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CIUDAD RODRIGO ◇モームの愛した村◆ |
私の中には「遊ぶならマラガ、心を振るわせるのならサラマンカ」 なんて図式がシッカリとあります。 今でも美しいモノを思い浮かべれば、 必ず全てサラマンカの景色となってしまう程心底愛しい私の街です。 夕焼けに赤く染まる、繊細な尖塔の街。 そんな思い入れ深いサラマンカについては別でゆっくりと触れるとして、 今回はサラマンカ地方に点在する宝石のような村々にスポットを当てたいと思います。 1944年に村全体が重要文化財に指定されたCIUDAD RODRIGOの街。 日本のガイドブックには記載されていないので、知らない人も多いかと思います。 かく言う私も知りませんでした。(笑) この村との出会いは、私の敬愛する作家モームによってもたらされました。 「Ciudad Rodrigo、宝石のようなこの村は、スペイン人にさえも気づかれずに、 今日もまた数えきれない宝を内に閉じ込め佇んでいる。」 彼がこの村に捧げた賛辞です。 コレを読んで、どうしてもCiudad Rodrigoに行きたくなった訳です。(←単純なヤツです) 日本人には馴染みが薄いようですが、 イギリス、フランスの通好み観光客には何気に人気があるらしく、 最近は随分と観光地化されてしまっているようで何だかちょっと残念です。 ![]() さて、人口16000人のこの街の歴史を語るには、 遥か遠い昔の新石器時代にまで遡らなければなりません。 当時Mirobrigaと呼ばれたこの村には、 ケルト人起源のLos Verrones族が住んでいました。 ローマ時代になると、皇帝アウグストスに敬意を表して、 Augustobrigaと名付けられました。 後に随分と寂れてしまったこの村を、1100年頃Rodrigo Gonzales Giron伯爵が再建し、 そんな彼の名前が現在も残るこの村の名の由来となりました。 1136年にサラマンカ人によってレコンキスタを果たすと、15、16世紀に全盛期を迎えます。 その時に現存する村の特徴の殆ど全てが確立されています。 戦略にたけた国境地帯である為、この村は何時の時代も紛争に巻き込まれる運命にありました。 そしてその度に大きな損害を受け続けてきました。 特にスペイン独立戦争においてはフランス軍に占領され、 Wellington公爵率いるスペイン軍に包囲されてしまいます。 当時の村人達の解放に向けての多大な努力を称えて、「公爵の村」と言う名が授けられました。 しかし不幸な事に、この戦争によって村の大部分が破壊され、 数々の貴重な建築物を失ってしまいました。 ただただ歩いているだけで幸せになれる街ではありますが、 やはり見所は1931年に文化財に指定されたカテドラル(大聖堂)です。 1165年頃から建築が始められ、内部を見ると ロマネスク様式からゴシック様式への変換期であった事が彷彿され大変興味深いです。 注目はPlasenciaやZamoraの大聖堂を手掛けたRodrigo Alemanによる聖歌隊席。 そしてスペインの知られざる天才と呼ばれるJuan de Juniが作ったと言われている キリスト降下を表した雪花石膏の祭壇です。 「Juan de Juni作」ってのはチョイと妖しいらしいのだけれど、 多分間違い無いと言われています。 私は信じるコトにしました。(律儀) パテオへの出口にあるプラテレスク様式の扉も見逃して欲しく無いですね。 チャンスがあれば、是非是非カーニバルのある2月に訪れて頂きたいです。 ヘミングウェイの小説で取り上げられた牛追いは、パンプローナのサン・フェルミン祭が有名ですが、 規模が小さいなりにも趣のある牛追いをこの村でも見る事が出来ます。 味わいのある鐘の音が小さな村一体に響き渡り、美しい街道を牛に追われた人々が駆け巡ります。 最後は村の広場に臨時で建てられたボロいプレハブのような闘牛場に、 牛ともどもドっとなだれ込んで来ます。 そして牛と村人によるスリル満点でいて、が、しかし大変滑稽な鬼ごっこが始まります。 人それぞれのやり方で、牛を囃したて、牛のご機嫌を損ね、 牛が突進して来れば、老いも若きも曲芸の猿並の身の軽さで 闘牛場の周りを囲む塀に攀じ登り牛をかわします。 暫くの間牛はガツガツとその塀に向って突進しますが、 やがて諦め踵を返すと そんな牛のお尻を追いかけて、 塀の上に避難していた村人達は再び又ワラワラとチョッカイをだしに行くのです。 何だか物凄く原始的なイジメの原風景を見ている気分になります。(笑) ![]() 午後からは闘牛士の見習いによる、何とも危なっかしい闘牛が開催されます。 普通の牛よりも随分と小ぶりな牛を使うのですが、 見ていてハラハラする程の危うさです。 見ている観衆は皆酔っ払いなので、やんやわんやの大騒ぎです。 朝から晩まで、この街のカーニバルは正に牛三昧な一日なのです。 |
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