蜘蛛の糸
親が苦手なものは,子供も苦手だというが,母は犬,猫などと相性が悪い。私も
子供の頃は,犬を飼ってはいたが,近づいたことはなかった。小鳥も駄目で,よく覚えてい
ないが,どこかのお宅で放し飼いにしていたインコに頭に乗られ,泣いた事がある。
虫の類は,蜘蛛でもムカデでも普通の女性のようにわあわあ騒ぐことはないが,好きとい
うことはない。やっぱり部屋の中に入ってくれば気持ちが悪い。ちょっと大きな虫は,表に
逃がすが,蜘蛛はティシュで捕まえてぐるぐる巻きにしてゴミ箱に捨ててしまう。そんな時,
ふと思うのが,芥川龍之介の小説『蜘蛛の糸』,なんとなく小さな虫でも潰してしまうのが,
ためらわれてしまう。蜘蛛も,逃がせるものなら,窓から外に出してしまう。ただどうしても
苦手なものもある。ゴキブリあのたくましさ,さすがに人類より古くから生息している虫だけ
に,たくましい。ねずみも駄目。あの毛のない長い尻尾が嫌い。故に高校時代,化学室に
飼われていたモルモットは,かわいいというが私は一度も触ったことがなかった。どんな
小さな生き物にも命はある。
それを,何の関係もない人まで巻き込んで安易に殺してしまう人間は,一番残酷な生き
物かもしれない。肉食動物だって,自分が生きるために動物を狩るのであって,満腹の
ときは襲うことはしない。