'00.3.11
J1・1stステージ第1節
ヴェルディ川崎 1−0 ガンバ大阪
ヴェルディは新加入の岩本、金(キム)、三上がどの程度コンビネーション
を高めているか、そして若いディフェンス陣に注目。ガンバはスピードある攻
撃に期待。負傷から復帰のキャプテン宮本のライン統率にも着目したい。
【ヴェルディ】
本 並
中 澤 米 山
森 三 上
林健太 山田卓
小 林 岩 本
北 澤
金
――――――――――――――――
【ガンバ】
小島宏 アンドラジーニャ
大 黒 ビタウ
稲 本 森 下
実 好 鈴木健
宮 本 ダンブリー
松 代
【ヴェルディ】 【ガンバ】
―得点―
68 大黒RS(←アンドラジーニャ)
83 金RS(←林健太)
89 山田卓RS
―交代―
63 飯尾←北澤
69 吉原←大黒
71 杉山←森
84 橋本←小島宏
89 石塚←金
開始してしばらくは細かいパス回しをするヴェルディに戸惑ったガンバだっ
たが、15分過ぎくらいから徐々にペースをつかんでくる。
高く保たれたガンバの最終ラインによってフィールドが狭められ、プレーす
るスペースが限られてしまい、パスやトラップが荒いこともあり(この点はガ
ンバにも見受けられたが)、ヴェルディは前線の金にボールが渡らない。
小林、北澤あたりにガンバディフェンスをかき回す動きが欲しかった。少な
くとも、ガンバの2トップにはそういった工夫があったのだが。北澤は左サイ
ドでボールをはたくのが多く見受けられたが、もうちょっと中央にいてもよか
ったと思う。
逆にやや引き気味のヴェルディの最終ラインに対しダブルボランチが前がか
って、その間にちょっとしたスペースができてしまい、大黒にプレースペース
を、ビタウにミドルシュートのチャンスを与えてしまう。
まったく目立たない金に比べて、数は少ないが決定的なチャンスをつくった
ガンバ攻撃陣だったが、GK本並、キャプテン米沢といったヴェルディDF陣
がいい守りを見せ、前半は0−0で終った。
後半に入ると圧倒的にガンバが攻める。
小島宏美は左サイドライン際でボールを受け、得意のスピードに乗った突破
で中央に切れ込んだ。アンドラジーニャはややポジションがうしろ気味。自分
でもらいにさがるため、チャンス時に最前線にいないことが多々あった。
思うに、小島とアンドラジーニャはタイプ的にダブるのではないか。かつて
の日本代表でカズと呂比須の2トップが互いに足元にボールを要求し、中田英
寿のスルーパスが活きないといった具合に、大黒のパスも冴えを欠いた。
フィジカルに長け前線に張り付くタイプのストライカーが欲しいところだ。
ガンバ2トップは残念ながら稲本の最大の長所であるロングフィードの受け手
となるターゲットマンにはなれず、そういったプレーも稲本からは見られなか
った。
要するに、2人とも1.5列目の選手といったところか。
しかし、ガンバ優位は続き、先制点が生まれた。
左サイドでボールを受けた大黒が角度のないところから右足を振りぬく。何
者かに当たって不規則にはねたボールは、そのまま緩やかにヴェルディゴール
のサイドネットに吸い込まれた。1−0、後半は20分を過ぎていた。
直後、大黒に代えてコンサドーレから期限付きでガンバに加入した吉原宏太
が入る。小島と彼のスピードを生かし、カウンターをねらうようだ。ガンバの
最終ラインも、高かったラインを下げる。そこに、スペースができた。
そのスペースを、徐々にヴェルディMF陣が支配し始める。ボランチ山田卓
也のミドルシュートが目立つようになった。指導権は、1点のビハインドを負っ
たヴェルディに移った。しかし、ダンブリー、宮本を中心とするガンバディフェ
ンス陣がふんばる。
肝機能障害の岡中、虫歯悪化の都築に代わりこの日ゴールを守る松代は極力
リスクを犯さない堅実なゴールキーピングを見せた。
前がかりになって攻めたヴェルディに対し守りに終われていたはずのダンブ
リーが、するするとドリブルでゴール前まで攻め込んだシーンがあった。意外
な人物のオーバーラップにマークが曖昧になるヴェルディセンターバック。さ
らにドリブルでエリア内に切れ込むと見せかけてダンブリーが出した横パスに
ノーマークで走りこんだアンドラジーニャの左足から放たれた強烈なシュート
は、バーを叩いた。ガンバサポーターからため息。
後半のこり15分という時間帯を考えて、このシュートが入っていればゲー
ムをほぼ手にしていたと言っていいガンバにとって、これは痛かった。
そして気をとりなおす間もなく、ヴェルディに同点弾を許すことになる。
岩本のコーナーがガンバディフェンスにクリアされ、そこに走りこんだ林健
太郎がミドルを放つ。力強さに欠けたシュートだったが、右足を投げ出しボー
ルの軌道を変えゴールしたのは、なかなか届かないラストパスによってゲーム
からなかば締め出されていた金だった。
1−1、しかしゲームがふり出しに戻ったわけではない。
若きゲームメイカー大黒をすでに下げたためバランスに欠けるガンバに対し、
充分なスペースによって持ち味のテクニカルなパス回しの可能なヴェルディ優
位は明らかだ。しかし、15分という残りタイムは微妙だ。ガンバのカウンタ
ーからのゴールもありえる。
ガンバ早野監督は小島宏美に代えて橋本を投入しバランス修正を図る。
しかし、圧倒的にヴェルディがボールを支配し、ガンバ最終ラインはゴール
前にへばりつく。
ロスタイムに入ろうかという後半89分、強烈な岩本のミドルが密度の高い
ガンバゴール前で何度かはね、山田卓也がボレーで蹴りこみ逆転。これがヴェ
ルディの決勝点となった。
ガンバは詰めの甘さ、競り合い時の弱さを露呈してしまった一戦だった。
ヴェルディは岩本を経由し何とかフィニッシュまで持っていけるように、チ
ームを修正していかなければならない。