第七膳 小さな親切大きなお世話な男


お膳ファンの皆様長らく御待たせいたしました。しばらくの間、旅だっていました。これからもよろしくお願いいたします。さて、こころの旅から帰ってきたわけですが、今度は東京のこころの寒さから風邪をひいてしまいました。そういう時にありがたいものは人様の真心のこもった小さな親切です。ということで今回はそんな小さな親切のお話です。

昔、男女ありけり。二人は夜遅くまでお酒を飲み、彼女の最終バスの時刻が近づいていた。なぜか彼女の表情はさえない。いつまでも一緒にいたいからであろうか?どうやら違うようである。少し時間をさかのぼってみよう。


***居酒屋にて***

:今日さ、小銭しか持ってないから貸しといてくれる?
:私だってそんなに持ってないよ。
:じゃあ、カードで払おう。

:カードでお願いします。
店員:カードは使えません。
:でも、持ち合わせがないんです。
店員:では、持っていらっしゃるだけ今払ってください。後は、後日で結構です。
:(女に向かい)あるだけ出しといてくれる?

   女は持っているだけ全てを払う。
   恥をかき女は不機嫌になる。

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そして女は別れを告げバスに乗りこみ、駅へと歩いて行く男の後姿をバスの後ろの窓から見ていた。発車まではまだ時間があった。すると男はきびすを返し全力疾走で帰ってきた。何事かと思い女はバスの入り口へと歩み寄った。そして男は大声で言った。
『バス代払える?大丈夫?出そうか?』
...当然バスの中で彼女は注目の的であった。それも『あの子、バス代も男に出させるの?相当貢がせてるんじゃない?』というような冷ややかな注目である。彼としては気を使ったつもりでも、1日に2回も恥をかかされた彼女はその後すぐに彼と別れた。親切もTPOをわきまえないと、かえって逆効果になるので、殿方たちよ、お気をつけあれ。

(99/12/29 Written by OZEN)