第弐五回:オムニバス

ネタ帳を整理していたらUPしてないネタが幾つかあったのでオムニバス形式で纏めてUPしました。

スポーツ界には、ファンの間に定着したニックネームがある。ファンの間でニックネームが定着するという事はその選手が一流の証でもある。プロ野球界では大魔神、若大将、トルネード、牛若丸、じゃじゃ馬など(それぞれ誰のニックネームかわかるかな?)そんな中で最大級の賛辞として存在するニックネームが「ミスター」であろう。今や「ミスター」と言えば御存知長嶋茂雄その人しか指さなくなってはいるようだが、元々彼は「ミスタージャイアンツ」であった。だが、国民的ヒーローとして圧倒的支持を受け、もはや巨人軍といった枠に収まりきれず日本プロ野球界を代表するスターとして「ミスタープロ野球」となった。だから元々「ミスター」のニックネームの後には球団名が付き、その球団を代表する選手が称される栄光のニックネームであった。「ミスタータイガース」で言えば古くは物干し竿バットの藤村富美男、ちょいと前までは掛布雅之、「ミスター赤ヘル」山本浩二などなど。また球団名ではないけれど「ミスター三冠王」落合博満などその分野で頂点を極めた選手が「ミスター」のニックネームの栄光を受けた。

さて、野球には俗に「いやらしい」と形容されるプレーがある。バッティングで言えば選球眼がよくボールには手を出さず、難しいコースのストライクはカットしてファールにしてピッチャーに多くの球を投げさせる。守備で言えば難しいボールでも難無くさばいてダブルプレーなど。派手さはないもののしぶとく相手から見ればまさしく「いやらしい」プレーで、選手としてかなりの器用さがなければできないプレーなのだ。プロ野球界では「いやらしい」というのは褒め言葉なのだ。そして、そういった器用さ抜群の「いやらしい」プレーに卓越した技術を持った選手がいた。辻 発彦(1984-1995:西武,1996-1999:ヤクルト)その人である。そんでもって彼のニックネームは、ずばり「ミスターいやらしい」。「ミスター」と付くからには「いやらしさ」No.1という事だから、もう頂点を極めた「いやらしさ」であり、この上なく「いやらしい」、それが辻 発彦。・・・確かにプロ野球界では「いやらしい」は褒め言葉なのだが、このニックネームの響きはどうであろう?あまり宜しくはないのではないか?と、ずっと思ってました。っていうか、「ミスターいやらしい」って何だかセクハラ上司みたいだぞ。

その「いやらしい」だが、同じようなニュアンスでエロとも言う。「いやらしいヤツ」と「エロいヤツ」とはほぼ同意語だ(まぁ、さすがに辻選手の事を「ミスターエロ」とは言わないが)。でもこのエロの語源は「エロス」であり「愛」を意味する言葉でありローマ神話の神様だ。手に弓矢を持って空を飛び回り、この矢で胸を撃たれると人は恋の虜となる神様でギリシア神話ではキューピッドである。まぁ、ギリシア神話とローマ神話とは厳密に言えば別々の物語だが、伝承の過程で互いに入り混じって分かち難いほど渾然一体となっている。ギリシア神話のキューピッドは愛の神ヴィーナスの息子であり、エロスもまた愛の神アフロディテの息子である。キューピッドはエロスとほぼ同じなのだ。でも遠く極東の国日本ではこの2つの言葉のニュアンスは大きく違うよなぁ。恋のキューピッドによって結ばれた2人なんて言い方はするけどエロによって結ばれた2人とは言わないし、「ハゲ丸はキューピッド」、ってな言い方をすればハゲ丸が男女の仲を取持ったと解する事ができるが「ハゲ丸はエロ」と言えばヤツはただのエロだ。キューピーマヨネーズもエロマヨネーズとは言わない。でも・・・キューピッド本って何かちょいと可愛らしい気もする。

ニックネームは渾名とも言う。続いては拙者の幼き頃の話。拙者の幼き頃テレビで「ジャングル大帝」というアニメを放映(再放送)していた。あの有名な手塚治虫の作品で御存知の方もさぞ多かろう。そんでもってそのアニメの主題歌に「レオ!レオ!パンジャの子〜♪」ってな歌詞がありました。パンジャとはジャングルの王者といったような意味でパンジャは真白の大きなライオン(西武ライオンズのマスコットキャラクターでもある)、その王者の子がレオという事。さて、そのアニメが放映されていた頃、拙者は幼稚園児であり同じ組に田尾君というパン屋の子がおりました。ここまで都合良く揃えば幼稚園児が渾名にしないわけがありません。彼の名は「田尾!田尾!パン屋の子〜♪」として幼稚園中に知れ渡りました。栄光あるパンジャの子レオ、それと並び称される栄光あるパン屋の子田尾(イヤ、よく考えれば親父も田尾なんだけどね)。パン屋の子としての田尾君の栄華はしばらくは安泰のまま続きました。しかしある日、隣の「こりす組」(当時拙者は「ことり組」)から不穏な歌が聞こえてきました。「瀬尾!瀬尾!パン屋の子〜♪」どうやら隣のこりす組には瀬尾君というパン屋の子がいるらしい。正当なるパンジャの地位が2つと並び立たないのと同様、正当なるパン屋の地位は2つと並び立ってはならない、と当時「ことり組」の園児も「こりす組」の園児も考えたようです。2つの組の仲は突然険悪になりました。そんでもって正当なるパン屋の子の地位を巡ってケンカにまで発展してしまいました。送り迎えの御母さん・保母さんの目が離れるともうさっそくケンカ。「田尾君が本物に決まってるだろ〜」「瀬尾君だよ〜」って言いながら(別に田尾君の家庭も瀬尾君の家庭も本物のパン屋を営んでいたのだけれどね)。それぞれの組の男子の半分くらいが集団でケンカをしていたと思う。粘土や積み木を投げたり、傘でぶったり・・・ちょっとした組の抗争でしたよ。まぁ、まさしく「ことり組」と「こりす組」の抗争だったんだけどね、パン屋の子の地位を巡って。今思えば信じられないけど子供ってどんなにくだらない事でもムキになって一生懸命になれるんだなぁ。懐かしいよ。田尾君元気かな・・・、今はもうパン屋を継いだのかな・・・、皆で抗争してまで守ったあのパン屋の地位を・・・

Tシャツでもトレーナーでも英単語が載ってるものが多々あるでしょ。その中で「New Orleans」「Chicago」「Seattle」などの地名が書かれているものがある。あれにはどうも違和感を感じるのは拙者だけなのだろうか?英語だから格好が付くような気がするが日本語に直せば「さいたま」「稚内」「武蔵野」などと書かれているだけなのだ(いや、別にこれらの地名を挙げたのには全然他意はないよ)。「さいたま」Tシャツ「武蔵野」トレーナーなどがあってもあまり着る気はしないだろう。英語だからって踊らされてるよな。一時期流行っていた「Bitch」なんて意味は「売春婦」だぞ。でもね、異文化の文字を格好良いと感じる人達は外国にも多々存在して、あちらでは漢字Tシャツがウケてるんだよね(スティーブン=タイラーは来日公演で「安」と書かれていた漢字Tシャツ着てたし)。 以前呑み屋で話した外人さんが漢字Tシャツを着ていてそれには「恥」と書かれていた。そんでもってその外人さんにこれは何て読むんだ?何て意味なんだ?と訊かれ、正直に「shame(恥)」だと教えたら、何故「恥」なんだ?と訊かれた。イヤ、何故って言われても理由なんぞ知らないってば。その外人さんは「shame」は気に入らないから何か別の漢字を書いてくれと言ってマジックを渡してきたから彼のTシャツに「侍」と書いてあげた。どういう意味だと訊かれ、サムライの事だと答えたら外人さん「Oh!」と御満悦。

(2001/9/1 Written by SAMURAI)