| Soul.FReesoul... |
4.わたしはここよ(散文)

| あたしは人の皮をかぶった猫。 今日も大あくびで周りを見つめる。 名の通りのキャットウォークで塀を歩き、 河原でじっと雲を眺める。 一オクターブ上げたような黄色い声の だれかがどたばたと近づいてきて、 こちらに手を差し伸べようとも、我関せず。 あのミカンの形した雲が見えなくなる頃 ふと思い出したように、小さな隙間から 見える向こうのいい匂いの世界に気付く。 大きな目でギョロと睨んでミャアとひと鳴き。 ストンとその場に降り立ち、そしてあのお魚をくわえて逃げる。 たまには愛しいあの胡座をかいた膝の上に 恩着せがましく悠々と座り込んで、 喉をくるる、と鳴らしてしばしまどろめば、 もう、さっきのミカンの雲は空までミカン色に染め 向こうから群青のサテンを被せたような 「夜」という闇がこの世界を包み込む。 このまま幸せなまどろみを続けようか。 それともより一層光る大きな目をこの闇に向けようか。 あたしは人の皮をかぶった猫。 考えあぐねてニャアと鳴く。 そっぽを向きながらしっぽをからませる。 |