インターネット端末の変化について
97m3456 山本 弘文 2000年2月

今やパソコンを購入する動機は、主にインターネットである。現在、パソコンを購入した個人ユーザーのうち、八割近くがインターネットに接続しているという調査結果がある。インターネットツールとしてパソコンを購入するユーザが増えたことで、これまでのCPUやHDD、メモリなどのスペックアップだけではパソコンはそれ単独では付加価値を生み出すことが難しくなってきた。このことは、昨年からのパソコンの「無料ビジネス」によってより決定的になってきた。

実際には「無料」というわけではなくパソコンを配布し、それを使わせることが前提である。
米国では1800万人の会員を持つAOL(アメリカン・オンライン)が無料パソコン事業を開始し、大手パソコンメーカーのゲートウェイに出資している。日本でも、NTTコミュニケーションズの「OCNアプティバパック」(利用料金の月額3980円のうち2000円がパソコン代金で1980円がインターネット接続料金)などが登場している。

インターネットに接続するための、電子商取引などのネット産業に参加させるためのパソコンの配布。こうした販売の傾向は、つまりはパソコンがインターネットの付属品に成り下がりつつあることを意味する。上にインターネットがあってその下にパソコンが位置するという構造の逆転である。

パソコンの優位性は揺らぎつつある。インターネットが上部構造に転じた今、なにも接続に使うコンピュータは、OS(オペレーティング・システム)にマイクロソフトの「ウィンドウズ」やアップル「マッキントッシュ」を使った、今までのパソコンである必要はなくなる。今後、OSにLinuxを採用したより安価な配布パソコンが登場するだろう。ワープロ、表計算などの機能についてもインターネットを通じて、大型UNIXサーバから受け取る構造のものも出るという。ソニーが3月に発売する「プレイステーション2」のOSもLinuxで、ゲームが主役ではあるが、家庭用のネット端末としての地位を確立するかもしれない。

さらに、携帯電話などの移動体通信も将来のインターネット端末として注目されている。インターネットに対応したNTTドコモの「iモード」、Jフォン「スカイウォーカー」などが人気の日本ではなかば現実化している現象といえる。移動体通信の将来性が高いとされる理由は大きく三つある。一つは普及台数で、加入者数は6000万に拡大していて、最終的には一人一台の水準になるだろう。また、常時持ち歩くため、ネットにアクセスする頻度が最も高い端末になりうる。

第二に、急速な機能向上によるデータ通信の高速化が挙げられる。2001年春スターと予定の次世代携帯電話では移動時に毎秒384Kbit、静止状態では毎秒2Mbと今のISDNを軽く超えるほどのデータ通信が可能になるという。移動テレビ電話も実現する。最後に、移動体通信の個人認証機能が挙げられる。現在でも携帯電話等には利用者のID情報が登録されていて課金システムが完備している。このことは個人認証が必須の電子商取引の端末として適しているといえる。将来はこれが発展して免許証や車のキーなどの代わりになったり、またこれから進むといわれる家電のネットワーク化において、ネット家電を遠隔地から操作するための「万能リモコン」になる可能性もある。

一方、欠点は限られた電波を多数で共有するため、固定通信のような常時接続・定額料金制の採用が難しいことが挙げられ、固定通信とすみ分けながら発展していくことになりそうだ。

このようにインターネット端末はさまざまな形のものが登場しそうである。ユーザはこのうち一つを選ぶのではなく、例えば仕事ではパソコン、移動中は携帯電話、自宅ではプレイステーション2といったように、複数の端末を使い分けてインターネットを楽しむようになるだろう。