・
ザザァ〜、ザザァ〜、波の音が聞こえる・・・昔の記憶、海をただ眺めている私がいた。
海は好きである、穏やかな海、激しい海どれもどの海の顔も好きである。
青い海、どこまでも、そう永遠に続いていそうな海・・・
そんな海を眺めているのが好きだった。
ザザァ〜・・・波の音?・・・これは夢か?
ザァ〜・・・目を開けた、画面にノイズが走っていた。
いつもと変わらぬ研究所の中である。
海・・・夢・・・海かぁ・・・いつの間にかに眠っていたんだな。
いかんいかん、頭を振り、現実に戻った。
あれが本当の私が居るとこで、これが夢なんでは?
そんなことを思う時がある、そんなことはないのだがフッとそう思う時がある。
そう思いながらも研究のことを思いだし画面を見てみた・・・
なにやら二人の様子がおかしい・・・なんだ?なにかあったのか?
ハリーの方を見てみた・・・
ん?なにを見ている?・・・雑誌?・・・雑誌!?
なぜ雑誌がこの世界に?
私は混乱した、今彼らが居る世界に本の類をプログラムした覚えはないのである。
あるはずがない、そんなばかな・・・
そのはずである、この世界はいわば試作品、余計なものは省いてある。
気をしっかり持ちマオフウの方も見てみることにした。
マオフウは水を汲んでいた。
私はほっと胸を撫で下ろした、こっちに以上はないな・・・
そして、なぜか急に画面のアングルが変化した!
私の前に彼の、マオフウの顔があった!
私は驚いた!が、もっとおかしいことが起こった。
その姿を見た彼も驚いたのである!
私は混乱したなぜこっちの姿が映し出されるんだ?
こんなばかな!こんなことがあってたまるか!
あの世界の、仮想現実の世界からこちらを見ることは不可能だ!なにかの間違いだ・・・そんなことが・・・
急に起きた出来事に混乱しながらも二人を見てみた。
二人ともなにかに混乱していた。
なんだ?と思い調べてみると・・・さらに驚いた!
彼らはそれぞれ別のキッカケで海のことを思い出したのである・・・しかしなぜ?
ハッ!私はさっきの夢のことを思い出した!
まっ、まさか私の夢と仮想現実の世界がリンクしてあの世界に影響を?・・・
しかし、そんなことはありえない!私はあの世界へと繋がるものはなにも触っていない!
なのになんで?
そんなことを考えているうちに画面に、いや仮想現実の世界にノイズが走った。
不測の事態にこの世界が対応しきれなくなったのである。
私は急いで緊急用記憶操作プログラムを発動した。
二人は何とか落ち着きこの世界も落ち着いた。
予想外の出来事がいっぺんに起きた。
私はこんな時に、また海のことを考えていた。
また海が見たい・・・青く綺麗な海が・・・
私は何かの影響で心が壊れてしまったんだろうか?
私は考えた、海を探しに行こうと!偽りではないほんものの海を見に行こうと!
そして、最後の実験を思い付いた、彼らはあの仮想現実の世界から戻ってこれるのだろうか?と。
無責任だがそう思い、彼らを残して私は旅に出た。
なぜ私がこの仮想現実を作り出す機械を作ったのかのか、その理由も忘れて旅に出た。
そうこの世界にはもう海は存在してなかったんだ。
いや、彼の周りでは、と言った方が希望が持てるかな。
あるのは干上がった大地が永遠と続くだけ。
その現実の世界の中を海を探しに旅に出たのであった。
ほんとは誰もが楽しんでいたあの時代へと戻りたかたのである。
自分だけではなく、皆を連れてね。
彼は、めぷちんはそんなことまで忘れてしまっただね。
彼には自分の探していた海は見つかったのかな?
それとも、この世界自体が、めぷちんが現実だと思っていた世界すら・・・ふふ
っ、それはあなたが考えてよ。
私からは言えないんだ・・・だって、ふふっ。
そして、めぷちんが残した彼ら二人はどうしたんだろうね?
彼らの話は前にしたね。
めぷちんの影響を受けて海を思い出した二人、仮想現実である世界の秘密をほんとに知ることができたのかな?
そして、この世界から抜け出るキーワードを知ることが出来たのかな?
前にも言ったけど、二人は海を見に行ったよ。
それが、現実の海か・・・それともこの機械が作り出した偽りの海か?
どちらだと思う?
でもね、彼らは若いのに海の記憶を持っていた、それは仮想現実での偽りの記憶だったのかな?
それとも現実での記憶だったのかな?ふふっ
この二人は確かに海を探しにじゃなく、見に行ったんだ!
そう、見に・・・ね。ふふっ
じゃあ彼、めぷちんも?
後は読んだあなたがどう考えるかだよ。
さぁ〜て、どうなったんだろうね?ふふっ
私が言えるのはここまでだよ、あなたはどんな結末を考えたのかな?
それはあえて聞かないよ、だってさ、ふふっ
あなたもこの世界の迷い人かも知れないね。
あなたはちゃんと戻れるかな?ふふっ
おしまい。