第弐〇回:せつない話(第参章)
学生時代、何度かコンパをした事がある。個人的にはコンパはそんなに好きではない。初対面の女の子と話すのは話題を探さなければいけないし何かと気を遣う事が多くて心底楽しめない。が、それでも行ってしまうのはメンバーが足りないと言われて仕方なくという事もあるし、何だかんだ言いつつも何処かささやかな期待もしていたのだろう。
コンパに行くと大概拙者の役回りはお互い気に入った男女の橋渡し役、相談役なのだ。誠につまらない事この上ない。が、電話番号を教えた女の子から後日電話がかかってきて「○○君のことで相談が」と言われるとそれを断れるほどの度胸も拙者にはないのだ。だから「おぉ、そうか、オレに任せておけよ」などと、たわけた事を気持ちとは裏腹に言ってしまう。
ある時、例によって拙者の橋渡しでうまくいったカップルがあった。相談を持ち掛けておいてうまくいっても礼の電話の1つもありゃしないのもこれまたいつもの事だ。しばらくしてそのカップルになった女の子から電話があり、話があるとの事。何の話かと聞くと会って話したいから今度会ってくれと言う。イヤな予感がしたが、なかなか断る口実がみつからないのでしぶしぶ会う事にした。
会って話を聞いてみるとイヤな予感が的中した。彼女はつきあった男にあっという間にフラレて、コンパの時にいた別の女性にのりかえられたらしい。それについてこれからどうしたらいいかという相談とその男に対する愚痴を散々言った。どうしたらいいかなんてそんなもんフラレたのだから諦めるしかないに決まってるし、愚痴を拙者にこぼされても迷惑千万なだけ。それでも早くその場をきりぬけたい一心で彼女を慰める為にいろいろと相手をする。
拙者「まぁ、相手が悪かったんだよ。それにアイツは元々そういったちょいと女癖の悪いヤツだったから・・・」
彼女「女癖が悪いの知ってたんだったら何故最初に言ってくれなかったのよ!」
拙者「いやぁ・・・」そんなもん言えるわけがなかろう。最初に仲介を頼まれた時に「いやぁ、彼は女癖が悪いから」などと言うわけがない。だいたいもしそれを言ったところでこのテの女は素直に忠告を受け入れたとも思えないし、強硬にそれを主張すればひがんでるとの誤解を受ける可能性さえある。酔いも手伝って彼女はぐすぐす言いながらくどくど愚痴を言い続けている。何で拙者がこんな目に合わなくてはならんのか?彼女は尚も愚痴を続けた。
彼女「私、私、男の子とあんな事したの初めてだったのに・・・」
もうこれ以上彼女の愚痴を聞いてられない。よし、ここは冗談の1つでも言って
少し彼女にも和んでもらわなくては拙者「へぇ、そりゃうらやましい。オレなんか男の子とそんな事した事まだ一度もないよ、あっはっは!」
少しの時間をおいて・・・拙者の頬に彼女の手の平が飛んできた。
パシーン!!
拙者「ぐはぁ!!」
彼女「ひどい!!」激昂した彼女は拙者に平手打ちを食らわすと脱兎の如く店を走り出た。店の中の客の視線が痛い。拙者も彼女を追い掛けて外に出ようとすると店の人間に止められた。
店員「お客さん、代金を払って頂かないと困ります」
拙者「あぁ・・・そんなぁ・・・」彼女は当然の如く代金を払わずに走り出たのか・・・。後で彼女を連れてきてから2人で代金を払いますとも言いたかったが、これ以上この場にいるのもつらかった。仕方が無いので代金を払って店を出た。階段を駆け上がって外を見るともう何処にも彼女の姿はなかった。早く彼女を探さないと、と思いつつ走り出したが、ふと足を止めた。これ以上彼女と関わって何になる?見つけて会った所で代金を払ってくれそうにはないし、どうせまた愚痴を聞かされるのがオチだ。ましてや先程の冗談の件で罵られないとも限らない。・・・ふっ、今日は厄日だ・・・仕方が無い、何処かで気晴らしに飲み直すとしよう。と言い聞かせサムライは1人夜の帷(とばり)がおりた街の中へと消えて行った。
くぅ〜 せつねぇ〜・・・
(2000/12/10 Written by SAMURAI)