〜銀幕あれこれ〜

ここでは銀幕に関する提言・批評・小ネタ・想い出などを述べんとす。まぁ、銀幕版随筆です。

「ベスト5」など00000000000000000000000
先日映画好きな友人と「ベスト5は何だろう?」ってな話になりました。が、これってありふれている質問でありながら非常に難しい。まず作品ごとに意図が違う。100%純粋に娯楽で楽しめる作品もあれば多分にメッセージを持った作品もある。これを同系列には比較はできないと思う。小説で例えれば芥川賞受賞作品と直木賞受賞作品をまとめて比較するようなもの。確かに同じ小説には違いないがやはり比較は難しい。という事で自分なりの区分けでそれぞれベスト5を決めてみました。ちなみに友人にこの御題目で質問されて答えを出すまでに一週間以上考えてしまった。いやぁ、難しいね。

とりあえず「こりゃ、おもしろい」「しみじみ」「泣けるよぉ」 ってな3ジャンルで洋画と邦画のベスト5

「こりゃ、おもしろい」

(洋画)
「Uボート(ディレクターズカット版)」(1999)
「バックトゥザフューチャ−(全3作)」(1985・1989・1990)
「スターウォーズ(全6作)」(1977〜)
「ナイトメアビフォアクリスマス」(1993)
「酔拳2」(1993)
(邦画)
「トラトラトラ」(1970)
「日本海大海戦」(1969)
「影武者」(1980)
「天と地と」(1990)
「椿 三十郎」(1962)

「Uボート」は戦争映画の悲哀さもあり他の4作品とはちょいと趣が違うのだがやはりこの映画は最高。全編を通じて狭い艦内での息苦しさは観ている方まで息苦しくなる迫力。ジブラルタル海峡を通る前に寄港して乗組員はしばしの間上陸するのだが観ている方もその際にやっと肩の力が抜ける感じ。その後ジブラルタル海峡にて敵の攻撃を受け浸水して着底。浮上を懸けての見せ場は目が離せない。ここまで惹き込まれる映画はそうないだろう。ラストに関しては賛否両論あるみたいだが。W・ペーターゼンはこの作品以降多々作品を手掛けたけどこれ以上の作品は見当たらないなぁ。この洋画の5作品に関しては他にもっと面白い作品があるだろうってな人はいるだろうけど、でもそういった人達でもこの5作品をつまらないとは思わないはず。この5作品は誰が観ても面白いと思えるでしょ。

日本映画はもう自分の趣味がもろに出てます。唸る零式艦上戦闘機・九七式艦上攻撃機・九九式艦上爆撃機、火を吹く三笠の巨砲、地駆ける騎馬武者、もぅ最高!「トラトラトラ」の見せ場は何と言っても真珠湾攻撃だが、改造機を使ってハワイ上空を日本軍機動部隊の大編隊を飛ばしているという本物の迫力もあって、もう縦横無尽に飛行する日本軍機動部隊に感動。まぁ、あまり急降下しない九九式艦上爆撃機、増槽タンクを捨てずに攻撃に参加する零式艦上戦闘機などの些細な問題もあったが、本物の迫力でほとんど気にならない。また朝日の中、空母「赤城」から次々とこれらの軍機が発艦していくシーンは最高に印象的。「日本海大海戦」は東洋のネルソンと呼ばれ世界にその名を轟かせた名提督東郷平八郎連合艦隊指令長官率いる連合艦隊(旗艦「三笠」)とバルチック艦隊の一戦。砲撃戦による弾着水柱を従来の水面がはじけとぶ火薬ではなく圧搾空気を水面下に仕掛けたり、低いアングルで捉えたカメラワークといい円谷英二の特撮は素晴らしいの一言。三笠で指揮を取る東郷(三船敏郎)もまぶしい。浪漫溢れる大海戦。いやぁ、唸る零式艦上戦闘機・・・(以下略)んもぅぅ、最高!!

「しみじみ」
(洋画)
「街の灯」(1931)
「イルポスティーノ」(1995)
「スモーク」(1995)
「ミラーズクロッシング」(1990)
「シンレッドライン」(1999)
(邦画)
「ワンダフルライフ」(1999)
「夢」(1990)
「戦場のメリークリスマス」(1983)
「喜びも悲しみも幾歳月」(1957)
「ソナチネ」(1993)

この「しみじみ」ってのが表現に苦慮するのだが心に響いてくるってな感じの作品。難しいね。範疇も広くなるし、このあたりになると人によって大分評価が違ってくると思います。いろいろと泣いたシーンもあるのだけれど全体的には何ていうかこう泣くといった映画ではないでしょ。上記の「おもしろい!」ではなくて「良いなぁ」といった感じ。「街の灯」はチャップリンの映画なので笑えるシーンは十分にあるのだけれど(賞金目当てに出場したボクシングのシーンはかなり笑える)浮浪者であるチャップリンが盲目の女の子を助けようと奮闘する様子、金持ちのふりをし続けているのもちょいとせつないし、ラストは暖かい気持ちになれる。「イルポスティーノ」はマッシモ=トロイージの演技が素晴らしい。重い心臓病をおしての執念の撮影で撮影終了の12時間後に死去、文字通り命を懸けての素晴らしい演技になっている。また舞台となっている島の自然は映画の中に出てくる詩的表現と重なってとても美しい。

「ワンダフルライフ」はあの世への旅立ち(生きていた時の想い出を1つだけ選ぶとしたら何を選びますか?)という使い古されたテーマを扱いつつも物語はとても新鮮。ベタついた宗教くささもなくユーモアもあり知的・精神的に刺激される。しかし乾ききっているわけでもなく染み入るようなせつなさも残しておいてくれるこのバランスが絶妙。また、想い出を映像にて再現していく様子は映像創りの面白さがそのまま伝わってくる。「夢」は短編オムニバス。中の作品の良さにはばらつきがあるが「日照り雨」「桃畑」は黒澤流の緻密な絵造りは非常に美しく惹き込まれる。「トンネル」は哀しい。最後の「水車のある村」での老人(笠智衆)の語りは哀とした宗教観にとらわれずに素直に素朴にそして優しく「生」と云う物を捉えていてしみじみと心に響きます。

「泣けるよぉ」
(洋画)
「橋」(1959)
「スターリングラード」(1993)
「自転車泥棒」(1948)
「8月のクリスマス」(1999)
「ひまわり」(1970)
(邦画)
「火垂るの墓」(1988)
「切腹」(1962)
「HANA−BI」(1997)
「二百三高地」(1980)
「ビルマの竪琴(リメイク版)」 (1985)

この映画以外にも泣いた映画は多々あるのだけれど泣ける映画としてはとりあえずこれ。「橋」は敗戦間近のドイツの小さな町を舞台した余りにも悲劇的な物語。兵隊になって一日しか経たない16歳の少年達が、命令の行き違いから必要ではなくなり爆破される予定の橋を守る為に必死で戦い、次々と死んでいく。戦いの過酷さに混乱し泣き叫ぶ少年兵達の姿があまりにも哀れで痛々しい。しかもその戦いは全くの徒労なのだ。生き残った少年が、橋を爆破しに来た兵に「余計な事しやがって」と言われて逆上し発砲するシーンは哀し過ぎてやりきれない。「スターリングラード」はジャン=ジャック=アノーの作品ではなくドイツ映画(米合作)の方。1942年から始まるスターリングラード攻防戦。悲惨な市街戦が余すところなく描かれており胸が痛くなる。投降を拒んだ兵達が極寒の雪原をあてもなくさまよい歩いて凍死していく様も哀し過ぎる。

「火垂るの墓」はアニメだけどこれも哀し過ぎて、 もぅ可哀想で可哀想でやりきれない。戦争で両親を失い、兄と妹とで必死に生きていこうとするのだがついに力尽き、兄は先に逝った妹の小さな骨をいれた缶を抱えたまま駅のホームで生き絶える。戦争では何も生まれない。数多の命が摘み取られ、耐え切れない幾万もの哀しみが生まれるだけだとこれらの作品は教えてくれる。「切腹」は貧乏武士の悲哀。刀を質にいれて刀が無い為竹光(たけみつ)で切腹するシーンは壮絶。 

「火垂るの墓」は多分今まで観てきた映画で一番泣いたんじゃないかなぁ。アニメははずそうかと思っていたのだけれどこの作品だけは別。

で、何故アニメをはずそうと思ったかというとアニメは別ジャンルとして幾つか挙げてみようと思ったから。

「ルパン三世 カリオストロの城」 (1979)
「メトロポリス」(2001)
「天空の城ラピュタ」(1986)
「時空の旅人」(1986)
「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994)

やはり宮崎アニメだなぁ。「カリオストロ」「ラピュタ」なんてもう娯楽作品として「バックトゥザフューチャー」「スターウォーズ」と比べても全く遜色ないでしょ。「メトロポリス」は映像はこれぞジャパニメーション!音楽もディキシー・ニューオリンズスタイルのジャズでとても良い。アンドロイドのティマ(原作での名はミッチー)の存在がせつない。世界の巨匠手塚治虫の原作+世界でも群を抜くジャパニメーションの技術+心地の良いジャズのリズム、これらが1つになって素晴らしい出来栄え。「時空(とき)の旅人」は核戦争に絡む話題が少々せつなくも、作品はSF冒険物語として十分に面白い。主題歌・収録曲の竹内まりやの2曲「TEKO'S THEME」「時空の旅人」も良い。テコ(TEKO)というのはヒロインの女の子。「平成狸合戦ぽんぽこ」はしみじみします。内容といい毒蝮三太夫の語りといい子供よりも大人の方が観ていて面白いのではないか?

どうです。皆様のベスト5はどんな作品でしょう?