第三膳 命知らずな男 Part1

昔、男女ありけり。女とはなにを隠そうわたくし自身である。年の頃は17なり。男はわたくしよりもずっと年上で、バイトの先輩であった。それは、みんなで花火を見に行った時のことである。

彼はわたくしの手を引っ張り半ば強引に二人きりにさせられた。そして当時はやっていた“愛を語るよりくちづけをかわそう”という歌を突如歌い出し私にくちづけを要求してきた。あまりの寒さにわたくしは無視をして『花火きれいだね』などと言ってごまかしていた。そうしたら今度は『花火よりも君のほうがずっときれいだよ』などとくさいセリフを吐いた。

手のつけようのない男である。しかし、これは前振りで実は今回の話の主役は彼ではなくほかの男である。

後日このくさい話を笑い話としてある男に話した。彼は『それはあなたの美しさを表現したんじゃなくて、花火をけなしただけじゃないの?』とコメントした。わたくしに向かってなんとも失礼な男である。

この命知らずな男の名は・・・。サムライである。以来、現在に至るまでサムライが寝る前にわたくしの住んでいる方角に向かって許しを乞うている事は言うまでもないことである。

(99/06/19 Written by ''OZEN'')