第壱壱回:寝た・睡眠
最近ここに書くネタがないなぁ、と思いつつネタをさがしていたら・・・「ネタ」・・・「寝た」?「寝た」? おぉ、そうだ!このネタでいこうということになった。「寝た」と言っても、
「ねぇねぇ、私とうとうこのあいだハゲ丸と寝ちゃったー」
「きゃー、それでそれで?」
「ハゲ丸ったら、いきなりね・・・」といったたぐいのものではない。(今時このような会話をする娘さんもいないと思うが)お題は「睡眠」です。だったら最初からそう書けって?とりあえず「睡眠」と言えば「シャネルの5番を着て寝るの」とはもちろんマリリン=モンローの名セリフ。始めてこのセリフを聞いた時にはよく意味がわからなかった。シャネルの5番とかいうパジャマがあるのかな?ぐらいに思っていたのだがシャネルの5番とはもちろん香水。香水だけつけてあとは何も身に付けずに全裸で寝るという事、と知った時には何て艶っぽいセリフなんだ!と思ったけど・・・カゼひきそうだよね。
さて、睡眠したくてもなかなかできない不眠症で悩んでいる人はかなり多いのだが、なぜ人間は眠らないといけないのかについてはまだよくわかっていない。ちなみに野生動物で高等なものはほとんど眠らない。また、なんで人間は夜眠るのかについてもよくわかっていない。ほとんどの人間が「みんなが眠るから」「朝から仕事だから」というくらいの理由で夜になると眠くなると信じているにすぎない。さらになぜ眠くなるのかもまだわかっていない。もっともこのわからないのは原因がつきとめられないのではなく、眠りを誘発する物質がたくさん見つかりすぎて、いったいどれが主要な誘眠物質かがつきとめられないからである。核酸の一種であるウリジンがそうではないか、と現在のところいわれている。
ギネスブックによると今までの最長不眠記録はスタンフォード大学の学生が記録した264時間(本当か?11日だぞ!?)
就眠儀式という言葉がある。心理学用語で、眠る前に必ずこれをしないと眠れないという、いわば強迫神経症の一種なのだがこれを持っている人は案外多い。寝酒を一杯ひっかけるといったかるいものから、ドライヤーをつけっぱなしにしてその音を聞きながらでないと眠れない、顔を白塗りにして死体のフリして棺桶に入らないと寝つけない(これまた本当か?)といったものまで様々である。有名人では自分の横にマクラを18個並べないと眠れなかったオペラ歌手のエンリコ=カルーソ、2つベッドを並べて時々入れ替わらないと眠れなかったベンジャミン=フランクリン(避雷針の発明者)、正確に南西方向を向いたベッドでないと眠れなかったチャールズ=ディケンズ(イギリスの作家)、自分の髪をブラッシングさせながらでないと眠れなかったエカチェリーナ2世(ロシア・ロマノフ朝の女帝)、読もうが読むまいがとにかく必ずやたら分厚い本を持って布団にはいった夏目漱石などなど、そもそも睡眠薬を飲まないと眠れないというのも実は心理学的な就眠儀式の可能性が高い。
現代人は眠る時に横になるというのが自然な格好だと思いがちだが、これまた勝手にそう思い込んでいるに過ぎない。サルなんかは座ったまま眠る。アフリカの原住民には野球のキャッチャーのようにしゃがんで寝るのが一番楽だと信じ込んでいる部族があったそうだ。今、しゃがんで寝ている姿を見たらけっこう驚くだろうね。
人間の睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があるというのは有名な話。夢を見る浅い眠りの状態がレム睡眠、全身が非緊張状態になってグッスリ深く眠るのがノンレム睡眠である。通常まず最初に深いノンレム睡眠に入りこみ、それからレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返す。レム睡眠90分、ノンレム睡眠60分のリズムであるので寝てから90分後、180分後、などはちょうど浅い眠りに入った時期であるため目覚めがよいのである。快適に目覚めたい人には6時間・7時間半睡眠がベストかな(ただし、その人に必要な睡眠時間は素質的に決まっていて、人為的には変えられないという説もある)。肉体のために大事なのがノンレム睡眠、脳のために大事なのがレム睡眠といわれている。レム睡眠を阻害する薬剤を与えるとよく眠っているにもかかわらず人はパラノイア症状を起こすという。そういえば寝る子は育つというのは完全な真実。人間の成長ホルモンはノンレム睡眠時にしか分泌されない。幼い時期に夜更かしのクセがつくと本当に身長が伸びにくいのである。
睡眠中は新陳代謝のスピードが衰える。この新陳代謝の低下を利用して冬をやり過ごすのが冬眠。冬眠中は新陳代謝が極度に低下し体温が下がるだけでなく呼吸や鼓動の回数も著しく減少する。新陳代謝のスピードが落ちるとついでに老化現象も先送りになる。つまり冬眠中はほとんど年をとらない(もちろん全く年をとらないというわけではない、年をとるスピードが極端に遅くなる)という事。退屈な時間は寝て過ごせばいいのだからこれはかなり魅力的な話だ。が、もちろん人間にはこの冬眠をする機能は備わっていない。冬眠をするクマやリスなどには人間にはない冬眠物質(HP蛋白質)を持っている。この冬眠物質を猿に注射する実験を行ったところ、猿は冬眠前のような状態を示したという実験結果もあるので人間にも応用出来る可能性もあるらしいが、そんな実験は許されるはずもなく「可能性はある」に留まっている。また冬眠が長期に及ぶと運動を全くしない事によって徐々に筋肉や骨が衰える事は免れない。長い冬眠の目覚めの後、立ちあがろうとして足を骨折なんて事態も起こりうる。SFではコールドスリープとして御馴染みだが実用化にはなかなか問題があるようだ。
コールドスリープのこうした弊害をなくす為には冬眠ではなく完全な冷凍保存が考えられるのだが、この際にはもっと深刻な弊害が存在する。人体のおよそ70%は水分である。水は0度で氷になり、氷になると体積が増える。という事は・・・想像のとおり人間の細胞一つ一つの中の水分は膨張し細胞をプチンプチンと突き破る。冷凍保存と同時に人体はただの肉の塊になってしまう。冷凍保存にはこうしたクリアしないといけない課題があるのだが、これは生きた人間を冷凍保存する場合。当たり前だが死体の冷凍保存の場合は冷凍の課程で命を失う危険性がない。では何の目的で死体を冷凍保存するのか? それは死体を冷凍保存しておいて遠い将来解凍・蘇生してくれるのを待つという目的である。例えば心臓の病気で死亡した場合、死体を冷凍保存しておいて将来、完璧な人工心臓が完成した時代に死体を解凍して病気でダメになった心臓を取り替えて蘇生するという狙いである。ちょうど機械の壊れた部品を取り換えるといった感じか。実はアメリカにはこうした死体を冷凍保存する会社が存在する。が、この会社ではしばしば人体の一部だけを冷凍保存している。それは人間の心を司っていると思われる部分、つまり頭部である。この会社にすれば冷凍保存した死体を蘇らせる事ができる時代であれば首から下をクローン技術などにより創る事も可能となっていると考えているようだ。加えて言えば冷凍(水分の膨張)による細胞破壊についても何らかの薬品で対応しているようだが、それでも多少の細胞破壊は免れないと認めている。が、これについても未来のテクノロジーが細胞を修復してくれると考えているようだ。という事でこの会社の倉庫にはいくつもの冷凍保存された人間の頭部が蘇る日を待ちつつ眠っている。しかし・・・この会社は保存はするが蘇生させるとは言及していない。あくまで誰かが蘇生してくれるまで保存をしておきましょう、ということだ。では誰が蘇生してくれるというのか? 科学が発達して蘇生が可能となるのと実際そうするかは別の話。おそらく誰もそのような事はしてくれないのではないか? 科学がどれだけ発達しても死者を生き返らせるという事は決して開けてはいけないパンドラの箱のような気がするのだが。
いやいや、「睡眠」のお題からちょいと脱線してしまいましたな。さてさて、睡眠中には寝言なるものを言う人、イビキなるものをかく人がいる。寝言はまだかわいげがあるのだけれどイビキにはまいるよね。イビキは本人でもどうしようもならないから始末が悪い。イビキ防止の最終手段は手術。どんな手術かというと鼻に第3のアナを開けるというもの。といっても外から見えるわけではないよ。ただ、そんなに難しく考えなくても大抵のイビキは横向きに寝かせればなおるものです。寝言に関しては、授業中、寝言で「うぅ〜ん、ムーミンが・・・」と言った友人がいる。寝言もまた何を言ったか憶えてないものなのでこれまた十分に注意しましょう。恋人以外の異性の名前など口走ってしまったら・・・
今回はネタにつき「寝た・睡眠」の話でした。
(2000/09/24 Written by SAMURAI)