第弐七回:バルタン星人

先日、久々に父方の埼玉の田舎に墓参りに行った。拙者の家系はもともと埼玉なので墓も埼玉にあるのだ。で、田舎の家には今は祖母が1人で暮らしている。まぁ、そんな事は今回の話には全然関係なくて、その田舎の家に行った折母屋の裏にある書庫に足を運んでみた。書庫と言えば多少格好良いが何の事はない只の物置である。ウチはわりと古い家系なのでそこには江戸時代の御先祖様の証文とか明治・大正時代の新聞やチラシなどが散乱しているのだが、最近の物では拙者の父親の幼い頃の通信簿とか拙者の幼い頃の通信簿や落書きなんてのもある。で、その中に拙者の幼い頃の日記があった。あまりに懐かしくいろいろと読んでみた。日記のつけ始め頃は勢い良く、書いてある文字の量もそれなりに多いが、段々と日付もとびとびになってきて書いてある文字の量が減ってきている。「10月23日 おみそしるとめだまやき」としか書いてない日などもある。そして「12月17日 バルタンせい人がこわかった」でぷっつりときれている。いや、正確にはその次の日記が最後で「2月18日 バルタンせい入」である。12月17日と2月18日の2回のバルタン星人、しかも2回目は「人」という字を「入」と間違えている。

思い出した。拙者「バルタン星人」が怖かったんだよね。あの蝉みたいな顔と「ふぉふぉふぉ」という独特の笑い声。どうやら、12月17日にバルタン星人を見て恐怖のあまり日記を書くのが止まり、翌年の2月18日には恐怖のあまり文字を間違えているようだ。ほとんどのウルトラマンシリーズは拙者の生まれる前の昭和40年代に放映されていたのだが、昭和55年(1980)に「ウルトラマン80」として復活している。拙者はそれを見ていたんだよね。で、調べてみたら本当にこの日付でウルトラマン80でバルタン星人が出演していた。昭和55年12月17日「(第37話)恐れていたバルタン星人の動物園作戦」 昭和56年2月18日「(第45話)バルタン星人の限りなきチャレンジ魂」の2本。この2作のバルタン星人は初代ウルトラマンの出演から数えると5代目と6代目らしい。で、20年の時を経て見てみました。が、今見てみると当時の怖さが全然感じられず(まぁ、今でも怖かったらそれはそれで大問題だ)むしろこのバルタン星人の愛嬌ばかりがやたら印象に残った。12月17日の放送ではバルタン星人が地球へ飛来してきた目的は地球征服ではなく、にっくきウルトラマン80をバルタン星の動物園に入れる為捕獲するのが目的。この回ではウルトラマン80も地球防衛というよりも自衛の為にバルタン星人と闘うのだ。バルタン星人の目的は捕獲、つまり生け捕りであってウルトラマン80の命を奪うつもりはなかったのだが、動物園に入れるという屈辱的な目的に激怒したウルトラマン80にぶん投げられ母船もろとも爆死。これに怒ったのか翌年2月18日に再び地球にやってきたバルタン星人の目的は「地球全面戦争」。さすが題名に「限りなきチャレンジ魂」と言ってるだけあってなかなかのスケール。この時のバルタン星人、地球に飛来するのも6回目ともなるとかなり地球の文化に精通していて「人類皆敵(かたき)」「一日一悪」「御釈迦様にもわかるめぇ」などの巧みなボキャブラリー。すごいでしょ。やはり闘う相手の事を十分に調べていたようで、孫子の兵法「敵を知り己を知れば百戦危うからず」の言葉通り実践していた事になる(まぁ、実際に闘う相手は地球人ではなくこれまた宇宙人であるウルトラマン80なんだけどね)。

先にも述べた通り拙者はウルトラマンは世代ではないのでほとんどウルトラマンに関しての知識がない。今回の随筆を書くにあたっていろいろと調べてみたら、ウルトラマンって面白いんだね。特にその怪獣達、ぶっとんでるものが多々存在する。いくつか紹介するとまずウルトラマンタロウ第39話「ウルトラ父子 餅つき大作戦」に出てきた怪獣モチロン。この怪獣もちろん餅の事しか頭になく「米の旨い新潟に行って餅を食いまくる」といった目的で月から地球に飛来。「おら〜、新潟で餅食って暴れまくるつもりだ〜」(何故か訛っているモチロン)。ウルトラの父に「新潟にまで行って餅を食うなどとんでもない話だ!」、モチロン「・・・だけんど〜」、父「ええい、黙れ黙れ!」と一喝されて新潟行きを諦めている。またウルトラマンタロウには大酒呑みのベロン、ビタミンCを摂取する為に野菜を食いまくるモットクレロンなる怪獣も存在する。ウルトラマンエースに登場した怪獣スノーギランは秋田のなまはげの怪獣で日本人がクリスマスにうつつをぬかし日本の伝統行事なまはげを大事にしないのに激怒して出現。しかし出現場所は何故か東京なんだな。地元に出現しろよ! もともとなまはげの行事がない東京に出現して「なまはげを大事にしねぇか〜!」と、破壊活動を繰り返すのだから都民にとっては迷惑千万な話だ。で、最後にウルトラマンではないのだけれどこれまたかなり変わった話を見付けた。昭和48年1月8日から同年3月26日までフジテレビ系列の毎週月曜日夜7時〜7時30分枠で放映された「魔人ハンター ミツルギ」。江戸時代初期を舞台にした異色もので幕府打倒を目的に飛来したサソリ軍団を忍者ミツルギ3兄弟が迎え撃つ話。宇宙の彼方から倒幕に来る宇宙人! ものすごい設定ではありませんか。いったい何故なんだ?いくら考えても動機がつかめない。まぁ、もっとも宇宙人の考える事だから理解するといった方が難しいのかもしれないが。非常に興味をそそられるこの作品ではありますが、やはり設定が異色すぎたのか第12話「サソリ軍団全滅作戦」であっという間に放送終了。いまや幻の名作なのだそうだ。

と、まぁ、1冊の懐かしい日記からいろいろな面白い知識を得た。やはり大事なのは記録を残しておくという事と貪欲に調査するといった姿勢だね。しゅわっち!

(2002/4/2 Written by SAMURAI)

ふぉふぉふぉ!