00.12.20
キリンビバレッジサッカー
 日本 1−1 韓国

 アジア予選を免除されたチーム同士のフレンドリーマッチ。それがこの試合
の位置付けだ。
 日本はアジアの頂点に立った。もはや、韓国を上回る力が日本にはある。そ
れをこの試合で証明してくれるはずだ。と、そんな期待が高まる。


  柳 沢   北 嶋

     小 野
中 村       明 神
  名 波   伊 東

服 部  松 田  森 岡

     楢 崎


       【日本】  【韓国】
          ―得点―
               14 安貞桓RS
服部HS(←柳沢)56
          ―交代―
              39 朴智星←崔竜沫
  中田浩←中村 46
    奥←小野 46
   中山←北嶋 46
              59 朴成培←李天秀
   酒井←明神 70
              71 尹晶煥←安貞桓
   本山←森岡 74
              83 柳想鉄←崔成勇


 韓国は洪明甫(ホン・ミョンボ)、崔竜沫(チェ・ヨンス)らのベテランが
名を連ねる中、ヒデの去ったペルージャへと移籍し、韓国人初のセリエAプレ
イヤーとなった新星・安貞桓(アン・ジョンファン)や、まだ大学生、19歳の
李天秀(イ・チョンス)ら若いメンバーが混じり、「世代交代中」を感じさせ
るスタメンでこの日本戦に臨んできた。

 それに対しトルシエジャパンは、平均年齢24歳以下の若いメンバーを組ん
できた。期待のカズがサブに回った。

 だいぶメンバーが固定されてきたバックラインに対し、攻撃的ポジションは
高原、イナ(稲本潤一)らの怪我などもあり、多少予想がつきにくかったが、
ボランチにテル(伊東輝悦)が入り名波とコンビを組み、明神は右サイドに回
った。左に俊輔。トップ下には召集された藤田俊哉を押しのけ小野が起用され
た。FWは柳沢、北嶋と、「アジアカップの優勝を素直に喜べない」2人が使
われた。

 韓国の注目は、久しぶりに代表に復帰した経験豊富な崔竜沫と、韓国の将来
を担うスピードあふれる若きストライカー・安貞桓のFWコンビだろう。


 先制点は早くも前半14分に生まれた。

 背後の森岡を押しのけドリブルに入り、日本のバックラインが積極的にぷレ
ッシングをかけてこないのをみてそのままするするとエリア内に侵入した安貞
桓の右足から放たれたシュートが、懸命に飛びつく楢崎の手をかいくぐりゴー
ルネットに突き刺さったのだった。

 いきなり、ドリブルに対するフラット3の弱さが失点に結びついてしまっ
た。当たりにいった1人目のDFがかわされてしまうと、ずるずると下がって
しまうのだ。

 この安貞桓、韓国では非常に人気が高い。特に女性ファンが多く、その甘い
マスクは「キャンディキャンディ」に出てくる美男子キャラにちなんで、「テ
リュース」とあだ名されているらしい。

 対する日本のホープ・柳沢の目は、今までとちょっとちがっていた。

 あくまでゴールを目指すタイプの点取り屋の高原の台頭に刺激を受けたの
か、もしくはアジアカップ決勝・サウジ戦で途中出場したものの出来が悪く、
たった7分でベンチに下げられた悔しさがそうさせたのか。柳沢のプレーに
は、持論の「フォア・ザ・チーム」が影をひそめ、エゴイスティックにゴール
に向かう姿勢がみられた。

 こうなると、柳沢は敵チームにとって脅威となる。

 もともとトラップ、シュートなどの技術は日本でもトップクラスで、後は経
験とハングリーさがたりないと言われつづけていた彼である。経験は積んだ。
そして度重なる挫折が、彼を虎にしたのだ。

 前半17分、北嶋が開いてDFをつってできたスペースに、柳沢が切れ込ん
でいく。多少強引なドリブルではあったが、スピードは安貞桓にも負けていな
い。たまらず後ろからひっかけた韓国DFにホイッスルが吹かれた。ペナルティ
・エリア内。柳沢はPKをもぎ取ったのである。

 自らが蹴ったPKはGKの金乗址(きむ・ビョンジ)に完全に読まれはじき
返されたが、柳沢の表情には不敵な笑みが浮かんだ。今日の彼はなかなかワイ
ルドだ。襟を立てているせいだろうか。

 さらに25分にはまたも柳沢の強引なドリブルでエリアわずか外の位置にF
Kを得た。俊輔の蹴ったキックは壁にはじき返された。すこし近すぎたか。

 この、柳沢をひっかけたプレーで、韓国DF金相植(キム・サンシク)に一
発レッドが出された。少し厳しすぎる。厳しすぎるジャッジは試合を壊し、味
気ないものとする。

 ボランチの洪がリベロの位置に下がってしのぐ。

 1人多くなり、だんだんと、流れは日本のものとなっていく。たまらず40
分に、韓国はFW崔竜沫を下げて、京都パープルサンガ所属のMF朴智星(パ
ク・チソン)をピッチに送り出した。洪がDFにさがって薄くなった中盤を補う。

 ロスタイム、左サイドへと放たれた小野のスルーに、タッチライン際で俊輔
が追いつきワンタッチで中央へ折り返す。DFがヘッドでクリアしたところ
を、ルーズボールに走りこんだ明神が、エリアやや外からダイレクトで強烈な
ボレーシュート。おしくもゴールポストをかすめ右にそれたが、見ごたえのあ
る一連のプレーだった。

 しかし、日本代表を悲劇が襲う。

 前半終了間際、俊輔が右足首をおさえて倒れこんだ。ピッチを転げて痛みに
耐える。
 守備の際に足をひねり、さらにもつれた服部にその足を踏まれたのだった。
タンカで運び出されたところで前半終了の笛。


 日本は後半開始に先がけて3人の選手交代を行った。このゲームは親善試合
のため5人までの選手交代が認められている。
 負傷した俊輔に代わって中田浩二が入りフラット3の左へ。俊輔のポジショ
ンに服部が上がった。
 そして前半コンビの悪かった小野と北嶋に代えてゴン中山と奥を投入。

 この交代は、吉と出た。

 前半の北嶋には運動量不足が感じられ、小野も効果的なスルーパスを出すに
はFWとの距離を詰めすぎていた。
 後半入ったゴンと奥は、1人少なくなり下がり気味となった韓国守備陣を混
乱させるように精力的に動き回った。

 そのためか、柳沢がクロスをあげたときには、すべての韓国DFが中央に寄
ってしまっていた。右サイドで服部がヘッドであわせたときには、彼は「どフ
リーだった。

 服部の渾身のヘディングは、たたきつけられたものではなくゴールの上部を
狙ったものだった。キーパーの頭上をこえ、これ以上高かったらバーを叩く、
というほどギリギリのところを見事に突き、ゴールに刺さった。同点に追いつ
いた。

 韓国はFWを1枚投入。ターゲットマンをつくる。

 しかしすでに、韓国は守備一辺倒となっていた。


 日本、攻める。韓国、守る。


 しかし圧倒的に日本がボールを支配しているとはいえ、なかなかゴールが割
れない。
 なぜなら、韓国のリベロのポジションには、アジアNO.1DFが立ちふさ
がっているからである。

 洪明甫。

 あるときはセンタリングを頭ではじき返し、あるときは前線へぴたりとわた
るロングパスを供給した。小野・俊輔が下がり攻撃の起点となるパスを出すの
が名波だと見るや、体を投げ出して鋭いスライディングタックルを日本の10
番に浴びせた。

 すでに前半に1枚イエローをもらっているにもかかわらず、全くひるんでい
ない。衰えたスピードは、しかし見事に気合とコーチング、読みでカバーされ
ていた。少なくとも僕には、洪明甫が2人はいるように見えた。

 そして、日本にゴールを許すことなく、洪率いる韓国守備陣はドローのまま
試合終了の笛を聞いた。
 アウェー、さらに1人少ない状況。勝ちに等しいドローである。


 日本は、ワンタッチパスをつなぎ、厚い攻めを見せたのだが、韓国のハート
に屈した。

 トルシエはポジションを盛んにいじって韓国の厳しいマークを打破しようと
したが、ポジションチェンジをしすぎて、戦術面ではあまり機能しなくなって
しまった。ちぐはぐだった。

 抜き去っていたかにみえた韓国だったが、まだまだその壁は厚く、高い。


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