00.3.29
キリンチャレンジ2000五輪強化試合
 日本代表 4−0 ニュージーランド代表

 この時期に格下のニュージーランドとやって何かメリットがあるのかどうか
は定かでないが、久しぶりのU-23の試合である。負けはないとは思うが、失
点は許されない。そして、無得点はなおさらである。


  平 瀬   高 原 

     中村俊
本 山       市 川
  稲 本   明 神

 中田浩 松 田 中 澤

     曽ヶ端


―得点―
18 中村俊LS(←本山←中村俊FK)
40 高原LS
58 高原LS
63 小島宏RS(←稲本)

―交代―
46 小島宏←平瀬
55 藤本←本山
64 北嶋←高原
68 西←市川
85 酒井友←稲本


 ウイングバックの片方、もしくは両方にパサータイプの選手を起用してくる
ことが多かったトルシエにしては珍しく、両サイドに本山、市川というスピー
ドのある突破タイプを使ってきた。果たして機能するのかどうか。
 中央に中村俊輔。ボランチは稲本と明神の2枚。ワンボランチよりもサイド
から、そして中央から、ポストプレーにおいてもバランスのよい攻撃が可能だ。
 3バックはA代表でもおなじみとなった3人。この3人はシドニーまでいじ
らないで使っていくだろうと思われる。
 2トップは高原と平瀬。Jリーグで調子を上げてきている北嶋かと思われた
が、今回はベンチスタートである。


 雨はすでにやんでいるようだったが、水をはらんでスリッピーになったまま
のピッチは、プレーに少なからず影響すると思われる。特に、両サイドのドリ
ブル、中村のスルーなどはダイレクトにマイナスに影響する。こういう日こそ、
うしろからの早めのクロスボールが効果ありそうなのだが。

 予想通り、立ち上がりから日本が攻め立てる。高原へ、平瀬へと立て続けに
俊輔のスルーは通り、ニュージーランドのディフェンスラインのもろさがあり
ありとうかがえた。結局得点はなかったものの、ゴールのニオイは漂ってきた。
日本としてみれば、いろいろな攻撃パターンが試せる。新たに代表入りしたジ
ュビロの西も見てみたいところだ。

 そして先制は俊輔のフリーキックからだった。ゴールに向かって左寄り、直
接決めるには少し距離があると思われる位置である。中村俊輔はチョンと触っ
て本山へ。1メートル半ほどボールをずらした所で本山がボールを止め、そこ
へステップインして俊輔が左足を振りぬいた。

 僕らはわけのわからない、とてもコトバとは呼べないようなうめきを口走る
ことしか出来なかった。

 横浜マリノス・ユースが生んだそのファンタジスタの左足から放たれた美し
さと冷酷さを兼ねそろえた軌道を得たそのボールは、完全に虚をつかれたGK
の見送る前で、曲がって、落ちて、大歓声を生んだ。相手のレベルなど関係な
い、どんなキーパーもこれを止めるのは不可能だと、解説は叫んでいた。

 しかし、1点取ってから日本の攻撃テンポはやや単調に。両サイドを経由せ
ず、中央からのスルーパスを多用するようになった。明らかにニュージーラン
ドのDFは中央寄りにポジションをとり、両サイドにはぽっかりとスペースが
できていたにもかかわらずだ。縦パスはニュージーランドのペナルティエリア
ではね返されていった。

 そのせいか追加点は前半終了間際になってしまった。本山の左コーナーキッ
クをクリアされた所に走りこんだ中田浩二がロングシュートを放つ。低くコン
トロールされたいいシュートだったが、コーナーキック直後の高密度なエリア
にはね返される。そしてこぼれ球は高原の胸へ。
 そのまま胸でワントラップし反転して左足を振り切るまでの、高原の一連の
プレーは滑らかで、そして速かった。ボールの軌道を含め、完璧といって差し
支えない。
 懸命に足を投げ出すディフェンダーよりも早く、そのシュートはゴールをと
らえた。今日の高原のパフォーマンスは非常に高く、3点目のゴールキーパー
のはじいた所を詰めたゴールなどは、ジュビロでコンビを組む中山から学び取
った成果なのだろうか、絶妙なポジションをとっていたし、反応も早かった。
 終始、積極的にシュートを放つその姿勢がうれしかったし、どれもふかさず
低くおさえたいいシュートだったのもうれしかった。

 後半には今日余り攻撃に絡めなかった平瀬に変わって小島宏美を投入。実は
密かに好きな選手だ。悪条件のピッチ上だったにもかかわらず、足についたこ
まやかなドリブルで、切り込んでいった。しかし、シュートの質は今ひとつ。

 今日持ち味を如何なく発揮したうちのひとりが稲本潤一だ。ダブルボランチ
ということもあり、積極的に中央をドリブルで上がっていくシーンが多く見ら
れた。4点目の小島のゴールは、稲本がペナルティエリア深くまでボールを持
ち込んでキーパーともどもつぶれたことで生まれたものだ。

 いろいろな選手を投入するもののどうもかみ合わない。右サイドに入った西
は孤立し中へ中へと寄ってくるし、北嶋は守備に不安を残し攻撃面での見せ場
もなかった。

 その後チャンスを作れないままに試合は4−0で終った。しかし全体的に見
れば攻めあぐねたものの、決めるべき人が点を決め、少ないピンチの芽は確実
に摘んだ。

 観戦していた釜本邦茂副会長は、「この程度の相手なら勝ってあたりまえ」
とコメントしたらしい。もっともだと思うが、そんなこと言うならもっとちゃ
んとした相手つれてきてやってくれ。少なくとも今日の試合は強化の面で効果
は希薄だ。

 オリンピックまでもう半年だ。残された時間は短い。今やるべきことといえ
ばたくさんの試合をこなしていくことだ。しかも、格下でなく、ナショナルチ
ームでなくてもかまわないのである程度実力のあるところとの試合を。日程が
許すならば、日本でなくアウェーが好ましい。

 日本サッカー協会はその義務がある。Jリーグ各チームにも、その義務があ
る。

 これだけ注目されているシドニーオリンピック日本代表である。これは、チャ
ンスだ。再び日本中をサッカーに釘付けにするまたとないチャンスだ。もしか
したら、最後のチャンスかもしれない。2002年に日本代表がグループリー
グを突破する保証などどこにもない。

 各チームは腹をくくって、つらいチーム事情に目をつぶり代表強化に協力す
べきだ。CMで平瀬がカレーを食べているのも、中澤が田村亮子と競演してい
るのも、その人気の出所は代表だった。

 ゴンがそうだったように。岡野がそうだったように。
 永輔が、呂比須が、森保が、そして釜本邦茂や木村和司がそうだったように。

 代表戦での活躍がそのプレイヤーの知名度と人気を上げ、必ずクラブに恩恵
をもたらしてきたように。

 そのための、言わば海外留学と考えて、積極的に代表に選手を送り出して欲
しいものである。



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