00.3.15
キリンビバレッジサッカー2000
 日本代表 0−0 中国代表


 なぜかこの試合の内容・結果によって更迭もありえるトルシエ監督。彼とし
ては納得いかないだろうが、日本サッカー協会はこの試合もし敗北するようだ
ったら、報道陣をシャットアウトして緊急会議を開くという。


    城    中 山

   小 野   中田英
 名 波       望 月
      稲 本

 中田浩  松 田  森 岡

      楢 崎


―交代―
57 服部←小野
67 中村俊←中田浩
88 三浦和←城


 この試合では欧州組を3人とも呼び戻し、トルシエが現段階で考えられる最
強の布陣で臨んだようだ。左ウイングバックに名波をおき、トップに中山と並
べて城を置いた。ボランチの位置に稲本。トップ下には小野とヒデを並べた。
ゴールキーパーは最近トルシエジャパンの守護神の位置を確立してきた楢崎、
3バックは中央に松田。左に中田浩二、今日は右に森岡を置いた。

 僕はこのフォーメーションには反対だった。大きな不安を覚えた。

 3バックの右に森岡。相手の身長の高さを考えると中澤のほうがいいのでは
ないか。稲本1枚では足りないのではないか。なぜ、ボランチを1枚にしてま
で小野を使うのか。さらにトップの選手に身長が足りないのではないか。

 試合が始まると、まず目に付くのが相手の身体能力の高さと中田の存在感だ
った。

 中国の選手は全員の身長が高く、スピードがあった。しかし、思った通り足
技に不足し、2人くらいのプレスでつぶれた。こわいとしたらコーナーだ。ゴ
ール前でせりあったら勝てる選手は松田、中田浩二くらいだろう。この点で中
澤不在が心細かったが、中国のコーナーのチャンス自体が少なく、大きな問題
とならなかった。しかし、1点取られて引かれたらつらいなと思った。なんと
しても先制点が必要だ。

 前半に限り、中盤は効果的に機能しゴールのニオイを放つのに充分な働きを
した。ヒデ、名波はどちらかがポジションを下げながらバランスを保ち、前線
の密度を下げ、積極的にパスを供給した。

 同じく注目された城は、3分過ぎに足を痛めたそぶりを見せ心配されたが、
得意の右斜め45度から右足アウトサイドでボールを押し出してディフェンス
をかわしゴールとの角度をつけつつ右でシュート、といったプレーも見られゴ
ールへの意識を押し出していた。もうひとつの得意なプレー、ポストプレーは
中国ディフェンダーの高さに封印された。

 コンビを組んだ中山は前線で動き回り中国ディフェンスを混乱させる動きに
欠けた。再三飛び出しを狙っていたが、来るパスはハイボールが多く、フィジ
カルに長ける中国ディフェンスをこじ開けるにはパワーが足りず。
 当然足元に流れ出てくるパスはサイドに寄る。しかしライン近くで受け取っ
て、勝負に出て中へ切り込めるかといえば、残念ながら城と中山には無理だっ
たようだ。彼らからのクロスが決定的なチャンスとはなり得なかった。
 何しろ相手のGKはでかい。198センチの守護神に、日本アタック陣はつい
にゴールを割れなかった。

 後半12分。トルシエが動いた。小野に代えて服部。小野は別に今までのよ
うな代表でのプレーほど悪くはなかったが、明らかにパサーが多くバランスが
崩れかけていたので、名波、ヒデとの兼ね合いにより消去法で彼が割りを食っ
た形だ。服部がボランチにはいったことにより、今までバランス取りに追われ
ていた稲本や、オーバーラップをためらっていたセンターバックが攻撃参加で
きるようになればよいのだが・・・

 後半17分、左から柔らかなクロスボールが前線へ。蹴ったのはヒデだった。
このボールは飛び出しの遅れたキーパーと競ることなく、中山がフリーでヘデ
ィング。ゴールに吸い込まれたがオフサイドの判定。ゴンは「今のはオフサイ
ドじゃない」とアピールしたが、パスの瞬間ヒデのアップだったので、テレビ
でその確認は出来なかった。

 名波が放ったシュートはだいたい右足によるもので、左ウイングバックでの
起用に疑問符がつく。

 後半22分、トルシエが切った2枚目のカードは俊輔だった。入ってすぐの
フリーキックを俊輔が蹴る。厳しいコースに飛んだそのボールは何とか相手G
Kがはじいたが、そのリバウンドにフリーで走りこんだ中山は空振った。あれ
は触らなくてはならない。

 直後俊輔がまたチャンスを作った。名波のヒールパスから繰り出された俊輔
のソフトなボールは、中央やや右でフリーの望月へ。しかし惜しくもダイビン
グヘッドはGKの正面へ。解説のセルジオ越後氏はトラップしたほうがよかった
とコメントしたが、僕はダイレクトで正解だったと思う。左前に寄ったバラン
スの悪い中盤において走り回った望月の疲労から考えて、あそこで彼が正確な
トラップとシュートが出来たかどうかは疑問だ。

 この辺から僕のイライラはピークに。点が入らないことではない。トルシエ
が動かないからだ。

 名波は明らかに疲労していた。俊輔が入ったことにより先ほどまで小野がい
たポジションに入ったと思われるが、下がれない。ヒデも、トップ下中央から
下がれない。稲本は孤立。望月も孤立。どんどんメンバーチェンジをし、元気
に走り回る中国の中盤に比べ、日本の中盤は守備面に明らかに息切れしていた。

 さらに城と中山の持ち味はもはや消されていた。パスに対する反応は鈍く、
相変わらず中国DFのフィジカルは強い。

 俊輔の代わりにはずれた中田浩二のポジションに服部が下がり、ボランチが
また稲本1枚に。前半は名波や小野やヒデがかわるがわる中盤の底に顔を出し、
バランスは保たれていたが時間時間の経過はそれを崩していく。後半を30分
を過ぎたあたりから、3バックと前線の間にぽっかりとスペースが空き、そこ
にはぽつりと稲本がひとり残されていた。

 タレントをそろえた左サイドに対し、再三右から攻め立てた望月は常に孤立
し、ワンボランチの影響で森岡や稲本のフォローは皆無だった。

 中盤のプレスは緩み、攻撃的な布陣が生きない。

「名波を下げて伊東を。ツートップのどちらかをカズに。稲本、ヒデもそろそ
ろ限界だ」

 そう僕が思ってもトルシエは動かない。

 城に代わりカズが入ったのは後半43分だった。あまりにも遅すぎた。岡田
監督も選手交代のタイミングが遅かったが・・・。

 0−0のまま試合は終った。アウェーでの引き分けに満足気の中国に対し、
日本に笑顔はなかった。


 きっと、マスコミは決定力不足と煽り立てるだろう。国民がそれに注目して
いるので仕方ないが、もっと、根本的にバランスが取れていないことに注目し
なければならない。とくにドイスボランチの重要性。プレスの利きが甘くなっ
たときには、決定的なパスを出せる選手をひとりはずしてでも高い位置でボー
ルを取れる選手の投入が必要だ。

 フィジカル面でFW陣に不安を残した。サンフレッチェ久保、セレッソ西澤、
エスパルス安永、グランパス呂比須・・・。どうして使えないかなあ。

 技術で勝る日本の歯車はかみ合い始めた。しかし繰り返しになるがバランス
取りに気を使わなければならない。左でチャンスを作ってもトップも左に寄っ
てしまっては決められない。右サイドを望月ひとりに任せるのは余りにも酷だ。
 
 日程面で不安はあるだろうが、そういったところを中心にチームを煮詰めて
いかなければならない。そして、それを行うのはトルシエの仕事である。

 決定力不足?不足しているのは決定力ではなく、時間である。その時間を不
足させているのは、トルシエでなく協会だ。



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