第四回:中毒患者

今回はちょいとした恋愛の科学。だが、なぜ「中毒患者」といったタイトルか?それは最後まで読めばわかります。

さて、恋愛といってもいろいろとあるが、今回とりあげるのは一人の人と長くつきあうことができない、次々と相手を変えて、決して1ヵ所に留まろうとしない人達。実はこういった人ってけっこういるんだよね。拙者のまわりでも心当たりがあり、特に女性に多いような気がする。彼女達は追いかけているうちが楽しくて、相手が自分の方を向いてくれると途端に想いがさめるそうな・・・

人は恋をすると快感を味わうことができる。この場合の快感とは肉体的な快感ではなく、気分が高揚するといった精神的な快感である。この快感はPEA(フェニ―ルエチルアミン)という脳内でつくられる物質の作用による。高揚や覚醒といった精神作用を及ぼす、いわば脳内麻薬である。(実際PEAは坑うつ薬としてもつかわれている)PEAは恋をすると(特に恋の初めの方)脳の中で大量に分泌されることがわかっており、それが恋をした時の高揚感に繋がるのである。ちなみにこのPEAは食欲を抑制する薬ともよく似ていて、恋をすると食欲がなくなる、ごはんが喉を通らなくなるのもそのせいなのだ。

余談にはなるがこのPEAを多く含む食べ物が何を隠そうチョコレートなのだ。だから、バレンタインデーで恋しい男にチョコレートを贈るのは決して意味のないことではないのです。(中世アラビアではチョコは恋を育てる飲み物といわれていたらしい)

もう一つ恋をしている時の脳内麻薬といったものにβエンドルフィンという物質があり、こちらはやすらぎといった快感を与える作用がある(鎮痛作用はモルヒネの約6倍)。そしてこの物質は長くつきあっている恋人や親しい友人といるときに脳内に分泌される。だから、気分がやすらぐのだ。逆にこういった人達と別れるとβエンドルフィンはストップしてしまう。それで気分が落ち込むのである。

これまた余談になるがそういった失恋した時に脳内に分泌される物質はセロトニン。失恋でβエンドルフィンのストップなど、ストレスがたまるとこのセロトニンが少なくなり、「鬱状態」に拍車をかける。だからそうならないように脳はせっせとセロトニンを分泌するわけだが、この分泌を促進する作用を持つのがパンやイモなどの炭水化物。なので失恋した女性がヤケ食いで焼きイモなどをほおばるのも案外理に適った行動なのである

つまり人は恋をするとドラッグをやっているような状態になり、逆に恋に破れるとドラッグを絶たれたような状態になるのだ。失恋直後の苦しい状態はジャンキー達の禁断症状と非常によく似ている(鬱・無気力・不安・パニック)。だから恋や愛そのものというより、こうしたドラッグ的な快感を求めて恋愛に走るという事がおこってくる。特にPEAは恋愛の初期段階(出会い・好きになる・つきあいはじめ)に大量に分泌されるため、そのような強烈な快感の虜になってしまうと、次々と相手を変えずにはいられないのである。同じ相手だとPEAの量はだんだん減っていくが、新しい相手だとまた大量のPEAが分泌されるからである。つまりPEAの快感を得るためだけに次々と手当たりしだいにつきあってしまう、まさに恋愛の快感に溺れる「ラブ・ジャンキー」というわけだ。ラブ・ジャンキーの人達は恋をしていない状態、恋愛相手に飽きている状態だと「鬱」になって気分が落ち込んでしまう。その「鬱」が耐えられなくて新たな恋愛に走ってしまうというわけ。ジャンキーだもんね。

長い恋愛をしていくと確かに最初の頃の「ドキドキ感」といったものは薄れていく。これは脳内で分泌されるPEAの量が少なくなっていくからだ。しかし、そのかわりβエンドルフィンの分泌量が増えてくる。だから一緒にいるだけで気分が落ち着く「やすらぎ」といった快感がでてくるのだ。他にも魅力的な異性は数多いるのに自分にはこの人しかいない!と思える感覚である。これこそがβエンドルフィンの作用である。つまり、恋愛が長続きするためにはこのPEAからβエンドルフィンへの移行が必要なのである。ところがラブ・ジャンキーといった人達はこの移行ができない。PEAの分泌が少なくなった時点でつまらなくなり、相手のことを好きでなくなってしまう。ジャンキーだもんね。

まぁ、短期恋愛の理由としては心理的な要因や時代背景も深く絡んでいるのだけど、医学的な分析をするとこうなるという事。だから、この手の人達はジャンキーであり、一種の病人である。なもんでこの手の人達にはうっかりはまらないように気を付けましょう。ところがね、こういった人達は何度もつきあいを重ねているだけあって巧みなんだよなぁ〜、誘い方が・・・。気が付くとむこうのペースにのせられてて、こっちもワルイ気がしないもんだから、ついついその気になる。ところがこっちがその気になったりして、つきあいだすと途端にむこうの気持ちがさめていく。なんなんだ、お前はいったい!!と、まぁここでグチを言っても仕方がない・・・今回は恋愛の科学「中毒患者 ラブ・ジャンキー」についてのお話でした。

(99/07/02 Written by SAMURAI)