第四回:電話
先日埼玉に住む友人の家からの帰り、何を隠そうハゲ丸邸(忍者屋敷)からの帰り、夜中の2:30頃一人で車を走らせていた時の事である。携帯がなりはじめた。こんな時間にと思いつつもこんな時間にかけてくる友人も何人かいるのでそんな友人の誰かだろうと思い電話に出ると
(自分)「もしもし」
(相手)「もちもち、僕しんちゃん」
(自分)「は?」
(相手)「僕しんちゃん、5歳」しんちゃんと名のる5歳の男の子からの電話であった。自分にはもちろんそんな知り合いはいないし、5歳の子供がいる知り合いもいない。だいたいこんな時間に起きている5歳というのも不思議だったが子供のいたずらだと思い、ここはひとつ親に代わってもらい親に説教の1つでもしてやろうと思い
(自分)「しんちゃん、パパは?」
(相手)「いないよ」
(自分)「じゃあ、ママは?」
(相手)「でかけちゃった」しんちゃんの言葉を信じる限り電話の向こうはあまり恵まれた境遇ではないらしい。父親はいなく母親はこんな時間に子供を残してでかけている。片親で家庭を支えるために夜の仕事でもしているのだろうか。しんちゃんに多少同情しつつも車を運転している最中ということもあり、いつまでもつきあっているわけにもいかない。
(自分)「もう寝なさい、もうすぐママも帰ってくるから」
(相手)「は〜い」と幾分無責任な言葉をかけて電話をきった。電話の向こうでは音楽がなっていた。かすかにしか聞こえなかったがどうやらテノールオペラらしかった。こんな真夜中に起きて一人でオペラを聞いている5歳児。なんだかおかしいな。携帯の着信履歴を見てみると番号通知はされてなかった。しばらくたって、また電話がなりだした。番号通知はされていない。でてみると
(相手)「もちもち」
(自分)「・・・・・・」またしてもしんちゃんである。でたらめに番号を押したら同じ人間にはまずかからない。携帯の番号は11桁あるのだ。しんちゃんはオレの番号を知っているのか?リダイヤルした可能性もあるのだが5歳の子供がリダイヤルなんて知ってるのか?それにリダイヤルはボタン1つであるのに、それにしては2回目がかかってくるまでの時間がかかりすぎている。また、番号も最初に184を押さない限り通知される。家にISDNをひいているとその関係で番号が通知されない場合もあるのだが(うちの自宅はそうである)彼の家庭環境を推測するにISDNをひいているとは思えない。5歳の子供がいたずら電話するときにちゃんと184を押すのだろうか?夜中に子供の声というのは不釣合いでなんとなく薄気味悪く感じる。ひょっとしたら知り合いかもしれないので苗字を聞いてみようと思い
(自分)「なに、しんちゃん?」
(相手)「・・・ただのしんちゃんだよ」
苗字を聞きたいという意図が通じなかったらしい。それとも「ただの」は「タダノ」とかいう苗字なのだろうか?しかし自分には「タダノ」という苗字の知り合いはいない
(相手)「遊ぼうよ」
しんちゃんはくすくす笑っている。相変わらず後ろではオペラがなっているようだ。先程より少し音量が大きくなっている気がする。こんなガキは相手にしていられないが、いきなりきってまたかけてこられても困るので
(自分)「遊ぼうといってもね、今忙しいんだよ」
(相手)「なんで?」
(自分)「今ね、う・・・・」
(相手)「車に乗ってるんでしょ?」こちらが運転しているというより前に車と言ってきたのである。だんだん気味悪くなってきた。こちらが黙っていると、またしんちゃんはくすくす笑い出した。
(相手)「遊ぼうよ、大丈夫だよ、もうすぐママが迎えに行くから」
(自分)「は?迎えに?」
(相手)「そうだよ、もうすぐだって」
(自分)「ママは出かけているんじゃないの?」
(相手)「そうだよ、でも声はいつだって聞こえるんだ」ヤバイ!この少年、少し頭がおかしいのかもしれないがそう考えても非常に気味が悪い。
(相手)「今でもママの声はするよ」
(自分)「・・・・・・・」
(相手)「道で待ってるからうちまで乗せてきてもらうってママが言ってる」
(自分)「・・・・・・・」
(相手)「そうしたらいっしょに遊べるよね」このガキはヤバイ!はっきりいってかなりヤバイ!!うしろでオペラがなっている、さっきより音量がまた大きくなったようだ。オペラが・・・なんかよく聞いてみるとオペラではないようだ。なんだろう? だんだん音量が大きくなってくる。・・・これお経じゃね〜か?あわてて電話をきった。
非常に気味悪かった。が、冷静になって考えてみるとこの話は出来すぎていて、誰かのいたずらなのではとも思える。見ず知らずの子供から電話がかかってくるストーリーも聞いた事がある。最後のお経だって本当にお経だったか?と聞かれるとちょっと自信がない。とも思うのだけれどもあの時は非常に気味が悪かった。ちきしょう〜ハメられた。誰だ?まったく手の込んだ悪戯だ。運転中にかけてきてあぶねーじゃね〜か。オレが事故にあったらどうする!
恐怖といった感情はその場の雰囲気もあるのでこうやって文字で読むと自分が感じた恐怖はうまく伝わらないかもしれないがほんと〜に怖かった。
(99/06/13 Written by SAMURAI)